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リアクション
第一章 御輿入れ5
葦原明倫館分校。
マホロバ城下に作られた明倫館の分校である。
ここでは、大奥に入れなかった女性の決起集会なるものが行われていた。
「巨乳というだけで将軍に嫌われ大奥に入れないとは、なんと世知辛い世の中だ!」
シャンバラからやってきたという霧島 玖朔(きりしま・くざく)は、胸の大きな女性たちを前に熱弁をふるっていた。
彼は巨乳の美しさ、素晴らしさを得々と語っている。
「君たちの美貌、乳房は天の恵!さあ、俺と一緒に立ち上がろうじゃないか」
玖朔と共に来た英霊伊吹 九十九(いぶき・つくも)と機晶姫ハヅキ・イェルネフェルト(はづき・いぇるねふぇると)も手伝って声を掛ける。
「……でも、ちょっと反応薄いわね」
「ええ、たぶん。玖朔の下心を見透かされてるのかも知れませんね」
冷静に分析するイェルネフェルト。
女生徒たちは明らかに不審そうにしている。
「ほう、反幕府の集まりってここかい?『牛鬼会』ってさ」
二人は、背後から銀髪に眼帯をした侍に声を掛けられた。
「何だ、貴様は。男には用はないが? ここは巨乳のための会だが?」
「なあんだ、違うのか。俺はてっきり反幕府の集会かと思ったんだがな」
間に割り入った玖朔を前に眼帯の侍はニヤニヤと答える。
「ま、他人の趣味にケチ付ける気はないぜ。マホロバ将軍様だって、乳の無い女が好みってんならそれでいいじゃねえか。その分、でかい女は俺たちにお鉢が回ってくるかも知れねえしな」
「それは一理あるが……貴様は何者だ」
「俺は、瑞穂藩士 日数谷 現示(ひかずや げんじ)だ。よろしくな」
「瑞穂藩だと? 瑞穂藩士がなぜ葦原の分校に……」
「おっと、いけねえ。ヤボ用思い出しちまった」
現示は玖朔たちの追跡をひるがえし、風のように去っていく。
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