リアクション
■ 天使と回れ ■
とても幸せな夢を見た。
目が覚めた後、続きを見る為にもう一度寝ようかと、真剣に考えてしまった程だった。
リア・レオニス(りあ・れおにす)は、夢の中で、未だ女王時代のアイシャと、遊園地へデートに行ったのだ。
「アイシャは帝国に居たから、地球式の遊園地には、馴染みが無いだろう?
公務の合間に、一緒に行こう。連れて行ってあげるよ」
「本当?」
「いつも公務を頑張っているアイシャにプレゼント」
リアの誘いに、アイシャは、「楽しみです」と言って、すぐに予定を空けたのだった。夢は便利だ。
片っ端から、色々な遊具で遊ぶ。
「リア、あれは何ですか?」
アイシャが目を留めたのは、コーヒーカップの遊具だった。
「説明より、乗ってみよう」
リアはアイシャの手を引いて、次の遊具に向かう。
カップの中の椅子に座り、真ん中のターンテーブルを少し回してみせる。
「これを手で回すと、カップの回転が速くなるんだぜ」
「まあ」
ぐるぐる回っていたり、カップ自体は全く回っていなかったりする周囲のカップを見て、アイシャは得心して頷く。
「じゃあ、回そうか。それっ!」
リアはターンテーブルを回して、カップを超高速回転で回す。
「きゃあ!」
カップに振り回されながら、アイシャは楽しそうに笑った。
カップを降りるアイシャに、手を差し出す。
「少し調子に乗りすぎたかな」
全力で回し過ぎた。
カップが止まった時には二人ともフラフラで、少しの間まっすぐに歩けない程だった。
「……酔ったかも……」
「えっ、大丈夫か、アイシャ!?」
よろめくアイシャを、リアはそっと受け止める。
「どこかで、少し休もうか」
「……大丈夫です」
優しく笑いかけるリアに、アイシャは小さく深呼吸を繰り返して、感覚を落ち着けた。
「ごめんなさい、ありがとう」
見上げて微笑むアイシャと見つめあい、微笑みあう。
そこで目が覚めたのだった。
寝返りを打ち、天井を見て、リアはアイシャを想い、願う。
あんな風に過ごせる日が、いつか来るといい、と。