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横山ミツエの演義乙(ぜっと) 最終回

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横山ミツエの演義乙(ぜっと) 最終回
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プロローグ 池袋


2015年。
池袋、乙女ロードの執事喫茶。

 バズラ・キマクは目の前にいるイケメンの執事に戸惑っていた。
「お嬢様、いかが致しました?」

(……カップリングが、浮かばないよ!)

 地球が出現した2009年以降、BLが人生の全てとなったバズラにとって、全ての男はカップリングの対象でしかなかった。
※ただしイケメンに限る。

 どんな状況であろうとカップリングを組み上げる妄想力。
 それはバズラの臨機応変の指揮能力の源泉でもあった。

 そのバズラが初めて出会ったタイプであったのだ。

「お嬢様はパラミタの方のようですが、この地についてご存じですか?」
 執事は慇懃無礼であった。
「腐女子の聖地、それ意外に何の意味がある?」
「豊島区東池袋。日本の敗戦を象徴する地だ」
「それがどうした? あたしはBL読む以外は今も戦争を続けているよ、荒野でね」
「だからここで待っていたのだ。バズラ・キマク。お前を荒野の王にしてやろう」
「面白い事をいうじゃないか」
 バズラはキマク家の家督を巡り、姉妹と死闘を繰り広げていたのだ。
 だが。
「お前に何が出来るっていうんだい?」
「俺はこの国を支配するために、人を支配する方法を学んできた。……その成果を試したい。ドージェ信仰を根幹に据えた四天王体制。それがあの荒野の蛮族と不良を支配する最適の方法だ」

(そういう事か)

 バズラはようやく理解した。
 目の前の執事、鷹山剛次は自分のパートナーだったのだ。
 だからカップリングが浮かばなかったのだろう。

 ならば言うべきことは一つ。

「ひとつだけ約束してもらう。どんな支配を行おうと構わないが、BLだけは規制させないよ」