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東西統一記念ロイヤルガード合コン

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東西統一記念ロイヤルガード合コン
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リアクション

■□■8■□■ ルドルフと火口君

西ロイヤルガードの度会 鈴鹿(わたらい・すずか)は、
命令とはいえ、マホロバの大奥の御花実であるということもあり、
夫も子どももある身である。
(ルドルフさんなら一番紳士的でしょうし……。
せっかくですので、東西の交流を深めるきっかけになれば)
「東西の親交を深めるという事で……。
まずはお互いを知って、交流の切欠作りをしましょう」
「ああ、皆でゆっくり話ができるといいね」
ルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)は鈴鹿の提案を快諾し、テーブルをセッティングすることにした。

★☆★

「あ、あの……よろしくお願いします」
白石 忍(しろいし・しのぶ)は、隅っこの方で所在無げにしていたが。
「東で恋人がいるのに仕方なく参加してるやつ、うちの忍の面倒見てやってくれよ!
泣き虫だが恋人から嫉妬される心配ねえと思うぜ、影薄いし」
パートナーのリョージュ・ムテン(りょーじゅ・むてん)の言葉に動揺する。
「……え!? リョージュくんたら何を!?」
(うう、これで誰も声かけてくれなかったらさらし者だわ……)
泣きそうになる忍だが、ルドルフが声をかける。
「よかったら、僕達と一緒にどうかな?」
「ええっ、ルドルフさん!?」
まさか、本物のロイヤルガードから自分に声をかけてもらえると思わなかったので、
忍は目を白黒させる。
(ルドルフ……ってことは、かわいい女の子も大勢、周りにいるに違いない!)
「喜んで、だぜ!」
こうして、リョージュに背中を押され、忍はルドルフたちのテーブルに着いたのだった。

★☆★

ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は、
いつも通りのメイド服で参加しており、
テーブルでもついつい給仕を行ってしまう。
「あ、御主人様、お取りしましょうか?」
「お、サンキュー。立ってないで、君も一緒に食べたらどうだ?」
「そうですか?
じゃあ……」
リョージュに促されて、ミルディアも席に着く。

大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)は、フィドルで音楽を演奏している。
ケルティックミュージックが中心だが、
さまざまなリクエストに対応できるつもりだった。
パートナーのレイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)は、
バウランでリズム担当、
フランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)はピアノ担当、
讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)はエレキ三味線担当である。

「よければ、一緒に踊らないか?」
「え……う、うん」
リョージュに手を取られたミルディアはうなずく。
(ど、どうしよう、一応、お嬢様のたしなみとして社交ダンスは教えられたし……。
運動神経にも自信があるから、大丈夫なはず、だけど……)
彼氏ができる、とか、そういうことは想像の世界のことでしかないミルディアにとって、
男性と踊るというのはほとんど経験したことのないことだったので、
少し挙動不審になってしまう。
「照れてるのか? かわいいぜ」
「え、あ、う……」
リョージュに言われ、ミルディアはちょっとドギマギしてしまう。

★☆★

アキラ 二号(あきら・にごう)は、
パートナーの血濡れの サイ(ちぬれの・さい)に強引に参加させられたものの、
たくさんの料理を見てうきうきしている。
「どうぞ」
「ありがとう」
鈴鹿に料理を取り分けてもらい、アキラは礼を言う。
(いい感じなやつらの間に入り、
三角関係を生み出して邪魔をするとか、
恥ずかしそうにしてるやつらにちょっかいをかけるてやろうかな〜。
ついでにいい獲物がいたら物にしちゃおうかなーん。
ふわふわしたやつらを見てると興奮するぜ)
一方、サイはそのような不穏なことを考えていたのだが。

★☆★

「ルドルフさんの剣の型は、フェンシングを元にされていらっしゃるのでしょうか?
舞うような軽やかさと、鮮やかな一撃……心を奪われてしまいそうですね」
せっかくなので、ルドルフの得意分野で話ができればと、
場が和んだのを見計らって、鈴鹿が話しかける。
「ああ、戦うときも美しくあらねばならない……。
イエニチェリとして、ロイヤルガードとして、そう心得ているよ。
君も何か、武術をやっているようだね」
「はい、私の薙刀術はまだまだですけれど、いつかお手合わせ願いたいです」
一目見ただけで、鈴鹿に武術の心得があることを見抜くとは、
さすがルドルフだ。
鈴鹿は感心した。
「薙刀術か。日本やマホロバでは、
代々、美しい女性の武術として伝わっているそうだね。
いつか、実現することを楽しみにしているよ」

