校長室
【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望
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●反撃 C−Dayの戦況は、ちっぱい教側の悪化の一途を辿っていた。 多くの同志がコントラクター達に討たれ、うさぎのあなも応援を寄越せないまでに追い詰められていた。 そして未だに連絡のない冥弩08小隊。 ちっぱい教は背水に立たされていた。 「狙うのはきょぬー界の巨頭、ラズィーヤだよ! 彼女を狩れれば、一気にちっぱい教が勢力を拡大出来るはずだよ!」 そのような状況下にあっても、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は微塵も臆していない。乾坤一擲の策を講じていた。 『きょぬーなんてひんぬーが退化した姿に過ぎないよ!』 カレンは予てから『ひんぬー優位説』を唱えており、今回同志Sの蜂起に同調してC−Dayに参戦していた。 しかし、彼女が駆け付けた時、既に同志Sは牙竜によって討たれた後で、ちっぱい教の教祖は彼に取って代わられていた。 それでもカレンの目的は変わらなかった。 空京デパートの近くにある公園の噴水前は、ちょっとした人集りが出来ていた。 「おお……ネ申が……」 「ああ……我らのネ申が降臨なされた!」 「ちっぱい教万歳!」 「メイド萌えー」 「あ、あの……」 「目線下さいー」 「あ、こっちにも目線下さーい」 「神代明日香、声援に応えるのだよ」 神代 明日香(かみしろ・あすか)は自分を取り囲む男性達と、次々と着られるシャッター音とフラッシュに困惑を隠せなかった。 まじかる☆メイド服に身を包み、薄茶色の髪にちょこんと乗るのは可愛らしくも清楚なホワイトブリム。服に合わせたマジカルシューズを履いて、花柄ティーポットを載せたシルバートレイを持つ彼女は、紛れもなく、どこから見てもメイドだった! しかもエプロンドレスで強調されてもぺったんな胸は、ちっぱい教の同志達を一目で魅了した。 最初は同志達が取り囲んで写真を撮っていたが、その光景にコスプレの写真撮影の類だと思ったのだろう、普通のヲタク達もやってきて明日香の写真を取り始めた。 明日香が困惑するのも無理はない。ちっぱいでちやほやされる事など、これまでほとんどなかったし、ましてネ申と崇められた事など無かったからだ。 彼女自身、好きでちっぱいな訳ではない。密かに気にしており、まだこれから成長すると希望を持っていて、毎日牛乳を欠かさず飲んでいる。 こそばゆいような悲しいような、まぜこぜの感情にしょんぼり俯いて自分の胸を気にしようとすると、横でジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)がアドバイスした。 彼女もまたちっぱい教の同志で、明日香と同じくカメラに晒されていたが、胸を張ってちっぱいを堂々と見せつけている。 「世にひんぬーの者は数多くいるが、その者達とて成長しきょぬーとなる可能性はゼロではない。しかし我こそは未来永劫ひんぬーを保つ存在、エターナルフラット、すなわちネ申! エターナルフラットネ申ジュレールなのだよ」 「おお! エターナルフラットネ申!」 「新たなネ申、ジュレールが降臨されたぞ!」 「俺、ちっぱい教の同志やってて良かった……」 「泣くなよ、俺もちっぱい教に入ろうかな……」 ジュレールは機晶姫であり、ボディパーツを交換しない限り、今のボディ――ちっぱい――のままだ。 ちっぱい教は多神教――というより、ちっぱいはみんなネ申――なので、ジュレールも神の一人として崇められる事となった。 彼女は多くの空京市民が集まっているのを確認すると、アジテーションの為の明日香と手分けしてビラを配った。2人から手渡しされて受け取らない猛者がいるだろうか! いやいない! ビラの内容は『貧乳の者が如何に少ないコストで活動出来るか、巨乳の者が如何に資源を無駄使いしているかを、エコロジーの視点に立ってかなり大袈裟に対比した物』だった。しかもジュレール自身をちっぱいの代表の比較対象としてビラに載せており、ここでも名前が広まったのは言うまでもない。 しかもちっぱい教の連絡先も載せておき、同志になりたい者は連絡できるなど、至れり尽くせりだ。 『来たよ、三大きょぬーの一人、ラズィーヤが。そのまま人垣を維持しててね』 その時、カレンから連絡が入った。 いよいよ、ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)のお出ましだ。