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【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】

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【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】
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リアクション

■□■2■□■「スパイとか忍者っぽくてかっこいいでござる!」

 大変なことになっている戦場に、
 南 鮪(みなみ・まぐろ)がスパイクバイクに乗ってやってきた。
 「ヒャッハァ〜収穫だァ〜お前らのも収穫してやるぜぇ〜!
 手前らここはパラ実のシマって事忘れてるんじゃねえか!」
 鮪の手に白い布が握られている。
 バレンタインにゲットしたワレンティヌスのパンティであった。
 「おっと、このチョコレートの化身のホワイトチョコレートは大事にしないとな」
 鮪が懐に「ホワイトチョコレート」をしまったのを、
 戦場に解説に来ていたワレンティヌスが目撃し、叫びながら飛び出す。
 「こらあああああ!
  俺のパンツ返せぶっ殺すぞ!!」
 「聖ワレンティヌス様!?
  あれは『聖遺物』!
  なんとしても取り戻さねばならん!」
 ロドリーゴ・ボルジア(ろどりーご・ぼるじあ)が、続いて突撃する。
 「ええっ、どうしてここにワレンティヌスさんが!?
  ていうか、パンツって……」
 ワレンティヌスの服に似た聖職者風の格好をしていた、
 ケイラ・ジェシータ(けいら・じぇしーた)は、ざんすかに味方するため、
 砕いたチョコでじゃたを誘導しようとしていたのだが、
 ワレンティヌス本人に会えるのは予想外だったため驚く。
 「今日は地祇大収穫祭だァ〜、
  身包みはがした後は全地祇から観光地の絵葉書奪って全員俺のものにしてやるぜェ〜ヒャッハァー!」
 「とりあえず、取り返さないとね……」
 ケイラは、赤面しつつも、鮪に向かおうとするが、目の前に、ボロボロの老人が現れた。
 鮪のパートナーの地祇種モミの塔の精 たねもみじいさん(たねもみのとうのせい・たねもみじいさん)であった。
 (よ、ようわからんが十二星華がおると長なんかいのう。
  ならわしがシャンバラ全体の地祇の長じゃな!)
 ミルザムは女王候補であって十二星華ではないのだが、
 それ以前に、ボケた頭で自分が全地祇のリーダーであると勘違いしたたねもみじいさんは、
 ケイラの前にもんどりうって倒れた。
 「え? え!?」
 「こ、このままではあ……明日……明日が〜……地祇の明日が……」
 「ヒャッハァー!!
 パラ実では少年少女よりも種モミを持った瀕死の老人の方が
 人を集め惑わせ襲撃欲などを刺激し人を狂わせるのだ!」
 鮪が解説する。
 「こ、これで……争いがなくなる……」
 たねもみじいさんの真意は、我が身を犠牲にしてでも地祇の争いを止めることであった。
 「これって、あきらかに罠だよね……でも……」
 ケイラはたねもみじいさんを無視できないが、意を決して鮪に向かって走り出した。
 「このままじゃワレンティヌスさんの貞操がっ!!
  ごめんなさい、自分を恨んでいいですっ!!」
 「ヒャッハァー!
  飛んで火にイルミン女装男子だぜェー!!
  お持ち帰りだァ〜、食べ放題だぁ〜、今日はこいつと地祇でバイキングだぜ」
 「きゃあああああああ!?」
 しかし、ケイラは鮪に捕まり、地祇たちと一緒に拉致られる。
 「いざ取り戻さん!
  『聖遺物』!」
 「とりあえず、ソッコー燃やす!
  ていうかてめーら全員記憶消してやる!」
 ロドリーゴとワレンティヌスが、鮪を追う。
 「おお、なんと破廉恥な!
  果たして、この内乱の闖入者は、戦況にいかな影響を与えるのでありましょうか!?」
 その様子を一部始終、ミヒャエル・ゲルデラー博士(みひゃえる・げるでらー)が実況し、
 アマーリエ・ホーエンハイム(あまーりえ・ほーえんはいむ)が撮影するのであった。

