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第7章 夫婦で恋人

 2人で映画を楽しんだ後、辻永 理知(つじなが・りち)辻永 翔(つじなが・しょう)と共に、カフェに立ち寄っていた。
 2人はまだ見かけも実年齢も10代だけれど、契りを交わした夫婦だ。
 とはいえ、デートは同年代の恋人達と変わらない。
 はしゃいだり、手を繋いだり。普通のカップルと同じように、楽しい時間を過ごしていた。
「うーん、美味しい!」
 理知はチョコレートパフェのクリームをスプーンで掬った。
「はい、翔くん。あーん」
 そして、翔の口へと持っていく。
「あ、うん……」
 翔はちょっと周りの目を気にしながらも、口を開けて理知のチョコパフェを食べた。
「ここのパフェ美味しいよね!」
「うん、そうだな」
「パフェだけじゃなくて……」
 理知はじっと、翔が食べているスコーンを見る。
「どうぞ」
 視線に気付き、翔は理知に皿を差し出した。
 ……あーん、は照れてできないらしい。
「ありがと! いただきます」
 理知はスコーンにジャムをつけて、自分の口に入れる。
 翔はあまりジャムをつけてなかったので、理知は多めにつけて食べてみる。
「うんっ。美味しい〜」
「太るぞ」
 ぶっきらぼうに翔が言う。
「いいの、普段の食事、気を付けて作ってるから」
 理知は既に学校を卒業し、主婦をしていた。
 毎日早起きをして、教官をしている翔にお弁当をも作ってあげている。
「まあ、理知はやせ気味だし、もう少し太っても……可愛いと思うよ」
「ふふ、それじゃ太る時は一緒にね。幸せ太りしよう〜」
 ぱくっと、チョコパフェを食べて、理知はとっても幸せそうな笑みを浮かべる。
 その表情を見た翔も、淡い微笑みを浮かべていた。
「この後、イコプラショップ行こうね」
「え? うん。……理知、随分とイコプラにハマッてないか?」
 翔はデートの度に、イコプラショップに行っているような気がした。
「うん。翔くんの影響だよ」
「ホントに好きになったんなら、いいけど」
「無理して翔くんに合せたりしてないよ。最近、イコプラショップに行くの、楽しくて!」
 ちょっと躊躇した後、呟くように理知は続ける。
「いつかイコプラショップ作るのもいいなって思ってるんだ」
 まだ遠い夢だけど……。
「そうだなー。老後はイコプラショップ開いて、子供達に夢を売るっていうのもいいよな」
「老後って……翔くん、気が早すぎ!」
 理知は思わず大笑い。
「そっか」
 翔も照れ笑いのような笑みを浮かべる。
「翔くんは販売よりも……先生としてイコプラバトルのやり方を、子供達に教えてほしい、かな」
 理知はそんな風に淡い夢を語る。
 老後の夢ではないけれど。
 まだ遠い遠い夢。
「ああ、なるほど! 学校休みの日に、イコプラバトルの開催したり、未来のライバルを育てたりするのも、楽しそうだよな〜」
 翔も理知と同じ未来の姿を想像して頷いた。
「うん、私もイコンが好きで、これからも何か関わりたいなって思ってたから。夢に向かって頑張ってみたいの」
 そんな理知の言葉に翔はくすりと笑みを浮かべて。
「応援するよ、理知」
 優しい声で言った。
「それじゃ、今日は2軒回ってもいいかな?」
「いや、行きたい店は3軒ある」
「それじゃ、3軒行こう!」
 パフェとお茶を飲み終えると、理知がテーブルの上を整理し、翔が伝票を持って立ち上がる。
 夕食の下拵えは済ませてきてある。
 少し帰りが遅くなるけれど、残りの時間は、楽しむだけじゃなくて。
 将来のための勉強も、翔と一緒にするつもりだった。