校長室
【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望
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空京にあるミス・スウェンソンのドーナツ屋、通称ミスドは、ヨハンナ・スウェンソンという北欧系の若い女性がオーナーをしているドーナツ屋だ。 学生達には『冒険好きの学生が集まる店』として知られており、今日も若者達を中心に賑わっていた。 特に今日は休日ということもあり、友達同士や恋人同士など、カップルやグループが目に付いた。 そんな中にミルザム・ツァンダ(みるざむ・つぁんだ)とシルヴィオ・アンセルミ(しるう゛ぃお・あんせるみ)、アイシス・ゴーヴィンダ(あいしす・ごーう゛ぃんだ)の姿があった。シルヴィオとアイシスは私服だが、ミルザムはカジュアルスーツ姿でサングラスを掛けていた。東京都知事である彼女はお忍びだった。 シルヴィオは空京万博関連の所用でハイナと空京で会談を終えたミルザムに会い、良い機会だと『【M】シリウス』の今後の活動について話し合っていた。 ふと、会話が途切れると、ミルザムは懐かしそうに店内を見回した。 「変わっていないわね。1年半くらい前、まだシャンバラ女王候補だった時、ここで踊った時のままだわ」 あの頃はまだシャンバラが統一されていなくて。 十二星華も半分は敵に回っていて。 ミルザムは御神楽 環菜(みかぐら・かんな)に擁立されて女王候補として活動していて。 今の平和な時とは比べものにならないくらい、あっという間に時間が流れていた気がする。 「見つけたわよ、ミルザム! 小さいだの大きいだの大間違いよ! 大きいのは肥満のみ! 只のデブよあなたは。つまりたっゆん殲滅、これは善悪を超越した種の健全な繁栄の為の粛清よッ!」 そんな和やかで緩やかな時間を引き裂くかのように、真宵の声が店内に響き渡る。 「ちっぱい教……だぁーっ!? … … … アホだろ、お前ら?」 「わ、私は小さくなんてありません! 普通ですっ」 シリウスがミルザムを庇うように、彼女と真宵の間に割って入る。 同時にアイシス・ゴーヴィンダ(あいしす・ごーう゛ぃんだ)も、ミルザムの前に身を挺して立ちはだかる。 彼女達の後ろには偽星剣・オルタナティヴ7を顕現させたリーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)と、星剣ビックディッパーを構えるティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)の姿があった。 お忍びとはいえ、ミルザムは要人だ。そこでシリウス達が極秘裏に警護として就いていた。 「ゾディアックの事も済んで、久々にリーブラもティセラねーさんとゆっくりできてたのに……妙な邪魔すんじゃねーぞ、てめぇら! 変身ッ! 魔法少女ッ、シリウス!」 「ここはわたくし達が食い止めますわ! シルヴィオはミルザムを連れて裏口から逃げるのですわ!」 「はい、ここは任せます」 パステルカラーの光に包まれると、シリウスはリリカル魔法少女のコスチュームに身を包んでいた。 ティセラに促され、シルヴィオはミルザムの手を引いて裏口へ走る。 「ティセラ、あなたに助けられるというのは不思議な気持ちですね」 「言わないで下さいな。わたくしが今ここにいるのも、贖罪のためなのですから」 擦れ違う刹那、かつて刃を交えた2人は、短いながらお互いのあの時と変わった立ち位置の感想を口にしていた。 「待ちなさい! 公衆の面前でダイエット運動させてやるわ」 「そんなに暴れたけりゃ、お前らだけで暴れてやがれ……《マジカルステージ♪》ッ!」 【吸精幻夜】の八重歯で食って掛かろうとする真宵にシリウスの【マジカルステージ♪ 】が響き渡る。 