 その隙に、ケイラのパートナーの地祇バシュモ・バハレイヤ(ばしゅも・ばはれいや)が、
 くだいたチョコを撒いてじゃたを誘導する。
 「おねにーちゃん、モヒカンの人とどっかいっちゃたわー、まーいっかー。
  なーなーじゃたおねーちゃんー、あっちにチョコレートがあるでー。
  うちがチョコレートぜんぶたべちゃうでー! あーあまそうーおいしそうやわー♪」
 「がるるるるるるじゃた」
 狂乱状態のじゃたは、バシュモによって誘導されていた。
 「ふふふ、これで、だいさんのちぎーのせーりょくをつくる、
  ないかいおねーちゃん主催のばとるろわいやるにとつにゅうやー」
 「おお、また地祇が……。
  こんなに地祇に会うのはえらくひさしぶりな気がするのう……ぎゅみゃ」
 「ん? なんかふんだかなー?」
 「がるるるるるじゃた」
 バシュモは、じゃたと一緒にたねもみじいさんを踏み越えて、仲間のもとに向かうのであった。


 一方そのころ、クロセルに拉致られたつぁんだは、なぜか野球に巻き込まれていた。
 「どうせなら、野球で勝負しようぜ。春はセンバツからだ!」
 七尾 蒼也(ななお・そうや)が、朝臣 そるじゃ子(あさしん・そるじゃこ)とともに、
 ユニフォームに身をつつんでつぁんだに言う。
 「チーム名は……「ミスティルざんすかーず」と「ヴァンガードつぁんだず」なんてどうだ?」
 「どうしてこんなことになったざんす!?」
 「がるるるるじゃた」
 ざんすかとじゃたもユニフォームを着せられていた。
 「何言ってるんだよ、僕がどうしてそんなこと……」
 金属の音がして、つぁんだの後頭部に銃口が突きつけられる。
 「おとなしく言うこと聞けよ」
 「あばばばばばば」
 「お、つぁんだを着替えさせてやるなんて、もう仲良くなったのかそるじゃ子」
 蒼也は笑顔でいい、つぁんだが涙目で必死で訴える様子には気づかないのであった。

 「あれ、でも、なんか人数が足りないみたいだな……。
  しかたない、俺がちぎのたくらみで10歳くらいになって一人二役で選手をしよう。
  小さいときの偽名は……「カツ也」とでもするか?
  我ながらセンスないな」
 「きゃー、カツちゃーん、なでしこをこうしえんにつれてってくださいー」
 5歳くらいの女の子が、けなげにポンポンを振り回し応援する。
 譲葉 大和(ゆずりは・やまと)が、ちぎのたくらみを使って、さらに女装した姿であった。
 芸名「朝顔 撫子(あさがお なでしこ)」として、
 自ら新時代のアイドルとなるべくセルフプロデュースしているのであった。
 「誰だ……?
  いつのまにか大和もいないし、どこいったんだ?」
 (ふふふ、蒼也きゅん、気づいていませんね……)
 大和こと撫子はほくそ笑む。
 そんな大和のパートナーの地祇きゃぷてん レインボゥ(きゃぷてん・れいんぼぅ)は、
 「ヴァンガードつぁんだず」のメンバーとして、バッターボックスに立つ。
 「あたい野球やってみたかったんだ!
  エースで4番でキャッチャーでサウスポーで指名打者なんかあたいの為にあるよなもんだぜ!」
 正体がばれるのをおそれた大和により、
 「ヴァンガードつぁんだず」選手として登録されたレインボゥが、釘バットを二刀流で抱えて振り回す。
 「あらゆる物の姿は時間と共に移ろいゆくモンなんだよ!
  俺は今のざんすかたんが好きだから、過去の事なんて関係ねーな!
  話きいてりゃジーサン相手に3人がかりでボコったよーに聞こえるが
  てめーら大層な卑怯モンだな? おい?」
 ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)は、俄然やる気でざんすかの味方についていた。
 「いったいいちで戦わないのは、卑怯者でありますー!
  ルナちゃんはルナちゃんが育ったジャタの森が当然大事なのであります!
  じゃた殿の警備は任せて欲しいであります!
  ジャタの森の一員として、
  つぁんだなんかにはぜーーーったい負けないのであります!!」
  ウィルネストのパートナーの獣人ルナール・フラーム(るなーる・ふらーむ)も、
 「ミスティルざんすかーず」メンバーとして、全力を出していた。
 「あれ? 振り回してたらすっぽぬけたぜ」
 レインボゥの手から釘バットが1本離れ、思いっきりすっ飛ぶ。
 「ぎゃああああああ、何してるざんす!」
 「え、ざんすかたん、ラリアットは自重してくれるとうれし、ごふうっ!? がはぁっ!?」
 釘バットを避けようと、ざんすかがウィルネストをぶっ飛ばして盾にする。
 「あ、もう1本もすっぽぬけたぜ」
 レインボゥが言う。
 「じゃた殿あぶないであります!」
 怪力天然脳味噌米粒大と称されているルナールが、全然関係ない場所にいるじゃたを突き飛ばす。
 「がるるるるるるじゃた」
 「ごばあ!?
  ぐぎゃああああああ!?」
 もう1本の釘バットもウィルネストに直撃し、直後、じゃたによる「じゃたファング」を喰らった。
 「ああっ、じゃた殿の牙を受けた者は、
  ジャタの森の戦士に選ばれるのであります!
  うらやましいであります、ウィル殿ー!!」
 ルナールは、ふかふかのキツネ尻尾をぱたぱた振って叫んだ。

