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【借金返済への道】夢見る返済者

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【借金返済への道】夢見る返済者

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「はい……はい……了解です。ではタノベさんを重点的に質問攻めにしますね。では」
 携帯を閉じるとウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は皆にタノベさんが何か知っているかもしれない事を伝えた。
 ここはもうタノベさん主催の手作りダンジョン前。
 屋台やモニター、ダンジョンは存在するが、お客さんが1人もいない。
 何やら元追い剥ぎの蛮族さん達が汗水垂らして一所懸命に木材を運んだりしているだけ。
 どうやら改装工事中のようだ。
 ダンジョン周辺を見て回るが、タノベさんの姿はどこにもない。
 工事を取りまとめているのは蛮族の長だ。
「簀巻チームよ、もう一度〜」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)が工事の様子などお構いなしにダンジョンの中へと入っていこうとする。
『只今、工事中です。危険なので立ち入り禁止』
 と、書かれたダンジョン入口の看板が目に入っていない。
「危険だと書かれているだろう!」
 慌ててダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が止める。
「ええ〜? 大丈夫だよ。不正解ルートならバッチリだもん」
「大丈夫じゃないから」
 ダリルは無理矢理お姫様抱っこして、そのまま長の所へと移動した。
 長のところへは、黒脛巾 にゃん丸(くろはばき・にゃんまる)も来ていて、ホイップの説明が終わったところだった。
「と、いうわけでタノベさんに聞きたいことがあって来たんだけど……コマネチ蛮長さん、タノベさんはどこに?」
「おう! タノベさんなら今日は空京に行くと言ってたぞ! 残念だったな、無駄足になっちまって。……ところでコマネチ蛮長って……カッコイイな! ヒャッハー!!」
「ええ〜!? いないの? じゃあ、空京のどこに行ったかは?」
 ダリルに降ろしてもらったルカルカが質問をする。
「そいつは知らねぇなぁ……ただ、仕事で行ったはずだぜ?」
「じゃあ、『夢見放題』の事は何か知りませんか?」
「ああ、そいつなら俺も試したぜ。あれは良いよな、ビデオレンタル店に行く必要がねぇ! 勿論18禁のな! あれが商品化した時が楽しみだぜ!」
 3人とも苦笑いしていた。
「ごほんっ……では、他人の夢の中に入れるお香については?」
 ダリルが気を取り直して聞いてみる。
「ん? そんなものは知らねぇな」
「そうか、有難う」
 3人は礼を言う。

 こっちは周辺で肉体労働に勤しんでいる蛮族達への聞き込みだ。
「タノベさんの居場所を知りませんか?」
「知らねぇなぁ……あ、もしかしてあれかな……」
 ウィングの質問に手ごたえがあった。
「なんです!?」
「たしか……琥珀亭に行くって言ってたような気がするぜ?」
「なるほど!」
 きちんとメモを取る。
「あー……じゃあ、こっちは? 『夢見放題』って薬知ってる?」
 瑠樹が聞くと直ぐに反応が返ってきた。
「ああ、あの薬な。面白いもんだよなぁ。自分の好きな夢が見られるなんて」
「ちゃんと目覚められた?」
「勿論だぜ! そうじゃなきゃ俺達はここで仕事してないぜ! なっ?」
 他の蛮族達も頷き合っている。
「では、他人の夢の中に入れるお香はどうでしょう?」
「それは知らねぇなぁ」
「そうですか……有難うございました」
 マティエは残念そうに、お礼を言い、3人は他の人達と合流した。
「そうかぁ……どっちも似たような情報だねぇ」
 瑠樹は互いの情報を出しあった感想を言う。
「そうですね。でも、タノベさんが空京の琥珀亭にいるかもしれない事は直ぐに電話で伝えましょう」
「そうだねぇ。じゃあ、俺が電話しておくよ」
 にゃん丸が申し出ると直ぐに携帯で情報をケイ達に渡した。
 他には確認出来無さそうと言う事で一同は空京の宿屋へと戻っていった。

 情報を受け、琥珀亭への聞き込み班が動き出した。
 ホイップの側で心配そうに寝顔を見ていた藍澤 黎(あいざわ・れい)は、頭を撫でてから出発をしたのだった。

「タノベさんか……」
 ケイが呟く。
「タノベさんと言えば、手作りダンジョンですわね! お仕置きは楽しかったですわ〜」
 留美がうっとりと回想している。
「ダンジョンでお仕置きですか!?」
「タノベさんは真面目な商人で、更生した蛮族達の話を聞いて仕事を与える代わりに狼の毛皮や狼の毒の解毒剤を安く仕入れるという契約をしたんだそうです。で、そのダンジョンは普通にクリアすると賞金が出て、失敗するとお金を取られた。そのバイトで間違えた道を選んだ人達をお仕置きするというのがあったんです。あの時は皆が借金の返済にと頑張ったおかげでだいぶ減ったんですけどね……」
 刀真はしみじみと言う。
「水を使ったコースや女王コースもあったみたいですわ。わたくしは自分のお仕置きで手いっぱいでしたから見に行ったわけではありませんが」
「なんだか楽しそうなダンジョンだったんですね」
「はい! それはもう!」
 留美の声に熱が籠る。