その間、リーブラとティセラはミスドの客や従業員を逃がしてゆく。 情け容赦ないシリウスの【サンダーブラスト】の前に真宵が倒れたその時だった。 「なんだこりゃぁ!?」 「【アシッドミスト】ですの!?」 「ティセラお姉さま!? シリウス!? お召し物が……」 ミスドの店内に霧が立ち込め始める。 ティセラと背中合わせになり、お互いの死角を守り合っていたリーブラは、3人の服が溶け始めているのに気付いた。 「簡単に溶けちまう服を着てるのが悪いのさ。フヒヒ」 「遅いわ! 悪いけど、玖朔の野望のためだから……」 視界の悪さを利用してシリウスの背後に回る玖朔。迎え撃とうとするシリウスの打ち気の呼吸の最初を、九十九の【等活地獄】が押さえ、動きを封じてしまう。 同時に溶け出す服から胸と下腹部を隠していた腕を弾き、玖朔の目の前に、シリウスの双房の水蜜桃が完全に露わになった。 百戦錬磨の玖朔ですら、その美乳に一瞬釘付けになり、生唾を飲み込んだ。 大きさと張りなら九十九の方が上だろう。 しかし、褐色を帯びた艶やかさと重力に逆らった形の良さはシリウスの方が上かも知れない。 そして力強く鷲掴みにした時の、玖朔の手に余る程の肉感は、彼の脳髄に将来忘れることのない快感を刻み込むには十分だった。 「くっ、くふぅ! やめろ……ひぅん!? そんなに弄ったら……はうぅ!? ……魔法で薙ぎ払っ……んんんっ……りーぶら……てぃせらねーさ……ひゃあぅ!?」 「フヒヒ♪ 良い声で啼くじゃないか。いつもの威勢の良さはどうした? 俺の鷲掴みの前じゃご自慢の魔法も集中できないだろうし、向こうは向こうでお楽しみ中だからな」 シリウスの反応を楽しみながらマッサージを味わう玖朔。 シリウスが視線を向けると、シャミア・ラビアータ(しゃみあ・らびあーた)とリザイア・ルーラー(りざいあ・るーらー)に抱擁されているティセラの姿があった。 「ティセラお姉さま!?」 「は、放しなさい、この痴れ者が!」 「可愛いお口でそんなこと言っちゃダメだよ。バスト90cm、ウエスト62cm、ヒップ93cmってところかな。うんうん、十二星華プロファイルに記述されている通りのエロイ身体だぜぇ〜フヒヒ♪」 アシッドミストに紛れていたのは玖朔達だけではなかった。 シャミアもこの霧を利用すると、勇士の薬を服用してリーブラに悟られるより早くティセラに近付き、その豊満な双丘に顔を埋め、その瑞々しさと弾性と柔らかさを同時に味わっていた。 彼女のお目付役のリザイアは何故か濡れそぼっており、ティセラの関節を極め、動きを封じていた。 そのお陰でシャミアはティセラのスリーサイズを手で確かめながら実測することが出来た。 リーブラはオルタナティヴ7の切っ先をリザイアに向ける。光条兵器であれば、ティセラを傷つけずにリザイアだけを斬りつけることも可能だ。 しかし、関節を極められ動きを封じられているし、勇士の薬を服用しているところを見ると、用意周到さが伺えた。迂闊に手は出せないと判断した。 事実、シャミアは十二星華プロファイルで記述されているティセラに関する項目を隈なく確認していた。 そしてちっぱい教が起こす混乱に乗じて、見事チャンスをものにし、漁夫の利を得たのだ。 「さぁて、次は……十二星華プロファイルの記述だと、あなたはバラのお風呂が好きだそうだよね……クンカクンカ……」 「い、嫌……臭いを嗅ぐのは止めてくださいまし……」 「……クンカクンカ……恥ずかしがることはないよ? ほんのりバラの香りがするし、毎日入っているからかな? それとも毎日ローズヒップティーを飲んでいるからかな? 汗の臭いにもバラの香りが混じっていて、凄く良い臭いだよ」 シャミアはティセラの胸の谷間から鎖骨、首筋へと顔を移動させ、鼻を鳴らして臭いを嗅いだ。 