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KICK THE CAN3! ~Final Edition~

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KICK THE CAN3! ~Final Edition~

リアクション

「今の所は異常なし、ですねぇ」
 メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)は運営本部のテントで、警備担当者のチェックを行っていた。
 エミカがPASDから拝借してきたお馴染みの高性能通信機と、電波発生装置により基地局としても機能している。
 が、芹沢 鴨、藤堂 平助は電子機器がまるでダメなため、二人の近くにいる人から状況を聞くしかない。もっとも、二人に関しては心配するほどでもないのではあるが。
「仮に何かあったとしても、それほど問題はなさそうだよね。まさか五機精全員集合が見れるとは」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が呟いた。
 エメラルド・アインは怪我人の手当て担当だが、他の四人はそれぞれ持ち場での警備についている。
 地上には、ガーネット・ツヴァイアンバー・ドライサファイア・フュンフの三人。
 上空には、クリスタル・フィーアと有機型機晶姫であるモーリオン・ナインの二人。
 相性にもよるが、彼女達の力は十分「神」に匹敵し得るものだ。クリスタルに至っては、生物相手ならほとんど無敵である。
「とりあえず、時間が空いてるうちに参加者や警備の人達が食べる料理でも作っておこうかな」
 エミカから打ち上げを別で計画している人達がいるとのことで、彼女が作るのはそれほど手間が掛からないものだ。
 食材は、彼女達のトラック汎用移動基地 出動さん一号で運んできている。
「わたくしも手伝いますわ」
 と、声を発したのはフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)だ。
 それぞれが配置につき、大荒野にしては珍しくやけに静かで特に何もないため、今は手持ち無沙汰になっている。
 そのため、メイベルも二人の手伝いをすることにした。
 おにぎり、サンドウィッチと手軽につまめるものの他に、豚汁、コンソメスープ、ミネストローネとスープ類も準備する。
「あとは、お菓子も作っておかなきゃね」
「お菓子、甘いものといったらクリスタルさんですぅ」
 アップルパイやタルト、ベイクドチーズケーキといったものは作ることが出来る。とはいえ、大の甘党である彼女なら、その甘い香りにひかれて警備どころではなくなってしまいそうだ。
「ふふ、私達が戦う相手は彼女かもしれませんわね」
 そういう話をしていると案の定というべきか、上空からクリスタルが急降下してきた。
「む、お菓子を作るのです?」
「はい。でも、つまみ食いは禁止ですよ」
「むむー、分かったです。ちゃんと全部出来上がるまで待つのです」
 おそらく、つまみ食いしたら食べれなくなると思ったのだろう。じー、っと物欲しそうな顔で食材を見回した後、再び飛び上がっていった。その際も、何度か振り返ったほどだ。
「よし、じゃあ始めるか」

 運営本部の横に並ぶように、もう一つテントが張られていた。
(早々に捕まったりすると、その後は暇になるんだよな)
 涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)は、本部に休憩所兼医療所を開設させてもらい、そこで待機していた。
 元々自身が缶蹴りに参加した時に、捕まった後は暇で仕方がなかったという思いを味わったため、そうなる人が出ないようにと申し出たのである。それに、空京での缶蹴りとはかなり状況が異なるため、万が一のことが起こる可能性だって十分にあるのだ。
「あとは、憩いの場なんだし、もう少し雰囲気を出しておきたいところだ。白衣の天使とか」
 エイボン著 『エイボンの書』(えいぼんちょ・えいぼんのしょ)へと視線を送る。
「え?と、白衣の天使ですか? 分かりました、せっかくですのでやってみますわね」
 変身によって、彼女がナース服になった。それに合わせて、涼介も白衣を羽織る。
「おっと、いよいよ試合開始か」
 フィールド内から爆発音が響いてきた。
 それが開始の合図だった。