 自称、宇宙に行った地祇のラウム・ゲットリヒ(らうむ・げっとりひ)が、
 眠そうな顔に笑みを浮かべて言う。
 「あはぁ。
  ひさしぶりにかえってきたら、なんかみんなでたのしそうなことしてるー。
  ボクもまぜてー」
 ラウムは、「ヴァンガードつぁんだず」のベンチに突撃し、
 つぁんだ軍の地祇たちにプロレス技をかけまくった。
 「ざんすかがラリアットじじいとして名をはせたなら、
  ボクは投げ技最強とうたわれていたんだよぉ。
  ていやぁ、バックドロップー」
 「きゃー」
 「ジャーマンー」
 「ひゃー」
 「ノーザンライトボムー」
 「あー」
 ちゃんと技を受けてくれるのは、つぁんだ軍の地祇の流儀らしい。

 「ついさっき、契約したラウムにおねだりされて来てしまった大荒野だけど、することないわー」
 ラウムのパートナーの茅野 菫(ちの・すみれ)は、
 けだるげにあたりを見回していたが、撫子の姿を発見した。
 「みんなー! がんばってください! です♪」
 男ゆえにわかるちら見せのギリギリラインや、
 見た目5歳の女の子が体に対して大き目のポンポンを、
 大きな動きで一生懸命表現しようとするあざとい演技により、
 乱闘が盛り上がっていた。
 (うふふふふ♪ 
  あさがおにはどくがありますからねぇ……しょうたいばれたら、みんなくだしちゃいますねぇ♪)
 「きゃあああかわいいいいいい」
 菫が、撫子を抱きしめて、なでぐりまわし、セクハラしまくる。
 「え、ちょ、菫さ、あんっ」

 「えー、おせんにキャラメル、
  レーションにドリンク各種、医薬品に武器防具、
  謎のメイド印の野球のバットに野球のバットに野球のバット、
  観光地の絵葉書、
  元イルミン生が描いたかもしれない怪しげな同人誌、その他各種なんでもございます。
  御用の際はお気軽にお声をお掛け下さぁい」
 皇甫 伽羅(こうほ・きゃら)が、教導団の倉庫から勝手に持ち出した、
 不良在庫を大量にレンタル馬車に積み、
 売り子をして回る。
 パートナーの関聖帝君に見えないこともないゆる族うんちょう タン(うんちょう・たん)は、
 溜息をつきつつも、光学迷彩で護衛として付き従う。
 「義姉者……。
  銭ゲバは今に始まったことではござらぬが。
  とにかく、戦場のど真ん中で行商をするとなれば、厳重な護衛が必要でござるな」
 同じく、伽羅のパートナーの英霊皇甫 嵩(こうほ・すう)も、溜息つきつつ付き添う。
 「……まあその、確かに教導団財政のことを考えてのことではあるな。
  とはいえ戦場に略奪は付き物、野球場のスタンドの売り子気分ではならぬぞ、伽羅よ。
  気を引き締めてかかるがよかろう。
 今回はこの義真自ら荷車の御者を務め、略奪を防ごうではないか」
 「おい、野球のバットをありったけ貸せ!
  いろんな意味で武装が必要なんだ!」
 つぁんだが馬車から、野球のバットを引っ張り出そうとする。
 「このうんちょうが見張りに立つ以上は、万引き・カッパライの類は許しませぬぞ!」
 「ぎゃー、なんか出てきたー」
 青龍偃月刀っぽい何かを突きつけられて、つぁんだが尻餅をつく。
 「ふふーん、つぁんだ軍の地祇は契約者じゃないようですねぇ。
  大丈夫ですぅ、メイリン教官に怒られないよう、
  1レベル品の武器防具しか持ってきていませんよぉ。
  倍額支払えば、不問に付しますぅ」
 「義姉者、どこまで……」
 うんちょうタンが嘆息する。
 「なんだかよくわからないが、団長が気にされていたぞ!
  まあいい、金ならあるんだ!」
 つぁんだが、財布から人数分の野球のバットの支払いをしようとする。
 「ん? これは? 『おつとめ品:デリンジャー』?」
 「ああ、お目が高いですぅ」
 「これは万引きで倍額の対象にはならないだろ。
  半額に……」
 「お客人、危険を冒しての戦場往来物売りから物を買う以上は、多少高値でも当然でござりましょう。
  恥ずべきは準備不足の己の慢心にござりますぞ。
  従って、この皇甫義真、一銭たりとも値切りは認めませぬ!」
 皇甫 嵩が、つぁんだの言葉をさえぎる。
 (最近伽羅に毒されたかのぉ)
 そんな思いは表に出すことはない。
 「わかったよ!」
 つぁんだは、札束を伽羅に叩きつけると、バットと「デリンジャー」を抱える。

