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王子様と海と私

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王子様と海と私

リアクション

 無事、騒動も一段落した祝勝会にて。
 ヴァレリアの所望したリヴァイアサンの蒲焼き、色花の食べたがっていた塩焼き、炙り焼き、ソテー。
 ドサクサに紛れて、上手く焼けた焼きダコも並んでいる。
「陽太様と環菜様の間に、娘が生まれたんですよ」
「まあ、おめでたいことですわ! 是非今度お会いしたいですわね」
 舞花と楽しそうに話しながら先ほどまで乗り回していたリヴァイアサンの蒲焼きを美味しそうに頬張るヴァレリアの元に、リネンとフェイミィがやってきた。
「ヴァレリア、寂しくさせちゃったなら、ごめんね。私も初めての家族で……舞い上がってたのかも」
 リネンの言葉に、ヴァレリアは目を丸くする。
「そんな、リネン様に」
「気持ちはわかるけどさ。あんまし新婚さんを困らせてやるなよ?」
「……ごめんなさいまし……」
 フェイミィに諭されて、しゅん、とヴァレリアはうなだれた。
 困惑するヴァレリアの元に、ルカが近付いた。
「やっぱり自分一人だけを愛してくれる人が良いよ」
「自分一人だけを……でも、どうやって」
 困惑するヴァレリア。
「付き合ってから仲を深める方法も有り有りだね」
「それじゃあ……まずはお付き合いして下さいまし」
 突然の告白にも、ルカは笑顔を見せる。
「私もヴァレリア大好きよっ! でもルカは女だし結婚もしてるから、仲良しになろう」
「仲良し……はい、もちろんですわ!」
 ヴァレリアは、ダリルの方を見た。
「お付き合いして下さいまし」
「構わんぞ」
 即答するダリルに目を輝かせるヴァレリア。
「けれど、一つ言いたい。抵抗の痕が無いから、もしかしたら自分から攫われたのか?」
 ダリルに目を見つめられて、ヴァレリアはうう……と言葉に詰まる。
「皆、ヴァレリアが心配だったんだぞ」
 ヴァレリアを諭すように言うダリル。
「ああ、もう無茶をしないでくれ」
「分かりましたわ。皆様、ごめんなさい」
 しょぼんとするヴァレリアの頭を、ダリルはぽふぽふと撫でた。
「不束者ですが、今後ともよろしくお願い致します」
「……本気だったのか?」
 驚くダリルに、ヴァレリアは「当たり前ではありませんか」と軽く答える。
「順番が逆になってしまったが、宜しくな」
 舞花は、ほっとした表情でヴァレリアを見つめた。
「……皆様は、攫われたいと思ったりしませんの?」
 そういえば、といいながら、ヴァレリアが問う。目の前にいたフェイミィはヴァレリアと目が合うと、自分を指差した。
「オレ? あー、攫われたいってのを攫う趣味は……というかだな!」
 フェイミィはゴホン、とひとつ咳払いをした。
「待っててもオレみたいになるだけだぞ! ほしけりゃこの手で攫う! それが今のお姫様道(謎)だぜ!」
「わたくしが……攫う……」
 ヴァレリアは何か思いついたように、ポンと手を打ち合わせた。
「そうですわね! それでは、まずは皆様をお攫い致しましょう!」
「お攫い致す……?」
 ヴァレリアの言葉に首を捻るダリルに、ヴァレリアは満面の笑みを向ける。
「ええ! まだお一人の婚約者様と結婚するのは早いようですので、全てをさらけ出せるような関係になれるよう、今度デートにお攫いしますわね!」
「いろいろと突っ込みたいところはあるが、まずお攫いじゃなくてお誘いだろう」
「一文字しか違いませんわ。それに……わたくしは、一人を愛し、一人に愛されるということを理解したいのです」
 ダリルに微笑みかけたヴァレリアは、貴仁の元に駆け寄った。
「私を助けて下さった王子様!」
「王子……王子ではないが、とにかく助けられて良かった」
 貴仁の手を両手で包み込み、ヴァレリアは笑顔を見せた。
「今度は私が、攫いに行きますわね!」
 意気込むヴァレリアは、最後にノートを見た。
「か、完全にわたくしも婚約者に含まれているようですが……」
「あら、良いと思いますよ♪」
 望はうふふと笑って、ノートに駆け寄ってくるヴァレリアの姿をみていた。
「何はともあれ、おめでとうございます」
 舞花に祝福されて、ヴァレリアは心の底から嬉しそうな笑顔を見せた。
「これで、良かったのかな?」
 祝勝会の端で、リネンはフリューネを見る。
「かなり良かったと思うわ。一気にヴァレリアも、成長できたでしょう」
 リネンはとフリューネは、楽しそうなヴァレリアの笑顔を見つめていたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

八子 棗

▼マスターコメント

 初めましての方は初めまして、そしてこんにちは。八子 棗です。
 この度はご参加頂きまして、誠に有り難うございました。
 何名かの方は登場箇所が二ヶ所に分かれておりますので、ご注意下さい。

 コメディシナリオは、カオスっぷりが本当に素敵ですね。
 後から、タコと犬に割れると気付いたことは内緒……; 結果的にタコも犬も面白いアクションが多くて、楽しかったです!
 ヴァレリアに婚約された皆様、是非振り回されてお攫いされて下さいね(?)。

 それでは、また他のシナリオでお会いする機会がございましたら、お会いしましょう。