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こどもたちのおしょうがつ

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こどもたちのおしょうがつ
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リアクション


○     ○     ○


 お外では、子供達が元気に動き回っている。
「ゆきのたま、たくさんつくってきたぞー」
「オレたちがかったら、みんなオレたちのいうこときけよな!」
「してんのーには、ブラヌくんがなるんだ!」
 悪ガキ達が、雪を硬く固めた玉を沢山もって森の中から現れた。その途端。
「ルールはまもんなきゃ、ダメだよ」
 ばさばさと音がしたかと思うと、上の方から雪がどさりと落ちてくる。
「うわっ」
「つめたっ」
「ああっ、ゆきのたまおとしちゃったー!」
「それ、石入れてたり、水でぬらしてカチナチにしてたでしょ? そういうことしたら、怪我しちゃうからダメ」
 木の上に登っていたこゆきくん(呼雪)が、枝に積もっていた雪をばさばさ落としていく。
「くそぅ、ゆきをなげて、たおすぞー!」
「おー!」
 木の傍から離れて、悪ガキ達は雪を拾っていく。
「おまえら、わかばぶんこーのやつらだな!」
 そこに、坊主頭で外見5歳のだーじゅくん(王 大鋸(わん・だーじゅ))と、お友達達が現れた。
「おまえたちのなかで、いちばんつよいのはだれだー!? おれたちがやっつけてやるぜ」
 悪ガキ達は顔を見合わせる。
「んと、いちばんはぶんこーのそーちょーか、ばんちょーだけど、ブラヌくんが勝っていちばんになるんだ!」
「だから、ブラヌくんと、おれたちのグループがいちばんなんだぜ」
「よおし、おまえたちをやっつけて、おれはしてんのーになる!」
 だーじゅくん達は、綺麗な帽子の中に入れてある雪の玉を取り出して、悪ガキ達に投げ始める。
「そのぼうし、ラズィーヤちゃんのでしょ!」
 だーじゅくん達が取り出した帽子を見て、外見5歳のみわちゃん(小鳥遊 美羽(たかなし・みわ))が走り込んでくる。
「ん?」
「えーい!」
 振り向いただーじゅくんに、みわちゃんは跳び蹴り!
「うわっ」
 だーじゅくんは、雪の上に尻もちをついた。
「みんなでラズィーヤちゃんや達をいじめてたのねっ! ゆるさないんだから〜」
 みわちゃんは、足をえいえいっと繰り出し、素手でポカスカだーじゅくんとお友達を殴っていく。
「いてーいてー、なにすんだよー」
 だーじゅくんはみわちゃんを両手でえいっと突き飛ばした。
「まけないんだからっ!」
 後ろに転んだみわちゃんは、雪まみれになりながらもだーじゅくん達に再び飛び掛かってくる。
 体当たりしたり、べちべち叩いたり、えいえいっとこぶしを叩きつけたり。
「ゆきのなかにうめちぇえー!」
「ゆるさないのはこっちだ!」
 だーじゅくんとお友達は、みわちゃんを押さえつけ、雪を投げつけたり、ポカスカと仕返しをしていく。
「チャンスだ、やっちゃえ!」
「いけいけー!」
 悪ガキ達もだーじゅくん達に固い雪の玉を投げつけてくる。
「いてぇ、わるいことしてんのは、あっちなんだぞー。ぼうしはひろっただけだ!」
 だーじゅくんはみわちゃんを離すと、雪に手を伸ばす。
「えー!?」
 みわちゃんは拳を握りしめながら、だーじゅくんとブラヌくん達のグループを見回していく。
「まったまったまったー!」
 突如、両グループの間に入ってきたのは、ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)のパートナーのテレサちゃん(テレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす))だ。
「けんかはやめやで。してんのうってやつ、ウチもなるしー!!」
 外見5歳のテレサちゃんは、たーじゅくんと同じくらいの体格だった。
「こゆのはなー、せーので、しょうめんからやるのがしてんのうやねん」
「んん? なんだこいつ」
 たーじゅくんは雪を掴みながら、テレサちゃんを怪訝そうに見る。
「みんなまとめてやっつけるぞー」
「ブラヌー! ぜんめんせんそーだぞーーー!」
 悪ガキ達は、その隙に、木の後ろに駆け込んで雪を集めていく。
「おー、やるぞ〜」
 ヨルちゃんと雪遊びをしていたブラヌくんも合流して、雪の玉をたくさんたくさん集めていく。
「しょうめんからやるのが強くてカッコウいいやで」
 テレサちゃんはそう言うと、だーじゅくんと友達達の背をパシパシ叩いたり、腕をひっぱたりして中央に集める。
「うー……」
 みわちゃんの首根っこもつかんで、テレサちゃんは中央に連れてくる。
「いたい……ですっ」
 もう一人、走ってきた子がいた。
「ゆき、そんなにかたくしたらだめです……」
 喧嘩を止めようと走ってきた、外見4歳のコウちゃん(瓜生 コウ(うりゅう・こう))が流れ雪玉に当たって、涙目になる。
 悪ガキ達がだーじゅくん達に向けて放った固い雪の玉が、頭に当たったのだ。
「ひきょーなやつらだぜ、コウ、こっちこいよー」
 たーじゅくんがコウちゃんを引っ張って、一緒に雪だるまの後ろに隠れる。
「ないてんじゃねぇぞー」
「ないてません。あのこたち、ちいさなこにもいっぱいゆきぶっつけてるんです。だから、だから……」
 引っ込み思案で喋ることも苦手だけれど、コウちゃんは悪ガキ達が許せなくなって、飛び出してきたのだ。
「よわいものいじめはだめだよなー。おれはつよいものとたたかうんだぜ。いっしょにわかばぶんこーのやつら、たおそうぜ〜」
 こくんとコウちゃんは、だーじゅくんに頷く。
「ケンカはだめなの! ちゃんとゆきがっせんでけっちゃくつけるの!」
 続いて駆け付けたあおいちゃん(秋月 葵(あきづき・あおい))は、ブラヌくん達を説得しようとする。
「ゆきのたま、かたくしたらダメなの。あおいがつくってあげるの!」
「なんだよ、うるせーなー」
「いいじゃん、たまつくってくれるっていうし」
 悪ガキがあおいちゃんの方に雪の玉を投げようとするが、もう一人が止める。
「うん、あおいゆきのたまつくるよ。こっちのほうがにんずうすくないし、ゆきがっせんでしょうぶするんなら、こっちのチームにはいるの!」
「よし、おまえはおれたちのなかまだ。じゃんじゃんゆきのたまつくれよー」
「うん」
 あおいちゃんは悪ガキ達のチームに入ることにし、雪の玉を作り始める。
「ほらほらみんなよういして、いっしょにあそぶあそぶ!! かったひとがしてんのうやんなー!!」
 テレサちゃんが明るく、大きな声を上げる。
「よーし、さいごまでたってられたやつがしてんのーだな!」
 だーじゅくんが雪だるまの後ろから顔を出して言う。
「よぉし、このたたかいにかって、おれはしてんのうになる!」
 ブラヌくんも大きな声で答える。
「それじゃ、しあいかいしやー! ばしょはこのあたりだけやで! もりの中やマシュマロハウスの後ろにかくれたらはんそくやからな〜」
 テレサちゃんは大声を上げると、その場から離れる。
「いくぜー!」
「ざこからたおすぞ〜」
 ブラヌくん達と、だーじゅくん達が一斉に飛び出して、雪を投げつけ始めた。