 「あれ、あんた、大和じゃないの?」
 「ひ、ひどいですー」
 菫に全身さわられまくっていた撫子が言う。
 「あはー、こうだよー」
 ラウムが、戻ってくると、
 菫をぎゅっと抱きしめてこうだよーとジャーマンスープレックスの手順を教える。
 「こう?」
 菫が撫子につい技をかけてしまう。
 「にゃあああああああ!?」
 放り投げた後、撫子こと大和に、菫が決め台詞を放つ。
 「最低ぇ」


 「場外乱闘はスポーツマンシップに反するんじゃ……もはや誰も聞いてないな」
 常識人の蒼也が言う。
 「わはははは、とりあえず君たちを倒せば、
  武器が手に入り放題だ、ぐあああああああ!?」
 「きゃー」
 「ぬおー」
 「むうー」
 伽羅、うんちょうタン、皇甫 嵩は、
 「デリンジャー」暴発の際に馬車に積んであった火薬の爆発に巻き込まれ、
 「るる10号」、「るる11号」、「るる12号」になった。
 「ぐはっ……」
 つぁんだは黒焦げになって煙をはいて倒れる。


 一方そのころ、ナーシュ・フォレスター(なーしゅ・ふぉれすたー)は、
 パートナーのカエルのゆる族井ノ中 ケロ右衛門(いのなか・けろえもん)とともに、
 地祇に聞き込みを行っていた。
 実は、ウィルネストのパートナーの地祇パラミタ 内海(ぱらみた・ないかい)の作戦で、
 つぁんだの弱みを収拾するという計画なのであった。
 「スパイとか忍者っぽくてかっこいいでござる!
  地祇は土地に祭られる存在だから、お供え物を参考にしたでござる。
  お菓子とかお酒とか油揚げとか持ってきたでござるよ!」
 忍者に憧れるナーシュは、お年寄り地祇に優しい孫のように接する。
 「ふっ、俺がこんな裏方作業やらされるたぁな。
  これでも昔は時代劇スタアとしてならしたもんよ」
 そう言いつつも、ケロ右衛門は、
 グレーのコートにハットを目深に被り、スパイとも探偵ともつかない格好で、
 ノリノリであった。
 「あっ、そこの君!
  お茶しようでござるー!!」
 ナーシュは女の子地祇のナンパに走ったため、ケロ右衛門がお年寄り地祇にたずねる。
 「つぁんだが昔やった悪事とかはないのか?
  叩けばホコリが山ほど出てきそうじゃねえか。
  こんな戦争つきあわされて、じいさんも迷惑してんだろ?」
 「むー。じいさんとか言うな。
  つぁんだは、悪徳商人だよ。
  6大都市の地祇の中では一番弱いけど、
  金を使ったり他の地祇をだましたりで、
  無理やり言うこと聞かせてたんだよ」
 「ほほう、そいつぁ面白ぇや」
 ケロ右衛門がニヒルな笑みを浮かべ、携帯を取り出した。

 「ファタの姐さん、どうにかあの態度のでっかい古臭い地祇どもの弱みを探してください!
  後生やー!」
 パートナーの地祇ノル・フリッカ(のる・ふりっか)に泣いて土下座されたため、
 ファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)も、つぁんだやざんすかの身辺調査を行っていた。
 「もはや、つぁんだの味方しててもしかたないじゃろ、
  んふ、さあ、これをお食べ」
 「えぐえぐ、ありがとうございますぅ」
 ファタがつぁんだ軍の地祇にペロキャンを渡すと、あっさり懐柔された。
 「なに、つぁんだが、借金の取り立てを傘に、
  味方しなかったらすぐに耳をそろえて返せと迫ったじゃと?
  そのかわり、地祇の長になったら、
  観光地の絵葉書がバンバン売れるような有名都市にしてやるって言われたのか」
 「安心しいや!
  ジジババ地祇どもにでっかい顔させてたまるかい!
  あてはでっかいやつらが大嫌いなんじゃー!」
 ノルが、ファタの頭の上でふんぞり返る。
 
