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2024年ジューンブライド

リアクション公開中!

2024年ジューンブライド
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リアクション

 式場では、既にジブリールとベルテハイトが二組の新郎新婦の入場を待っていた。
「ああ、何と可愛らしい……フレンディス、こっちを向いておくれ」
 シスコン炸裂中のベルテハイトが、真っ先に声を掛けた。
 が、当のフレンディスはいざ式となると再び混乱に陥って、頭の中が真っ白になっていた。
「うわあ、綺麗……。フレンディスさんもセシリアさんも、凄く似合ってるよ!」
 ジブリールも素直に、セシリアとフレンディスのドレス姿に感嘆の声を上げた。
 ベルクと太壱も、何となくそわそわしている。
「……さて、それでは式に移ろうか」
 ベルテハイトに促されて、早速模擬結婚式が始まった。
「誓いの言葉を」
 様々な準備を終えたジーナたちも、後から式場に集まってくる。
 そんな中で、四人は結婚証明書にサインをしていた。
「これは何を行えばよろしいのでしょう……?」
「契約の書類に、二人の名前をサインするの」
「というのは、ここでしょうか?」
「そうそう、ここの書類の、この部分よ」
 セシリアはフレンディスに教えてあげた後で、ふと、気付く。
(これって、本物の婚姻届よね? ……ベルクさん、ここまでやる?)
 セシリアは婚姻届に記入しながら、首を傾げる。
(……もし、これが叶うなら)
 フレンディスの表情が、少しだけ緩んだ。
(ここにポチもいたら、よかったのですが……)
 その頃ちょうど家出中の忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)は、どこぞで結婚式に参列中だったのだが。
 さて、隣にいるベルクは、フレンディスのドレス姿と恥ずかしそうな表情をこっそり盗み見ていた。
(これが本番なら……いやこれだけ手を込んでくれたならそう思っておくべきか)
 ベルクは、ぐるりと皆を見回した。楽しそうな、幸せそうな皆の表情に、勇気づけられる。
 そうこうするうちに、フレンディスがサインを書き終えた。
「それにしても、フレンディスには素晴らしくこのドレスが似合う……」
 ベルテハイトがフレンディスのドレスを褒めて気を逸らしている間に、ベルクはさっと婚姻届を取った。
(……目的は、達成できた!)
 ベルクはフレンディスに知られないよう、婚姻届を厳重にしまい込む。
「それでは、ブーケトスに移ります!」
 セシリアは、フレンディスを促して、二人でブーケを構えた。
「……せーの!」
 二人の投げた青いブーケが、宙に舞う。
「ブーケをもらいやがるのですよ!」
 と、ジーナは地を蹴り、高く飛び上がった。ブーケに手を伸ばす気迫が他の人と違うのは、次は自分と衛の番だと息巻いているからだ。
 もうひとつのブーケは、たまたま真上にから落ちてきたジブリールが何ということもなくキャッチした。
「ツェツェ……良いのか、こんな式で?」
 ブーケを投げたきり、ポカンとしているセシリアに太壱が声をかける。
「え? うん、こういう式もありじゃない?」
 ブーケを手に取って飛び跳ねんばかりに喜ぶジーナを見ながら、ふふ、とセシリアが笑顔を見せた。
「むしろ楽しいわ、本当の式もこんな風にみんなに祝ってもらえると良いな……」
 セシリアの言葉を聞いて、太壱の口元に笑みが浮かぶ。
「……サンキュ、愛してるぜぇ!」
 そう言うなり、太壱はセシリアをお姫様抱っこした。
「ちょ、ちょっとちょっとタイチ、何でいきなり抱きかかえられてるワケ?」
「な……」
 太壱の姿を見たベルクは(今フレンディスを抱き上げたら確実に混乱するだろうな)と、一瞬戸惑った。
 その瞬間。ヒュン、と空を切って、何か大きなものが太壱とベルクの近くに降ってきた。
 ……米俵だ。
「きゃあ! 何で米俵が飛んでくるのよ!」
 投げつけているのは、衛だ。
「実りある生活を、ってね。そーらいくぞー」
 自身が模擬結婚式できなかった腹いせもあり、衛は積まれている米俵を次々と投げつけた。
 十俵も米俵を用意したのは、例によって根回しをした樹である。
「ライスシャワーよりも式場に迷惑のかからない、良い方法だな」
「物理的な意味で迷惑かかってる気がするが!」
 何故か納得してしまったグラキエスに、思わずベルクが突っ込む。
「うおらっ」
 太壱は米俵を片手でキャッチしては、ベルクの方にリリースする。
「ちょ、え、まっ、おわっ!?」
 次々と受け流されてくる米俵を、必死に受け止めるベルク。
「結婚式というのは、このようにして祝福されるのですか……」
 ベルクに手を引かれていくフレンディスは、完全にこれがライスシャワーだと覚えてしまったようだが。
「さ、逃げちゃえ逃げちゃえー! あ、披露宴用の美味い料理は食べとくから」
 新郎新婦ってな、結婚式でバクバク料理食べるものじゃないし。と、軽く笑いながら手を振る衛。
 セシリアを抱き上げたままの太壱と、フレンディスの手を引くベルクは、そのまま式場から駆け出していった。


 太壱とセシリア、ベルクとフレンディスの姿が、見えなくなった頃。
「皆さん、作戦の成功を祝って乾杯しやがりましょう!!」
 ジーナと衛、ジブリール、グラキエス、ベルテハイト、エルデネストは、おいしい料理に囲まれ、二組の恋人たちの幸福を祈って声高に祝杯を挙げたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

八子 棗

▼マスターコメント

 初めましての方は初めまして、そしてこんにちは。
 今年もジューンブライドを担当致しました、八子 棗です。

 まずは、ご結婚なさった皆様、おめでとうございます。
 皆様に甘い時間も大混乱の時間も(?)楽しんで頂けたなら幸いです。

 それでは、また他のシナリオでお会いする機会がございましたら、お会いしましょう。