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春休みを守れ!御上先生救出作戦!

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第七章 とどめの一撃
 戦いは、徐々に収束へと向かいつつあった。初めのうちこそ数を頼みに積極的に攻勢に出ていたゴブリンたちだったが、今ではその攻撃もすっかり散発的になって来ている。生徒たちの組織だった攻撃によって、数にして10倍はいるゴブリンたちが圧倒されているのだ。
「じゃ、援護よろしく。間違ってオレに当てるなよ?」
 天城や真菜華たちにそう言うと、エヴァルトは、そろそろとゴブリンが立て篭もっている岩場へと近づいていった。
 今回の第一の目的は、あくまで御上先生の救出である。そのためには、ゴブリンたちを皆殺しにしてしまう前に、交渉のテーブルに引きずり出す必要があった。
 慎重に岩場へと近づいたエヴァルトが、ゴブリンに声を掛けようとした、その時だった。
 不意に自分の上に影が差したかと思うと、何か大きな黒い塊が、前方の岩場に降ってきたのだ。いや、“着地した”といったほうが正しいだろう。
 それは、まばゆい光を放つ巨大な曲刀を構え、鎧に身を包んだ剣士だった。
 環菜との交渉のため遅れていたガートルード・ハーレックが、ようやく追いついたのである。
ガートルードは、物も言わずに岩場に踊りこむと、たちまちの内にゴブリンどもを屠って行った。彼女の手に掛かれば、ゴブリンなど一たまりもない。彼女が刀を振るうたび、確実にゴブリンが絶命していく。
 これが、とどめの一撃となった。
 ガートルードの鬼神の如き戦いぶりは、元々揺らいでいたゴブリンたちの戦意を崩壊させるのに十分だった。恐慌を来たしたゴブリンたちは、武器を捨て我先にと逃げだしたのだ。
「こ、こら、余計なことすんな!情報が聞けなくなっちまうじゃねぇか!!」
 エヴァルトの必死の叫びも、環菜への怒りをぶつけるように太刀を振るうガートルードの耳には届かない。
「くそっ!おい、みんな、何でもいいからゴブリンを捕まえろ!それと、その女を止めるんだ!!このままじゃ、先生の居場所がわからなくなるぞ!!」
 その後、なんとかゴブリンを捕まえたエヴァルトは、苦労してゴブリンから情報を聞き出すことに成功した。それは、今回の事件の黒幕に関する重要な情報だった。