 パラミタ内海と、蒼也のパートナーの地祇イリヤ・アブクマ(いりや・あぶくま)が、
 野球場に現れて、黒焦げになっているつぁんだに迫る。
 「ぐはっ、今度はなんだ君たちは!?」
 「デカい町の地祇だからって、リーダーぶるとか許せんにゃー。
  そもそも街の地祇だけで地祇のリーダー争いするとか、
  色々な地祇に対して失礼じゃよね?
  むしろわしが許せねーので成敗いたす」
  パラミタ内海は、「わしが地祇のリーダーになるのじゃよー」とか考えて、
 つぁんだとざんすか両勢力の混乱を狙い、
 派閥を崩壊させて「ちぎーバトルロワイヤル」を開催しようと画策してきたのだった。
 「つぁんだは、ざんすかを罠にかけただけじゃなく
  きまくとひらにぃの悪い噂を流して仲間割れさせたんだよ〜、ひどいよね」
 「な、なぜそれを知って……いや、デタラメだぞ、そんなのは!」
 イリヤの適当な悪事捏造に、つぁんだが驚き、つぁんだ軍がざわめく。
 「つぁんだは、貸したお金をとんでもない利息をつけて
  強引に取り立てする血も涙もない高利貸しだよ。
  何人の地祇が首をくくったことか……かわいそう〜」
 「僕は高利貸しじゃない! トサンで複利返済とか、ごく普通じゃないか!」
 「つぁんだはのぞきが大好きなんだ!
  今回も実はエリザベート校長と超ババ様をのぞきにきたんだよ!
  油断しちゃだめだよ!」
 「そんなわけあるかー!
  1Gの得にもならないじゃないか!
  僕ならむしろのぞきたい連中に双眼鏡やカメラを売って、
  暴利をむさぼってやるよ!」
 「つぁんだはカツ丼食い逃げ常習犯だ!」
 「してないっつーの!」
 しかし、むきになって否定すればするほど、つぁんだ軍の士気は揺らぐのであった。
 「おお、ロリっ娘たちがあんなに戯れて……。
  嘘の中には少しだけ真実を混ぜる、
  それが基本というものじゃ。
  つぁんだは本当のことしか言っとらんのじゃろうが、
  どんどん深みにはまっていくのう」
 【ロリのオーソリティー】ファタが、光景をほほえましく見守る。
 「当然のようにリーダー面しているつぁんだに諾々(だくだく)と従うのは
  リトル愚かだと思うにゃー!
  誰が強いかは実際戦って決めればよいのじゃよ!」
  内海が、つぁんだに飛び蹴りを喰らわす。
 「何するんだ、ぎゃー!?」
 顔面に飛び蹴りを喰らったつぁんだが、内海に反撃する。
 「ふふふふふ、パラミタ中の地名にはわしの名前が入ると決まっておったのじゃよー。
  ツァンダの町は今日から『パラミタ内海の町』に改名だにゃー、
  ザンスカールの森は『パラミタ内海の森』だにゃー、
  ってぎゃーーーーーーーーーーーーーーー!?」
 「意味がわからないよ!
  君みたいなちんまい子どもに負けてたまるか!」
 「何勝手に決めてるざんす! 裏切る気ざんすか!?」
 つぁんだとざんすかと内海が殴りあっていると、
 ルナールがウィルネストを引きずって走ってきた。
 「じゃた殿を守るため、先手必勝であります!」
 「うわああああああああああ!?」
 「あれ? 今投げたのウィル殿でありますか?」
 「がるるるるじゃた」
 「わあああああ」
 「ぎゃあああああ」
 「ぎにゃー」
 「ひゃうー」
 「うやあああああ」
 「のわうー」
 「あはぁー」
 「ぬひゃー」
 ウィルネストには、まだじゃたがかぶりついており、
 つぁんだもざんすかも内海もイリヤもノルもレインボゥもラウムもバシュモも、
 まとめてじゃたに襲われた。

 「まだ両チームとも1点も入ってなかったんだが……」
 蒼也が言い、なし崩しに野球は終了するのであった。