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第5章 可愛いサンタからの贈り物

 クリスマスイブ。
 秋月 葵(あきづき・あおい)は、ロイヤルガードの宿舎の自室で、クリスマスパーティの準備をしていた。
 料理の仕込みを終えた後、部屋を飾り付けて、それからまた料理をして。
 ケーキには、大好きな苺をたっぷり使って仕上げた。
「よし! プレゼントも用意できてるし。あとは、2人が来るのを待つだけだよ〜♪」
 予定の時間より早く、全ての準備を終えて。
 葵は、料理をリビングのテーブルに並べながら、招いた2人――神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)と、アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)の訪れを待っていた。

「こんばんは」
 先に訪れたのはアレナだった。
「お店で買ったものですけれど、お菓子持ってきました。こちらのお花は優子さんからです!」
 アレナはお土産の、ホワイトとココアのスノーボールを葵に渡した。
 室内がいっそう、華やかになった。
 優子が頼んでおいた花束も花屋で受け取って持ってきた。
「ありがと〜♪ 入って入って」
「お邪魔します」
 葵の部屋に入ったアレナは、飾り付けられた部屋を見て、「ぴかぴか、キレイです」と、にこにこ笑みを浮かべた。
「アレナちゃんは、そこのソファーに座っててね。優子隊長は仕事長引いてるのかな?」
「はい、先月まであまり仕事出来なかった分、頑張ってるみたいです。そろそろ終わると思うのですが……」
 優子は宮殿での仕事を終えた後、葵の部屋でクリスマスディナーを楽しみ、その後ヴァイシャリーへ帰還する予定だった。
(アレナちゃんと一緒にいられる時間、短いなぁ……)
 アレナが優子と一緒にいたがっていることをよく知っている葵としては、複雑な気持ちだった。
「葵さん、花瓶に花を活けましょう」
「あ、うん♪ 花瓶花瓶〜と」
 葵は花瓶に水を入れて持ってきて、アレナと一緒に優子からのプレゼントである花を挿した。
「今年も色々あったけど、無事にクリスマスを迎えることができてよかったね」
「はい。皆無事で、本当によかったです……っ」
「えーと……去年も楽しかったけど……けどたっぷりお説教されたからなぁ……」
 去年のクリスマスのことを思いだし、葵は苦笑する。
 なので今年は、普通にアレナと優子に楽しんでもらうつもりだった。
 それからソファーに座って、他愛もない話を始めてすぐに、優子が葵の部屋に到着した。

「メリークリスマス」
 優子はシャンパン……に似せた葡萄の炭酸飲料を持って訪れた。
「メリークリスマス、優子隊長!」
「お疲れ様です、優子さん」
 葵とアレナは笑顔で優子を迎え入れて、早速パーティを始める。
「料理は、アレナちゃんと優子隊長の好みに合わせてに用意してみました♪」
 優子をソファーに座らせてから、葵は温かい料理と、ケーキをテーブルに運んできた。
「ケーキは自信作……今年最高の出来だと思います♪」
「苺が沢山で、可愛い、です」
「うん、形も良いし、美味しそうだ」
「それじゃ、切りますよー♪」
 葵はナイフを用いて、慎重にカットしてケーキを優子とアレナの皿に移し、自分の皿にも1切れ乗せた。
「準備、手伝えなくてすまなかった。今日は呼んでくれてありがとう」
 優子はそう言い、皆のグラスに飲み物を注いでいく。
 それから元気に乾杯をして。3人は食事を始めたのだった。
「このサラダ、リースみたいで崩すのもったいないな」
「そう、リースみたいに作りました。見て楽しんだ後は、是非食べてください〜♪」
 躊躇している優子に、葵はサラダをとってあげる。
「アレナちゃんもどうぞ」
 アレナの皿にも、ポテトサラダの上に緑色の野菜とトマトを載せて飾り付けた特製サラダを、乗せていく。
「ありがとうございます。葵さんの自信作の苺ケーキ、とっても美味しいです! 生クリームの甘さと、苺の甘酸っぱさが絶妙、です」
 アレナはケーキを食べて、ほんわり笑顔を浮かべていた。
「ありがとうございます♪ ……あ、そうだ管理人さんにもあげる約束だった」
 葵はそう言うと、ケーキを2切れパックに入れて、ちょっと行ってくるね〜と、言葉を残して部屋から出て行った。

 それから数分後。
「メリークリスマス♪」
 サンタの服と帽子を纏った少女が部屋に現れた。
「良い子だった2人にサンタからプレゼント! デース♪」
 サンタ――の姿をした葵は、優子とアレナに大きな箱を渡す。
「それではまた来年!」
 渡し終えるとサンタは風のように部屋から去っていった。

「ただいま〜♪ 今、サンタさんとすれ違っちゃいました」
 そしてまた数分後、葵は何食わぬ顔で部屋に戻ってきた。
「葵さん、お帰りなさい! サンタさん、このお部屋に来たんですよ」
「素敵なプレゼントを戴いたんだ」
 そう言って、アレナと優子はお揃いのティーカップを葵に見せた。
「わーっ、良かったね♪」
「はい! それで」
 アレナは優子に目を向ける。
 優子がこくりと頷くと、アレナは鞄の中からラッピングされた箱を取り出した。
「サンタさん、またこのお部屋にくるかもしれないので、お返しおいていってもいいですか? 可愛いサンタさんに優子さんと私からクリスマスプレゼントです」
「う、うん……。中身は何かな?」
「お花の形の石鹸です。お肌がすべすべになるそうなんです。ご家族の方と一緒に使ってほしいです」
「わー、ありがとう♪ えっと、預かっておくね」
「はい」
「よろしくな」
 3人はそれぞれプレゼントを手に、幸せそうに微笑み合った。
 貰ったティーカップに早速紅茶を入れて。
 料理とケーキを会話を楽しみながら、お腹いっぱいいただいて……。
 少しだけ時間を延長したけれど、遅くなる前に解散をする。
「来年もクリスマスパーティ、しましょうね」
 そう笑顔で約束を交わして。