校長室
地球に帰らせていただきますっ!
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おかえりと迎えてくれる場所へ とある住宅街にある青い屋根が目印の一軒家が、無限 大吾(むげん・だいご)の実家だった。そしてその隣には、西表 アリカ(いりおもて・ありか)の両親の住むオレンジ色の屋根が印象的な家がある。 そう、大吾とパートナーのアリカの家は隣同士に建っている。だから里帰りも当然一緒に、同じルートで帰ることになる。 「とーちゃん、かーちゃん、どうしてるかなぁ」 大きくて強くてワイルドな父、キレイで凛々しい母。どちらも元気にしているだろうか、とアリカは逸る気持ちで家路を急ぐ。 帰ったらたくさん話がしたい。 学食のハンバーガーが絶品だったこと、大きな蜘蛛と戦ったこと。きっとどの話も、両親共に楽しそうに聞いてくれるに違いない。 「みんな元気にしてるかな……」 大吾も自分の家族の顔を思い浮かべる。 優しくて頼りになる父、おっとりした性格の母、熱血スポーツマン系の兄に、腕白盛りの弟。パラミタの学校に通っていると、なかなか家族と会える機会がないから、こうして帰省できることは何より嬉しい。 帰ったら何を話そうか。 蒼空学園の先輩たちのことはどうだろう。みんなとても良い人だ。それともろくりんピックの話にしようか。自分が出ることになったと聞いたら、家族はどんな反応をしてくれるだろう。 久しぶりの家族との再会を楽しみに、2人はそれぞれの実家を目指した。 遅い時間のチケットしか取れなかったから、家に到着する頃には太陽は西の端に近づいていた。 2人の家も夕焼け色に染められている。その前に立つ影に気づいて、アリカが駆け出す。 「とーちゃん、かーちゃん!」 「あれ、うちの父さんもいる」 何か話している様子だけど、と大吾が首を傾げているうちに、アリカは父母の元に飛び込んだ。 「ただいま! とーちゃん! かーちゃん!」 「おぅ、アリカおかえり! 元気にしてたか?」 アリカの父西表 雄蔵の大きな手が乱暴にアリカを撫でる。 「うん、ボクはいつも元気だよ!」 「そうか、元気か! がっはっはっはっは〜!」 雄蔵は豪快に笑うと、アリカからやや遅れて到着した大吾にも挨拶をする。 「大吾もおかえり! 随分たくましくなったなぁ! 今度俺と組み手でもしてみるか? がっはっはっはっはっは〜!」 雄蔵は2mを越える巨漢に、こげ茶の猫耳と尻尾を生やしている獣人だ。その隣では大吾の父の無限 大作が目を細める。 「やぁ、おかえり大吾。なんだかたくましくなった気がするね。父さん嬉しいよ。アリカちゃんもおかえり。相変わらず元気いっぱいだね」 「ただいま! でもどうしてみんな大吾の家の前にいるの?」 アリカが尋ねると、雄蔵はそうそうと思い出したように説明する。 「今日は無限さんのところで、お前たちのお帰りパーティやるぞ!」 「お帰りパーティ? うわぁ、楽しそうだなぁ♪」 「アリカの荷物をうちに置いたら、すぐ行くからな。今日は最高の1日になりそうだ」 そう言って雄蔵はアリカの荷物を代わりに持ち、さっさと自分の家に入って行く。 「着替えたらすぐ行くから待っててね」 アリカも大急ぎで身を翻す。 「大吾、積もる話はパーティでしよう。みんなリビングで待ってるから、とりあえずただいまを言ってきなさい」 大作に言われ、大吾はリビングに入って行った。 「ただいま」 「お帰りなさい」 パーティの用意をしているのだろう。エプロンをかけた母が皿を運ぶ手を止めて微笑む。 「お帰り。元気そうだな」 兄はよく日に焼けた健康そうな顔を大吾に向けてくる。 「大吾兄ちゃん、お帰り!」 弟は嬉しさを隠さずに、目一杯の笑顔で大吾を迎えてくれた。 家族っていいものだと、大吾は改めて思う。 そんな家族たちと隣のアリカの家族が揃ってのお帰りパーティがもうすぐ始まる。 (今日は幸せな1日になりそうだ) 温かさに包まれながら、大吾は心からそう思うのだった。