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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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 斥候隊を率いた金住少尉と鉄心は、本隊の野営を離れ、国境に足を踏み入れていた。東には山脈が広がり、森林帯がその山脈から麓まで伸び、金住らはそこを通り、付近が見渡せる丘に出た。
 
 サルヴィン川を行き来する密輸人らに接触したハインリヒのパートナー天津 亜衣(あまつ・あい)の聞き出した情報によると、国境警備隊は旅人を襲っていた、という噂もあったらしい。ある調査団が通行許可証を渡したところ、見もせずに破り捨てた、という話などもある。いつ頃からか、追い剥ぎ等が警備隊を装い旅人を騙して襲っていたという可能性なども考えられる。教導団も当初は錬度の高い守備隊を辺境に回すことができず、ヒラニプラ南部もそうであったが、こういった場所は電波の都合上連絡もままならないことが多い。警備隊はかなり以前に魔物か賊などに屠られてしまっていたのだろう。
 コンロン出兵を機に、これからは第四師団がシャンバラとコンロンのルート確保や国境等各所の警備も強化し担わねばなるまい。
 一ヶ月ほど前に、国境を通ったある密輸人によると、国境警備隊の詰め所は、廃墟となっているということだった。
 なのだが……金住はそこへ放った数名の斥候から、確かにそこは廃墟となっていたのだが、その廃墟に、何者か知れないがかなりの数の者が潜んでいる、という報告をもたらされた。
「どういことでありますか……?」
 ともあれ、その報告は、本隊の方にも届けさせた。
 金住自身は更に、注意深く部隊を進めた。
 この辺りは、すでにシャンバラの地図にはない。金住は、付近の山川、道幅から伏兵や隠れる際の森についてなど地形を調査した。レジーナは、ディテクトエビルを張り金住が調査と兵らへの指示に専念できるようサポートする。
 国境は西側は空域、東側は山、森林になっており、平野としての幅は狭い。部隊同士が出会えば、必ず目に入る。接触を避けて通るというのは難しそうか。
「金住少尉。どうやら……」
「えっ。敵、でありますか?」
 ティー・ティー(てぃー・てぃー)を先導に、先へ進んでいた鉄心が言うには、国境の平野を抜けた付近に、一隊が陣を張っているとのこと。警戒等しているようだが、特別動きはないようだとのことだった。金住も行ってみるが、レジーナのディテクトエビルには反応しない。こちらに敵意をもって陣を張っている、というわけではなさそうであった。どこの部隊かは、不明だ。
「さてどうしたものか」
「うむ……何らかの衝突になるのは絶対に避けるべきでありますね。ひとまず、すぐ本隊に戻って報告するのがいいかと思えます」
 金住は念を入れ、相手に気付かれ尾けられることのないよう、細心の注意を払って斥候隊を引き払った。森に近いところを通り少し遠回りして戻る。
 ティーは心配げな面持ちで、「無事にたどり着けるか、不安な材料がまだまだ多い様ですね」と鉄心のそばでふと呟く。鉄の雨が降るのでしょうか……血が流れるのはイヤだな。と。
 
 さて本隊野営地では、将兵らははめを外しすぎないよう休息しつつ、夜は更けていっていた。
 その様子を眺め、近付いてくる男。付近の森が少しざわめく。
「ものども。いいか……?」
「パンツ・オア・ダーイ!」
「行くぜ」
「パンツ・オア・ダーイ!」