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「死の予言」を打ち砕け!

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「死の予言」を打ち砕け!

リアクション

■□■

暗い森の中、鳥の飛び立つ音が響いた。

「近いのか? いや……」
マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)は、
振り返り、異質な気配がいまだないことを確認した。

「マグナ、村の人たちは」
リーシャ・メテオホルン(りーしゃ・めておほるん)が、
パートナーに気遣わしげに言った。

「問題ない。奴らがこちらを『選んだ』のは明白だ」
マグナが、確信を漂わせて言った。

(そうだ、間違いない。
あの予言が確かなものなら、この戦いで俺は……)


===
汝、マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)は、
魔物の群れに襲われた村人たちを助けるため、
自ら囮となって、命を落とすであろう。
===



(死は必然なり。
そして誰かを守って死ぬのは戦士の本懐である。
故に私は誰かを助ける為ならばその命をも差し出す)

もっとも、自分に「死」の概念が適用されるのか、
そのことは疑問ではあったが。

「リーシャ。機械に死の概念はあると思うか?」
「何を言って……」
パートナーの発言を笑い飛ばそうとして、
リーシャはふと、沈黙した。

「もしかして、あの夢を見たの?」
「来る!」

会話は闖入者によって中断された。

無数の黒い塊が――いや、それは四足獣であったり、
あるいは足が五本であったり、三本であったりした――が、
大地の戦士の身体を覆い尽くしたのだ。
瓜生 コウ(うりゅう・こう)の召喚した、なにものかの眷属であった。


「マグナ!」
「よし、計画通りだ。
あの予言が確かであるのならば」

――俺は、村人たちを守って死ぬのだから。

「マグナーッ!!」

大地の戦士が剣を振るい、魔物たちを屠っていく。
それと同時に、金属のきしむ嫌な音がして、
黒い魔物が戦士の身体を貪る。
(完全な機能停止……それが死ということか?
だが、それで、大勢の人が救えるのなら、悪くはない)

鈍く大きな音がして、マグナが倒れるのと同時に、
リーシャは、自らに死が訪れるのを知った。

(死は必然であり、運命である)

そんな言葉が、最後に、リーシャの意識を駆け抜けた。
恐怖はなかった。
パートナーはその志を遂げ、自らも運命を共にするのだから。

パートナーロストが、彼女の身に訪れ、安らかな死をもたらした。


2022年8月某日、マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)さんと、
パートナーのリーシャ・メテオホルン(りーしゃ・めておほるん)さんが死亡しました。
マグナさんは、イルミンスールの森の近郊にある村を襲った魔物の群れを、
自ら囮となっておびき寄せ、多数の外傷を受けて死亡したとみられています。
また、リーシャさんは、
パートナーロストの影響で、同時に死亡したとみられています……。