リアクション
* 「ナコトが一騎、やったか」 地上部隊を率いる、シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)。落下してくる敵を死霊兵たちがたかってとどめを刺している。基本的には守りつつ、じわじわと削っていく姿勢だ。死霊兵の脆さはオートガードとオートバリアを重ねて強化している。 「来た、か」 「将か……!?」龍騎士の一騎だ。 「戦果は騎士の誉れ。シーマ・スプレイグ、いざ、参る……!」 水晶の剣シュトラールを抜き放ち突撃する。 「強い……!」 龍騎士もするりと剣を抜き放つと剣撃を見切り返してきた。シーマはそれを剣で受けて一歩退いた。ぎんっという音が耳に残る。 「はっ」シュトラールの刃に欠けが。 「くっふっふ。シャンバラ製の剣……脆いな。帝国の剣の切れ味を知るがいい」龍騎士はその場で構え直した。 そこへ、空中から一騎が呼びかけてくる。 「おおっ。敵将か、加勢致す!」 「待て。これは騎士の一騎打ち。加勢は無用である」 「そうか……うっ!?」 飛行している龍騎士の横合いから得物が飛んできてその首に突き立った。騎士はそのまま落下し死霊兵どもの牙にかかり息絶える。 「不意打ちとは卑怯な。どこだ! あっ」 その一瞬を突いて、シーマはシュトラールの光線で相手の眼を打った。踏み出し、一撃を加える。「ぎゃぁぁ」 「龍騎士……! 手強かった。今の力ではこれでぎりぎりか」 「シーマ!」 「オリヴィア」 雲隠れの衣から出てきた。不意打ちの主は、オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)であった。打って出た際にも同じく不意打ちで一騎倒したというが、初撃だけでは無理であった。 「これで私は二騎! ノルマは達成かな」龍騎士の死骸に刺さった妖刀金色夜叉を抜き取る。 「オリヴィア。強いな。ミネルバは?」 「私が雲隠れで不意打ちして装甲を飛ばすという方法で、あの子も一騎。今、同じようにしてやったもう一騎とやり合っているわ。騎士も装甲がなければさほどは。あの子一人で、まあやれるでしょうね。不意打ちも効果はあるねぇ」 「しかし、龍騎士は一対一では割合に強いな。騎士相手に、不意打ちはしたくないとも思うのだが……」 「そんなこと言ってられないわよぉ〜。早くけりつけなくちゃ。じゃあ、私は東の側へ」 オリヴィアは走り去っていった。 「うん。……むっ」 大きな影がシーマの頭上を覆う。 「あれは……? まさか神龍騎士、か?」 * 「勝ち戦だと思って来てる人たちってもろいよねー 死ぬ気がないんだもん」 サクサクと敵兵を切り倒していくミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)。こちらもオートガード・バリアで強化しておいた死霊兵をぞろぞろと連れていく。 「あれっ 円交戦中だー行くよー!」 龍騎士の強烈な斬撃を交わす、円。 「焦りすぎなのかなーと少し、後悔してみたり。わっ」両手にレーザーガトリングスを装備しているのだが、相手は距離も間も与えてくれない素早さだ。神速で避ける。軽身功で蹴りを入れるが装甲が厚くて効かない。 「リロードの時間が……アムリア!」……「円様のりろーど時にはあたしもお手伝いします。練習したから一人でやるよりは早いはずですね」と言っていたのだが。 「えいっ」さくっ。 「ぐぉわぁぁぁ」 ミネルバが背後から首狙いライトニングランスで貫いた。円のレーザーガトリングが撃ち抜く。 「はぁ、はぁ……うっ」 「あれ、円。なんだ苦戦してたのー」 「ち、違う。ボ、ボクは二騎一緒に相手にしたからだよ! 最初の一騎を狙撃した後、りろーどが、アムリアとの連携がまだ上手くいかなかったからだよっ!」 「そ、そんなぁ円様〜〜……うえーん」 「ちぇっ。これで、ボクの持ち分三騎の内、二騎。あと一騎……」 「わたくしが、片付けましたわ」 「あっ。ナコトくん強い……」 ナコトが葬った二騎を死霊化して引き連れてきた。「ここにも二騎ですわね。この方々も死霊として甦らせてあげましょう」 すでに、西側の龍騎兵の姿は空にちらほらとしか見えなくなっている。それも死霊兵たちに追われて散っている。ただ、数は多く、東側からまだ兵が続々回ってきているという。アルコリアは対神龍騎士のため力を温存させていたのだが、なかなか出てこないので、神龍騎士を討たんと探し回りつつ龍騎兵を殺しまくっている、らしい。反対側にはオリヴィアが回って防戦指揮を執っている。 「半分くらいは殺したってことかなー?」 「シーマくんは?」 |
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