リアクション
○ ○ ○ 宮殿の中には、光条兵器使いの姿があった。 地下に残っていた残党が、宮殿内に上ってきたようだ。ただ、こちらの人数も多いことからさしたる問題はなく、一行は中央地下へと足を進めていた。 「……こっちだ、足下に気を付けるぽん」 攻略隊の一員として、宮殿の調査に当たっていた四条 輪廻(しじょう・りんね)は、パートナーの大神 白矢(おおかみ・びゃくや)と共に、先導をしていた。 「……ここは特に敵が多かった、残党が出る可能性もあるから注意するぽん……」 「うん、皆離れないようにしようね。……だけど」 ティリアの前を歩くレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は、軽く眉を寄せている。 「現れたぽん」 柱の陰から、光条兵器使いが姿を見せる。 「先手必勝じゃな!」 即、ミア・マハ(みあ・まは)が濃度の高い、アシッドミストを放った。 「行くよ!」 レキは封印解凍をし、攻撃力を上げ、チェインスマイトで現れた光条兵器使いを倒した。 「そうだ、そうやって攻撃前に倒してしまうぽん」 輪廻は真面目な顔で、離宮に降りたことのない者に説明をしていく。 「相手は知能が低く組織立った行動などは取ってこないはずぽん……。牽制しつつ進路を塞いでしまえば問題なく防げるはずぽん、あぁ、それと……他になにか言うことは……」 饒舌に話し続ける輪廻を前に、レキはいぶかしげに眉をひそめたままだ。 そして一言こういう。 「すっごく真面目な話なのに、なんで『ぽん』!?」 こほん。と、白矢が咳払いをする。 「……四条殿……拙者も思っていたでござるよ。なぜ狸化を、と……?」 くるりと輪廻は背を向けて、地下へ続く階段を下りていく。 「ふむ、緊張感は保つ必要があるが、場所が場所だけに、あまり気が重くなるのも問題ぽん、まぁ多少は和むかなと思ったんだぽん」 倒れている数々の光条兵器使いの体を目にしては、軽く目を伏せて輪廻は進んでいく。 「一番気が重いと思っているのは……いえ、なんでもないでござるよ」 そっと息をついて、白矢が続いていく。 「……そうぽんね。ぽんぽん飛び越えていこうぽんね」 そんな言葉を、輪廻の背に向けてレキは口にした。優しい声で。 ごく僅かに輪廻は口元に笑みを浮かべて「ありがとう……ぽん」と小さく呟き、先に進む。 「さあ、こちらです。騎士の皆さんが待っています」 かつて、仲間達とこの道を通ったことのある比島 真紀(ひしま・まき)もサイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)と共に、ティリアや皆の前を歩き、導いていた。 「あの時と、変わってないね……でも、今度は仲間だから、嬉しいね」 サイモンが、エメ・シェンノート(えめ・しぇんのーと)に目を向ける。 エメも攻略隊の解放班の一員として、当時ここを訪れている。 そして、組織に洗脳されていた『激昂のジュリオ』と対峙し、仲間達と共に戦い、倒して――彼を地上に連れ帰った。 それからエメは、彼の回復を願い、意思を確認し、彼との契約に至っている。 そうして現代によみがえったジュリオ・ルリマーレン(じゅりお・るりまーれん)は、この離宮での出来事をあるまじき失態と考え、日々、自責の念に駆られているという。 「ええ。二度と彼が私達に剣を向けることはないでしょう」 そう答えて、エメは瓜生 コウ(うりゅう・こう)に目を向けた。 彼女も、6騎士の1人をパートナーとする地球人だ。 「マリザはジュリオ・ルリマーレンと共に来れると聞いて、とても喜んでいた。……ま、あの時のことを追及して弄り倒すとかも言ってたけどな。彼女なりの愛情表現だし、ジュリオも受け入れてくれるだろう」 瓜生 コウ(うりゅう・こう)は、マリザの言葉を思い出し、軽く笑みを浮かべる。 今頃、ジュリオはマリザの追及に降参しているかもしれない。 「……さて、私はこの辺りで退路の確保に務めようかしら」 そう言ったのは、伏見 明子(ふしみ・めいこ)だ。 明子は途中まで、調査隊員として協力していたのだが、途中で事情により地上に戻ってしまったため、最終局面に立ち合ってはいなかった。 「私達の存在に気付き、目を覚ました敵さんもいるようだしね」 「お願いするわ。でも無理せず、危ないと感じた時には合流してね」 「了解」 ティリアの返答を受けた後、明子はパートナー達とその場に立ち止まり、階段から宮殿の出口までの道の確保に努めることにする。 「私達はもう少し下の、以前も退路の確保を行った場所を担当させていただきます」 「よろしくね。お互い自分達が運ばれたりしないよう、気をつけよう」 エメと、パートナーのリュミエール・ミエル(りゅみえーる・みえる)が、明子にそう言い、階段を駆け下りていく。 「大丈夫よ。ここは任せて」 答えた後、明子は槍を構える。 階段の上から、光条兵器使いの姿が現れた。 「外はアルコリアさんが回ってくれているはず。私達は外に向かう道の確保に専念しましょう」 「うん、そうだね」 「りょーかい」 「わかりました」 パートナーの九條 静佳(くじょう・しずか)、レヴィ・アガリアレプト(れう゛ぃ・あがりあれぷと)、鬼一法眼著 六韜(きいちほうげんちょ・りくとう)が、それぞれ返事をして武器を構え、前方と後方に散った。 |
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