★☆★

「大ババ様……胸が貧しいからとか言う理由で、
ボクをイルミンスールからロイヤルガードに選んだなんて……。
そう言えばもう一人のイルミンスール出の、ソアちゃんも胸が小さいな……。
最近、ロイヤルガードになった真言さんも……。
って、妙に納得してる場合じゃなかった!
大ババ様とは固い絆で結ばれてると信じてたのに、何たる仕打ち!」
カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は、
出発時に、アーデルハイトの発言に憤って、
ざんすか譲りのジャーマンスープレックスでぶっ飛ばしてきていたのだった。
「何をするのじゃカレン……ゴフッ!?」
「超いい男を彼氏にして見返してやるんだから! 見てろよー!」

★☆★

こうして、すごい気合いで合コンに参加したカレンは、
波羅蜜多セーラー服や髪飾りを身につけて、
火口 敦(ひぐち・あつし)に接近したのだった。
火口君とカップルになれるよう、ちゃんと5万G払って、
西ロイヤルガードとしての参加である。
「はじめまして、火口君!」
「え、俺ッスか!?」
火口君は、ルドルフ達のテーブルに参加できたものの、
自分が女の子に話しかけられるなどと予想もしていなかったため、驚く。
「火口君、ナラカ帰りの男としてめちゃくちゃ強いって聞いたよ!
ナラカでの冒険の話とか聞かせてほしいな!」
目をキラキラさせているカレンに、火口君はそれだけで舞い上がってしまう。
「わかったッス!
ナラカの途中の道では、すげー悪魔がババーンッて現れて、
すげー魔法をババーンッって使ってきたから、
俺はババーンッてぶっ飛ばしたら、
ババーンッてすげー音がして、
とにかくすげーことになったッス!」
「へえー」
(具体的にはなにがなんだかさっぱりわからないけど、
ナラカから生還した火口君は本当にすごいと思うな)

そんな火口君の隣で、
謎のすごく太った仮面の男が、
「もっと食べたいー」と、料理を貪り食っていた。

★☆★

一方、
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)は、
カレンの様子に、
(相手がパラ実生だからと、波羅蜜多セーラー服とは……露骨すぎだろう)
などと内心ツッコミを入れていたが。
火口君的には、女の子に相手してもらったというだけでめちゃくちゃ舞い上がっているのだった。
(我にはまだ恋愛と言う感情は発現しておらぬから、
周囲の様子を観察し、質問して見聞を広めよう)
そんなことを考えていたジュレールは、いきなり、皆の前で聞いた。
「ラズィーヤの言っていた、
『学生にあるまじき行為』とは、具体的にはどのようなことを指すのだ?」
「そ、それは……!」
忍は赤面して硬直する。
「ああ、それはだな……」
サイは、ニヤニヤしながら解説を始める。
「たとえば、いま、カレンちゃんと俺様で実践してみてもいいぜ?」
「ちょ!?」
「何をするッスか!?」
いきなり割り込んで三角関係を作ろうとするサイに、
カレンと火口君が慌てる。
「お持ち帰りしたら教えてやるぜ?」
リョージュは、ジュレールの手を取って口説き始める。

「それにしても、みなさん、
『もてるために』音楽を演奏するなんて、なんだか不純ですわ……」
一方、レイチェルは、演奏しながらお酒を飲んでいたが。
「よければ、俺と……」
「え……」
ミルディアの手を取った泰輔を見咎めて、物を投げ始める。

「泰輔さん、あなた、わかってるんですかー!?」
「痛っ! なんや、なんでこんなもんが……バウラン……レイチェルの?
わー、いろんなものが飛んでくるーっ!!
タンマ、タンマやー! だれや、レイチェルにアルコール飲ませたんはー!!
アルコール切れるまで、アレ止まらへんぞー!」
「しかたないね。
おぜうさん、一緒に逃げよう!」
フランツは、近くにいた女の子と一緒にとっとと逃げてしまった。
「まあ、待て、落ち着くのだ、レイチェルよ」
奈落の鉄鎖で、顕仁がレイチェルを止めようとするが。

「私を殺したばかりか、イチャラブしおって! お前ら全員許さん!」
「って、大ババ様―!?」
「大ババ様と呼ぶでないわ!」
カレンに殺されたことを怒っていたアーデルハイトが突っ込んできて、
さらに大騒ぎになった。

「火口君、ヴァイシャリーに逃げよう!」
「えっ!? わ、わかったッス!」
カレンは火口君を連れて駆け出す。

「あぶない、こちらへ」
「え、ええ……」
ルドルフは、鈴鹿をかばって避難し、
パーティー会場は大混乱になるのだった。