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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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35)

紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は、
【葦原明倫館総奉行】ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)に、
空京の町へと連れて来られていた。

「たまには伝統的なだけじゃなく、
現代の日本の文化にふれるのも一興でありんす。
バレンタインの街を楽しむでありんすよ!」
「わかった、わかったから、引っ張らないでくれよ」
「さあ、行くでありんす!」
ハイナが、アグレッシブに唯斗の手を引いていく。

「あっ!
カップル対抗チョコ早食い対決をやってるでありんす!」
「え、なんだそのイベント!?」
「唯斗、さっそくニンジャスピリッツを見せてやるでありんす!」
「な、俺、参加するのか!?」
「他に誰がいるでありんすか!?
わっちはアメリカ人、
そんじょそこらの奴らにはチョコの大食いでは負ける気がしないでありんす!」
「たしかにな……。
相当、栄養取らないと、そういう感じには育たないだろうし……」
「どこを見ているでありんすか!?」
「いてっ!?」
ハイナに殴られ、唯斗はステージに連行される。
「さあ、ニンジャなら、一瞬にしてここにあるチョコを全部平らげてしまうでありんすよ!」
「そんな無茶な……!」
「いいからやるでありんす!
総奉行命令でありんす!」
「わかった、わかりましたよ」

かくして、唯斗は、およそ1年分くらいのチョコを食べる羽目になった。

「優勝でありんす!
よくやったでありんす!」
「ハイナ……そんなに食ったのに、よく平気だな……」
「賞品として、チョコ1年分をもらったでありんすよ!
褒美として、全部プレゼントするでありんす!」
唯斗は、鼻血を吹いてぶっ倒れた。