誇り高きティセラの顔が羞恥で真っ赤に染まり、目は心なしか潤んでいる。関節を極められていなかったら、両手で顔を覆っていたに違いない。 「なら、その体臭を消して差し上げますわ。ティセラさんの胸を触るだけのために付き合わされているわたくしの身にもなって欲しいですわ」 リザイアは空いている手に持っていた勇士の薬を、シャミアに付き合わされている腹癒せにティセラに頭からぶっかけた。 某乳酸飲料を思わせる白濁した液が彼女の前髪を伝って鼻梁や頬へ落ち、顔を白く穢して胸元へと垂れていった。 玖朔のアシッドミストによって服が溶かされているため、ティセラは紫のブラとショーツ姿だった。それすらも濡れ、透け始めていた。 「あ、ああ……」 「リザイアナイス♪ 次は良い感じに濡れたその身体を全身ワシワシ……」 「邪な考えの持ち主に、ティセラお姉さまをそれ以上穢すことは…… ……絶対に。 …………絶対に。 絶対に絶対に……絶対にッ! 許しませんわ!!」 「シャミア――」 おそらくここまで同性に穢された事はなかったのだろう。 ティセラは半ば放心状態になっていた。これも十二星華プロファイルを熟読し、ティセラの趣味や好物を逆手に取ったシャミアの勝利と言えよう。 彼女が両手をワキワキと空けたり閉じたりしながら、エロオヤヂよろしくティセラの全身を蹂躙しようとしたその時、リーブラの怒りが頂点に達した。 オルタナティヴ7を遠慮容赦一切なしに横薙ぎに一閃! 間一髪、その動きを【女王の加護】で察知したリザイアがティセラをリーブラの方へ放り、間合いを取った。リーブラはティセラの身体を抱き留めた分、オルタナティヴ7の間合いより遠離られてしまった。 「十二星華、まだまだ楽しめそうだね。今日のところはこのくらいにしておいてあげるよ。またクンカクンカさせて欲しいな♪」 シャミアはティセラにウインクすると窓から外へ身を躍らせる。 そこにはリザイアが用意していた小型飛空艇があった。 「不埒な輩を退治てくれよう巨乳侍!」 そこへレティシアが駆け付けた。 「おっぱいは赤ちゃんの為に有るんやでぇ、不埒な輩の為にあるんやないんやでぇ」 アサシンソードの二刀流で玖朔と九十九も追い払ってゆく。 「無事……とはあまり言えないねぇ」 アシッドミストが晴れたミスドの店内を見回し、シェルタンアーマーに付いているマントをシリウスに掛けた。 レティシアは元々胸が大きいこともあるが、胸を強調するデザインのシェルタンアーマーを着ているお陰で、街中を闊歩するだけでちっぱい教の同志達によるきょぬー狩りに会った。 だが、それが彼女の目的であり、囮だった。 ミスティがお守りとして渡した【禁猟区】によって事前に襲撃が察知出来るため、レティシアは片っ端から峰打ちにしていった。 ミスティも駆け付けて、【歴戦の回復術】でシリウス達を治療していった。 そこへ豊和と雅羅も現れ、彼女にレミリアも生身に戻してもらった。 「ティセラお姉さま!」 「ふふ、恥ずかしい姿を見せてしまいましたわね」 取り敢えずミスドの制服を借りて身なりを整えたティセラにリーブラが抱き付いた。 ティセラは彼女の頭を優しく撫でた後、静かに放してその頬に触れた。 「リーブラ……あなたはわたくしに似ていることを好いていないようですが……」 「……はい」 「あなたがその姿で生まれてきたのには、きっと意味があるはずですわ。わたくしが犯した罪は贖罪しても消えるものではありませんが……それでもその姿の意味までもを嫌いにはならないでくださいな」 「ティセラお姉さま……」 「勇士の薬を掛けられて、身体がベトベトですわ。早く帰ってバラのお風呂に入りたいですわね」 「その時はお背中をお流しいたしますわ」 「その時はオレもご一緒するぜ。ったく、あの野郎のお陰で嫌な汗掻いちまったぜ」 ティセラとリーブラ、シリウスはレティシア達とミスドを後にした。