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王子様と紅葉と私

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王子様と紅葉と私
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 とある秋の日、ツァンダにある御神楽 陽太(みかぐら・ようた)と{SNM9999003#御神楽 環菜}の暮らす御神楽邸に、ヴァレリアは招かれた。
「ヴァレリア様、お久しぶりです」
「久しぶりですわね。楽しみにしておりましたわ!」
 広大な庭の一角に、お茶会の席が設けられている。
 ヴァレリアは御神楽 舞花(みかぐら・まいか)に挨拶をすると、今度は陽太と環菜の元で丁寧にお辞儀をした。
「お招き頂いてありがとうございます!」
「今日は楽しんでいってね」
 環菜は嬉しそうにヴァレリアを出迎え、陽太もそんな様子を幸せそうな笑顔で見守った。
「それでは、お茶会にしましょう」
 陽太の用意したケーキで、お茶会が始まった。
「ヴァレリア様、陽菜様をご紹介いたしますね」
 そう言って舞花は、陽太と環菜の娘の陽菜を紹介した。
 陽太が抱っこしている陽菜に、ヴァレリアの顔つきがパッと明るくなった。
「まあ可愛い! 初めまして、ヴァレリア・ヴァルトラウテと申します」
 丁寧に挨拶をするヴァレリアに、陽菜は満面の笑顔で笑った。
「わあ……!」
「十ヶ月なんですよ」
 思わず笑顔になるヴァレリアに、陽太はニコニコと応対する。
 陽菜は陽太と環菜の顔を交互に見てから、ヴァレリアを見て笑った。
「婚活は順調ですか?」
「ちょこっと悩んでおりまして、最近は女子会ばかりですわ」
 お茶会を楽しみつつ、陽太たちとヴァレリアはさまざまな話をした。
「たった一人の、世界で一番愛しくて大切な人と一緒に人生を歩むことは、本当に幸せなことです」
 陽太と環菜は顔を見合わせて、幸せそうに微笑み合う。
「ヴァレリアさんにも愛する人が見つかると良いですね」
「はい、わたくしもいつかお二人のように幸せに暮らせる日が来ると良いなと思いますわ」
 楽しいお茶会の時間を過ごしていると、あたりはすっかり夕暮れだ。
「差支えなければ、今夜舞花と一緒に宿泊していきませんか? 客室でゆっくり過ごしてはいかがでしょう」
「まあ、よろしいんですの?」
「ヴァレリア様、パジャマパーティーを致しませんか?」
「良いですわね!」
 陽太の提案に、舞花と手を取り合って、ヴァレリアは喜んだ。

 そうして、夜。すっかり寝る準備も終えると、舞花とヴァレリアは客室にジュースとお菓子を持ち込んだ。
「陽菜様にお会いできて良かったですわ!」
「それは良かったです」
「本当に可愛くて、たくさん幸せを貰えましたわ」
 舞花とヴァレリアは、お菓子をつまみながら様々な話をして楽しんだ。
「陽太様と環菜様を見ていると、大切な方と結婚して、幸せに過ごしたいなと思いますわね」
 ヴァレリアはすっかり幸せを分けてもらったようで、楽しげに笑った。
 一方で陽太と環菜も、陽菜も眠った後、二人きりでゆっくりと過ごしていた。
「舞華にもたくさんの友人ができて、良かったですね」
「そうね。二人とも楽しそうで良かったわ」
 ヴァレリアと舞花の楽しそうな姿を思い出しながら、環菜は微笑む。 
「『世界で一番愛しくて大切な人と一緒に人生を歩むこと』ができて……本当に嬉しいわね」
 環菜が呟くと、陽太は何も言わずに環菜を優しく抱きしめた。
「愛してます、環菜」
「私も、愛しているわ」
 陽太と環菜は微笑み合って、幸せなひと時を実感するのだった。