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白百合革命(第1回/全4回)

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第6章 大荒野の調査

 メイドのハルミア・グラフトン(はるみあ・ぐらふとん)を百合園に残し、アルファ・アンヴィル(あるふぁ・あんう゛ぃる)は、大荒野に訪れていた。
 ニュースによると、焔狼盗賊団の荒くれ者達が、大荒野のこの辺りで遺体で発見されたということだ。
 焔狼盗賊団の盗賊の一部が、それより前にダークレッドホールに突入したという噂もあった。
 もしかしたら、ゼスタと瑠奈が行方不明になった件とも何かかかわりがあるのではないかと思って、アルファは単身で調査に訪れたのだ。
「ダークレッドホール絡みの事件であるかも定かではありませんが」
 アルファはまず、オアシスへと足を運んでみた。
「……」
 オアシスの一画の土が膨れていて、石や棒が刺してあった。
 焔狼盗賊団の盗賊たちの遺体が埋められているのだろうか。
 墓とはいえないような簡素なもので、数か月もすれば元通りの平らなオアシスの水辺に戻るのだろう。
 他には建物も何もなく。
 人の姿も今は無かった。
「特に手がかりはないようですね……。では、鍾乳洞の方に行ってみましょうか」
 墓を掘り返すようなことはせず、アルファは鍾乳洞の方へと向かった。
 鍾乳洞の入口には、先が燃えた木の棒があった。
 松明として使われたもののようだ。
(盗賊たちが使っていたものでしょうか)
 考えながら、アルファは光術で光を生み出して、鍾乳洞へ足を踏み入れた。

○     ○     ○


(ここにお宝でもかくしてたのかァ?)
 神楽崎優子を脳内で嫁にしている男、吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)は、アルファより先に鍾乳洞を訪れていた。
 焔狼盗賊団の団員の一部がダークレッドホールに飛び込み、その後他の団員がこの辺りで発見されたと聞き、竜司はここにお宝が在る可能性が高いと考えた。
 団員が減ったことによる、隠し財宝に奪い合いとか、それがマジックアイテムで、その影響で丸焼けになったとか。
(舎弟達が調べに来るかもしれねえからな。先に大荒野のイケメンであるオレが調べておかねえとな!)
 お宝目当てではない。……全然ないわけではないが。
 イケメンを名乗るものとして、舎弟が焔狼盗賊団員のような目に遭ったりしないよう、危険がないかどうか、調べておこうと思っての事だ。
 お宝を発見したら?
 勿論、舎弟をひきつれて再び探索に訪れるつもりだ。独り占めはしない。山分けだ!
 ……などと考えながら、竜司は鍾乳洞を調査していく。
 銃型HCでマッピングをし、魔界コンパスで方角を確認しながら進む。
 また、光学迷彩で姿を隠し、殺気看破の能力で探りながら、慎重に奥へと進んでいく。
(観光用に整備はされてねえからな……)
 足下に気を付け、魔法のはしごを用いて、更に下へ、奥へと下りていく。
(ん? ……なんだか、怪しいような気がするぜェ?)
 竜司は、トレジャーセンスで感じ取った。
 とはいえ、これ以上先には進めない。
 なぜなら、この先には明かりが全く射し込んでいないからだ。
 しかし万が一、財宝を守るボスいたら明かりをつけたら見つかってしまう。
(暗視スコープを用意すべきか……)
 迷う竜司だったが――。
 突然、辺りが明るくなった。
 光術による明かりだ。
 竜司は大岩の後ろに隠れて、息を潜める。
 ……明かりで辺りを照らしながら現れたのは、アルファだった。
 光術の明かりにより、暗闇の先が良く見えた。
 どうやら、道は狭くなっていき、行き止まりになっているようだ。
 慎重に進んでいくドラゴニュートの彼女に、声をかけるかどうか竜司は迷う。
 そっと彼女の後を付ければ、危険にさらされることなく調査が続けられるだろう。
 だが、イケメンと自負する彼には出来ない話だ。
 更に奥に進んだ彼女を追い、声を掛けようとしたその時。
 くるりと、アルファは振り向いて。
 そのまま地上へと戻っていった。
(なんだァ? なんだかおかしかったような……?)
 竜司も彼女を追って、鍾乳洞の外へと向かった。

 地上に出たアルファは、突如ファイアストームを放った。
 自分、に。
 炎が異常なまでに激しく広がっていく。
「なにやってんだァ!?」
 竜司は、炎の中に飛び込んで彼女を抱えて、オアシスへと走った。