蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

【2019修学旅行】やっぱ枕投げしなくちゃね!

リアクション公開中!

【2019修学旅行】やっぱ枕投げしなくちゃね!

リアクション

「もう……怒られますのに……。でも、楽しそうですね」
 就寝準備をしていた御堂 緋音(みどう・あかね)は突如始まった枕投げに驚きながらも準備の手を止めて、その様子を眺めた。
「枕投げは修学旅行の定番ですよねっ」
 隣で同じように就寝準備をしていた桐生 ひな(きりゅう・ひな)が言う。
「ひな、応戦するのですならお手伝いしますよ」
「勿論、やる気満々で参加させてもらうのですー」
 緋音の言葉に、ひなが頷いた。
 緋音は運動が苦手だと言い、ひなの足元へ枕を運ぶ係に回る。
「ひなはどんどん投げてくださいね」
 移動可能領域から外れた枕も緋音は取りに行って、せっせとひなの足元に枕を運んだ。
「クイーンオブ枕投げの座は頂きですねっ」
 緋音の援護に、ひなは手を止めることなく枕を投げることが出来るため、得意げにそう叫んだ。
 それも束の間。
「きゃっ!?」
 ひょいっとひなが間違って持ち上げたのは、枕を運んできた緋音であった。
「ごめんっ! でも、楽しいからこのままね! 必殺緋音ちゃんボムですっ、投げた相手は潰れちゃいますねー」
 言いながら、ひなは緋音を持ち上げる。
 けれど、どちらも似たような体格のため、持ち上げようとしたひなが潰れてしまった。
「ひな、大丈夫!?」
「ええ、2人仲良くばたんきゅーもなかなかですよー」
 心配する緋音とは裏腹に、ひなはそのまま緋音をぎゅっと抱きしめて、2人して笑い合ってから、枕投げへと復帰するのであった。

 髪を三つ編みに纏め、黒縁眼鏡を着用し、薄っすらと化粧も施した支倉 遥(はせくら・はるか)は、訪れて来た他校生、御厨 縁(みくりや・えにし)とそのパートナー、サラス・エクス・マシーナ(さらす・えくす ましーな)と共に、自分のパートナー、ベアトリクス・シュヴァルツバルト(べあとりくす・しゅう゛ぁるつばると)が待つ女子部屋へと入っていった。
「遥っ!? その格好は……」
「たまにはこういうのもいいかなと思ったんですよ」
 さながら文学少女といった様相の遥に、ベアトリクスは驚きを隠せず、理由を正そうとするけれど、枕が飛び交い始めた。
「枕投げ……まさに修学旅行の醍醐味じゃの」
 縁は嬉々として、枕を手にした。
「やるからには全力です。ほら、ベアトリクスもサラスも枕を持ってください」
 言って、自分も枕を拾い上げる。
 最初は、標的などを作ることなく、無差別に投げていく。
 それに倣ってベアトリクスとサラスも受け止めては投げ返していった。
「なるほど。将棋とチェスの違いってヤツだね、師父?」
 遥の指示を受けながら、枕投げをするサラスはそう訊ねた。
「そうでしょうか……?」と遥は曖昧に応える。
 攻撃が集中し始めたら、手にした枕で、飛んでくる枕を打ち落とすように遥は指示する。
 縁はそれを他の皆に任せて、落ちている枕を回収し、積み上げ始めた。
「こんなもんかのう?」
 バリケードのように積み上がった枕に身を隠してみる。
 その後ろには更に枕を回収していった。
 消灯時間が近付けば、他の生徒たちが手持ちの枕が少なくなっていること、そしてバリケードが作られていることに気が付き始めた。
「今ですよ!」
 それを狙って遥が一斉に集めた枕で反撃を開始した。
 ずるいと言われながらも「作戦勝ちです」と微笑んで、遥は反撃していく。ベアトリクスもサラスも一緒になって、他の生徒たちへ集めた枕を投げつけるのであった。

