天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

死いずる国(後編)

リアクション公開中!

死いずる国(後編)
死いずる国(後編) 死いずる国(後編)

リアクション


そしてはじまるあたらしい世界
翌日


 死人によって少なくない被害をこうむった横須賀基地では、複数の軍人たちが忙しく立ち働いていた。
 待機を一時シャンバラ教導団の者に任せ、生き残った軍人はアメリカに引き上げることが決まったのだ。
 勿論、彼らの仕事はそれで終わりではない。
 外国に疎開していた生き残りの日本人たち。
 彼らが日本に戻るための手引きなど、やるべき事は山ほどあった。

 そんな喧騒の中、その人物は、一人基地の奥の部屋へと足を運ぶ。
 部屋には、ガラスケースに守られた氷が一つ置いてあった。
 それは今後、厳重に管理されるだろう。
 しかし、今だけは喧騒に紛れて対面することができた。
 氷の中には、首がひとつ。
『ヤマ』と名乗り、殺害されたローズの首だった。
「どうして」
 その人物は、呟いた。
「どうしてヤマは、生者に紛れ込む必要があったんだろう」
 何故、こんな試練が課せられたのだろう。

『――ナラカに溢れる死はシンプルだね。君は忘れているかもしれないけれど、地上にはもう少し複雑な死があるんだぜ?』
 ふいに、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
「……ウゲン」
 それは、かつての友の言葉だった。
 死。
 シ。
 し。
 SI。
 そうだ。
 自分は、それを知るために『ここ』へ来たのだ。

「あなたのシは、美しかった」
 その人物は、語りかける。
「どこかで、感じていた。ヤマを守る者の存在を」
 ガラスケースに顔を寄せる。
 息で白く曇るほど。
「ありがとう。あなたが、守ってくれていたのね」
 くるりとローズに背を向けると、その人物――本当の、ヤマ――七瀬 歩は、歩き出す。

 ヤマは、試練を終えた。
 これからは、新たな死溢れる世界のために――

担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 初めての方ははじめまして、もしくはこんにちは。
 「死いずる国(後編)」を執筆させていただきました、こみか、と申します。
 生と死の対決は、このような決着を迎えました。

 当初、絶望的に思われた多数の死人とコームラント・ジェノサイドの登場。
 しかし生者の方々の勇気と理智溢れる行動、協力によって、見事横須賀基地に宝珠を届けることができました。
 ここまで順調に運ぶとは思わなかった、というのが素直な感想です。
 犠牲者も、思いの外少数で済みました。

 しかし、ヤマを守る人物の行動の結果こちらも予想外の展開となりました。

 それぞれの方々の行動がとても魅力的で、リアクション執筆もとても楽しくスムーズに進みました。
 ほんとうに、生き生きと動いてくださったと感謝でいっぱいです。
 生き生きと動く様子も血にまみれ転がる姿も、どれも素敵でした。


 皆様の行動の結果、結実したこのお話。
 少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
 そしてまたどこかでお会いする機会がありましたら、よろしくお願いします。

■補足
<前編開始時に死人通知が送られたPCリスト>


アキュート・クリッパー
ロザリンド・セリナ
瀬山 裕輝
宇都宮 祥子
ドクター・ハデス
紫月 唯斗
小鳥遊 美羽
九条 ジェライザ・ローズ(ヤマの守り手)

<特殊な通知が送られたPC>

■ヤマの守り手
九条 ジェライザ・ローズ

■ヤマ
七瀬 歩

■気付きし者
アキラ・セイルーン

<特殊な通知>

■ヤマ
あなたは人間・契約者でありながら、ヤマの転生であり、ヤマの意識と因子を持っています。


ヤマは死人たちの王で、例え、死人側による宝珠奪還が失敗しようとも、
あなたさえ生き延びて横須賀に行くことが出来れば、世界はやがて、ヤマの望み通り、死に覆われることになるでしょう。

・ヤマの意識と因子を持ってはいますが、特別な力は一切ありません。
・死人に襲われ、死人にされるとヤマの因子は消滅してしまいます。

つまり、あなたは人間にそうだと気付かれないようにし、
かつ、死人からも生き延びて横須賀に辿り着かなければなりません。

これは「ヤマ」が死を溢れさせるための試練なのです。


■ヤマの守り手
あなたは死人です。
しかし、他の死人とは違う特別な役目を持っています。
あなたは、死人たちの王「ヤマ」の意識が、正常な人間・契約者の誰かに転生して因子として潜んでいるのを知っています。


・現在のヤマは死人としての力を持っていません。
・ヤマが死人に襲われ、死人化させられるとヤマの因子は消滅してしまいます。
・例え、宝珠が人間たちによって研究されたとしても、ヤマが宿っている人間さえ無事であれば、
 いずれ、この世界に死を蔓延させることが出来ます。

つまり、あなたは死人でありながら、
死人を倒し、ヤマが混じり込んでいる人間たちを守らなければなりません。
これは「ヤマ」に課せられた死を溢れさせるための試練なのです。


■気付きし者
あなたは人間ですが、宝珠の呼びかけを受け、下記の重要な事実に気付いています。

・死人ではない正常な人間・契約者の中に死人たちの王「ヤマ」の因子を持った者が紛れ込んでいる。
・「ヤマ」の因子を持った者は特殊な力を持たず、ただの人間、あるいは契約者である。
・これは「ヤマ」に課せられた死を溢れさせるための試練であり、「ヤマ」の因子を持った者が横須賀に到達すると、例え、宝珠によって一時的に日本が救われようとも、やがて世界は死で覆われてしまう。

つまり、あなたは死人たちから生き延びながら、
横須賀に辿りつくまでに「ヤマ」を排除しなければなりません。