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そして、蒼空のフロンティアへ

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そして、蒼空のフロンティアへ
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 ミリア・フォレスト(みりあ・ふぉれすと)がママさんとしてやっているイルミンスール魔法学校内の喫茶店『宿り樹に果実』では、非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)がパートナーたちとのんびりお茶を楽しんでいました。
 たまさか、イルミンスールとニルヴァーナを行き来している【分御魂】 天之御中主大神【分御魂】 高御産巣日大神【分御魂】 神産巣日大神の三人がイルミンスールにいたのと、地方を旅している中津国を見守る 国之常立神高天原を見守る 天之常立神がイルミンスールに立ち寄ったのが重なったので、ちょうどいいということで大勢でお茶を楽しみつつ、近況報告となったのでした。
「ボクは、予定通りの道を歩いていますが、それゆえ、いつも通りというところですかね」
 タブレット端末形態の『事象の根源へ 到る道』をかたわらにおきながら、非不未予異無亡病近遠が言いました。
 科学、魔法、超能力などの区分に囚われない、もっと根源的な力の顕現。あるいは、理(ことわり)と言った方がより正確でしょうか。そのような力の発現と、それと関わる人との関係。そんな、根源的なことに関する研究を相変わらず続けています。それには、このイルミンスールに籍をおき続けることが、何かと都合がいい状況です。
 また、ここの大図書室には、未だ開かれたことのない魔導書も数多く眠ると聞いています。標(しるべ)は、イルミンスールが最も多いでしょう。
『ということで、発見された新データは、その都度、我が輩がクラウドでマザーデータプールに記録している。いやはや、近遠殿が学生から研究者になったために閲覧ランクが上がって、パケット量の増加に御機嫌の毎日だ』
 テーブルの上におかれた事象の根源へ到る道が、カタカタと振動しながら言いました。嬉しそう……なんでしょう。
「あたしも、学生は極めちゃったので、次の目標にむかって驀進中ですわ。ねー」
「ねー」
 ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)が、リディス・アスゲージと顔を見合わせると、声を揃えて言いました。
 魔法を極めて、自らの流派を立ちあがるという目的の下、義妹であるリディス・アステージと共に、日々鍛錬しているようです。
 とはいえ、その内容というのは、必殺お料理魔法とか、撃滅お洗濯魔法とか、脅威近遠お世話魔法とか、あまり極められてもどうなのだろうという魔法ばかりです。最終的には、いったいどんな流派になるのでしょうか。もっとも、現在の門下生は、リディス・アステージだけのようですが。
 まだそんなに魔法に秀でてはいないリディス・アステージとしては、凄いよお姉ちゃんという感じで、りっぱに門下生の役をこなしてはいます。
 けれども、とりあえずは、流派の名前を決めるのが急務だとは思うのですが……。
「まあ、それはおいおい。流派の神髄が見えたらと言うことで」
「うん」
 非不未予異無亡病近遠の言葉にも、ユーリカ・アスゲージとリディス・アステージが声を揃えてうなずきました。
『それまで怪我とかしなきゃいいけど』
「大丈夫。何かあっても、我が守りますゆえ」
 事象の根源に到る道のつぶやきに、いつものようにイグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)が答えました。今までもそうしてきたように、これからもそうしていくつもりです。
 ただ、未だにイグナ・スプリントの守りきれている範囲が、パートナーたちだけというのが、彼女にとっては不満のようです。
「これからは、騎士として、助けを求める人すべてに手をさしのべられるように精進していきたいですね」
 まだまだ、一回りも二回りも大きくなりたい、イグナ・スプリントでした。
「わしらは、すべての愛し子たちに神への信仰を理解会得させるためにニルヴァーナとイルミンスールで神道の教鞭を執ってはいるが、まだまだしばらくはかかりそうじゃのう」
 【分御魂】天之御中主大神の言葉に、【分御魂】高御産巣日大神と【分御魂】神産巣日大神がうんうんとうなずきました。
「まったく、おぬしだけでもとんでもない手間だったのに、同じような者たちがまだまだいるとはな。なんでこんなに忙しいことになったのやら」
「まあまあ、でも、ちょっと楽しいですから。正しきことを知ってもらえるのはよいことですよ」
 少しぼやく【分御魂】高御産巣日大神を、【分御魂】神産巣日大神がなだめました。
「いいですな。落ち着く先があって。それがしなどは、未だに高天原が見つかりませぬ」
「本当に。自分の中津国も、いったいどこにあるのやら」
 高天原を見守る天之常立神と中津国を見守る国之常立神が、溜め息まじりに言いました。地祇である二人は、自分たちが守護すべき土地を探しているのですが、未だに見つけだせないでいます。
 もっとも、【分御魂】天之御中主大神たちの本体がおわす高天原と、地球の日本列島である中津国ならば、手がかりはありそうなものですが、一度力を失いかけて曖昧模糊となってしまった二人には、はっきりと認識することはできないようです。
 あるいは、ここパラミタに顕現したときに、二人にとっての高天原と中津国は、新たに生まれたとでも言うのでしょうか。もしかすると、新たに生まれた新世界にこそ、二人の守護すべき地があるのかもしれません。
「でも、非不未予異無亡病近遠さんの所こそ、アルティアたちの、みなさんのいるべき場所であって、いつでも帰ってこられる場所だと思うのでございます」
 アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)が言いました。
 そして、その場所を守って、誰がいつ帰ってきても、居心地よく過ごせる場所にすることが、アルティア・シールアムの望みでした。
「もちろん。だからこそ、自分たちも安心して旅に出ていられるのであります」
 中津国を見守る国之常立神が、アルティア・シールアムの言葉にうなずきました。
「そうですね。また次にこうしてみんなが一同に会えるときは、また違った報告が聞けるかもしれません。今からそれが楽しみです。それまでは、ボクはここにいます」
 非不未予異無亡病近遠は、そうパートナーたち全員に言いました。