「テレサがマリエル側なら、私はマナミン側ね。ねえ、『負けた方は勝った方の言うことを1つ何でも言うことを聞く』のはどうかしら?」
「面白そうですね。その勝負、乗りますわ」
 東西に分かれつつ、提案してくるアイナ・クラリアス(あいな・くらりあす)に、テレサ・ツリーベル(てれさ・つりーべる)が頷きながら応える。
(必ず優斗さんとデートをしてみせるわ!)
 1つ目の枕を投げながら、アイナは勝って、テレサのパートナーの優斗とデートしようと考える。
(アイナさんに隼人さんとデートをしてもらうんですから……)
 テレサはその枕を受け止めながら、そう考えた。アイサが本当に空いているのは彼女のパートナーである隼人なのだと、テレサは思う。けれど、素直になれなくて自分のパートナーの優斗に気がある振りをしているのだとも。
「負けないんだから!」
「負けませんから!」
 それぞれが今一度、勝ったときに相手に何の言うことをきかせようかと考えたところで、そう告げあい、愛美やマリエルと共に枕を投げあう。

「あ、あれ? アメリア様? ど、何処へ行ったんですか!?」
 同じ部屋に居るはずのアメリアの姿が見えず、アイシア・ウェスリンド(あいしあ・うぇすりんど)は不安げに声を上げた。
 そこへ、枕が飛んでくる。
 きょろきょろと見回していたけれど、それには気付かず、1つ当たったかと思うと、2つ3つと飛んできた。
「ちょ、あ、あうぅ〜……や、やめてください〜……」
 いくつもいくつも飛んできて、気付けば枕の山の中に埋まっていくアイシアの姿がそこにあるのであった。

「みなさん、盛り上がってますねー」
 クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)は片隅で枕投げを観戦していた。
 参加したいところではあるけれど、明日もいろいろなところを見て回ったり、体験したりする予定がある。
 それに、熱中して、やりすぎた結果、皆に迷惑がかかってしまうかもしれないと思うと、行動に移れないのだ。
 だから、就寝準備をしながら、他の生徒たちが行う様子を観戦するにとどめている。
「……ところで、枕投げの勝敗はどのように決まるのでしょうか?」
 クリスは枕投げのことを勝敗の決まるゲームの一種なのだと思っている。
 けれど、今回は明確な得点ルールを決めてはいないため、勝敗が決まるわけではないのだ。
 そのことを疑問に思いながら、クリスは観戦し続けるのであった。

 白波 理沙(しらなみ・りさ)とパートナー、チェルシー・ニール(ちぇるしー・にーる)早乙女 姫乃(さおとめ・ひめの)の3人は枕投げが行われる女子部屋の片隅で、話し込んでいた。
 彼女らの眼中に枕投げはないようだ。

「マナー、もう疲れたよ。あたしの負けでいいから、寝る準備しちゃおう?」
 マリエルが白いタオルを白旗に見せかけて、振る。
「しょうがないなあ。じゃ、これでおしまいね。皆、片付けしよ!」
 愛美が納得して、投げようとしていた枕を降ろした。
 そして、散らばった枕をそれぞれの布団に戻していく。

 消灯時間が来て、部屋の明かりが消されれば、おしゃべりに花を咲かせる生徒たちも居たけれど、それはまた別のお話。

 終。

担当マスターより

▼担当マスター

朝緋あきら

▼マスターコメント

 リアクションお届けします、朝緋あきらです。
 此度は、枕投げ大会(?)への参加、ありがとうございました。

 今回はルールとして男女部屋別というものを設定しておりますので、MCとLCが別行動を取っている方もおります。
 これは今回に限ったことです。
 通常、他のシナリオでMCとLCの行動を別にしますと、ダブルアクションと捉えられますので、ご注意ください。

 ではまた、機会がございましたら、お会いいたしましょう。