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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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一戦を終えて――廃都群
 
 激戦であった廃都群、もともと五十騎程度であった騎狼部隊救助班に林田少尉の本隊300が参戦。夜盗1千はおよそ半数に討たれ、パラ実勢が示威と防衛の意思とを示したことで残りも退かざるを得なかった。
 教導団の中にも犠牲は出たが、実は全く安心できない事態が、彼らに迫っていた……
 ミロクシャから、更に500の夜盗が廃都群へ差し向けられていたわけである。
 彼らは教導団がまだ廃都群の戦後の収拾をしているときすでに、廃都群の手前で陣地を張って引き返してきた500を回収、再び1千に膨れ上がった。
 だが、このことはさいわいに、その陣を出た一人の女性――フィリシア・レイスリー(ふぃりしあ・れいすりー)から廃都群の教導団に伝えられることになる。
 夜盗勢に潜入し紛れていた、ジェイコブ・バウアー(じぇいこぶ・ばうあー)の剣の花嫁である。
「なっ。何だと……まだ、500の夜盗が新たに来て、退却したやつらと合流……?」
 驚く、林田少尉。
「ええ、そこで教導団部隊もここに来ていたのだと知り、急ぎ参りました」
「さきは何とか撃退した。だが、今の状況は、……っ」
 救助した旧軍閥の者たちのほとんどは重軽傷者だった。
 それに、重要な戦力である契約者の中にも……
「鳳明、鳳明……」
「私は、大丈夫……!」
 龍騎士と単独で打ち合った琳。龍騎士に押さえられたとき、パートナーの藤谷 天樹が救ってくれた。天樹が必死に龍騎士ともつれ押さえ込む内に、再び光条兵器の長槍をとって、今度は天樹を助けるべく何とかとどめを打つことができた……しかし受けた打撃も相当なものであった。
 そしてもう一人、龍騎士と戦い、相打ちも寸前であった朝霧。夜霧 朔がミサイルポッドを放ち牽制し、ライゼと栞によって助けられた。龍騎士は致命傷で、そのまま地に落ち落命した。
 だがさいわいなことに、林田少尉らの到着に少し遅れて、同様にクィクモを発っていた九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)の医療チームが廃都群に到着。懸命の医療活動により、重傷者は多くが一命をとりとめた。彼らは後方に下がるよりないが、重傷者以外は戦線復帰可能になった者も多い。しかしそれでも、300が戦えるかどうか。
「夜盗らの方は? まさか、また龍騎士が率いて?」
 フィリシアは、第二陣500の中には龍騎士もおらずとくに有能な指揮官や手練れた兵などはいないこと、彼らもまだ回収した部隊を再編中にあり、すぐに攻勢には出ないだろうこと、など可能な限り、わかっていることを告げた。更に、現在、彼らの本拠地となっているミロクシャには1千が残っている、ということも。
「どのような作戦をとるおつもりです?
 わたくしは夜盗のもとへ戻り、うちのジェイコブと可能な限りのことをしてみせますわ」
「むう。どうすべきか。新人(鉄心)? 何か、策は浮かぶか?」
 鉄心は、
「イコナ……しっかりするんだ、イコナ」
「しくしく。賞味期限切れかしら? ううん、一週間くらい過ぎてても大丈夫ですわよね(謎)」
 混乱中のイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)を何とかしようと必死のようであった。
「……。む、そうだな、とにかくこのような状況だ。
 では、元LA市警SWAT隊員(アドリブ仮あだ名)には、何とか少しでも進軍を遅らせるよう手を尽くしてくれと、伝えてもらえぬか? その間に何とか立て直しておく」
「わかりましたわ」
 フィリシアは再び、急いでジェイコブの待つ夜盗らの陣地へと戻るのだった。
 事態を知り、ジェイコブは輜重隊へ移動……
「む? おい、そこのおまえ何……ぐべっ」
 見張りの口を押さえ、首を圧し折った。
「見られちまった以上、仕方ない。こいつは樽の中にでもやっておくか」
 ジェイコブは物資に火を放ち、破壊工作を成功させた。夜盗らはこの立て直しのため日数を要することとなる。「これで日は稼げたな」。しかし夜盗勢は尚、教導団やパラ実もろとも討たんと本拠に物資と援軍要請を送った。このことも再びフィリシアから廃都群へ報告がもたらされる。