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第四章 薬草ゲット!! パゴの村・戦士の休息


「前方の護衛班の所に、パラミタオオカミが出たか……狡猾な奴らだ」
アルツールは苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「ここは守らなければ……」
司の背中から降り、薬草を取り始めたアイナと仲間達を見て、アルツールは呟いた。
先ほどパラミタ像に襲われ、逃げ回ったアイナの顔は少し青ざめている。
怖いはずだが、協力してくれる仲間達の手前、元気な振りをしているのだろう。
「健気な少女だ……」
悲痛な表情のアルツールを見て、エヴァが声をかけた。
「さあ、今のうちに必要な分を採ってしまいましょうか。
ただ、最低限の警戒は怠らないようにね。
撃退できる備えをしても、不意の一撃をかわしきれずに、重傷を負っては意味が無いでしょう?」
「そうだな」
アルツールはエヴァの言葉に、頷いた。

「アイナちゃん」
ニッコリ笑って、エースがガーベラとバラのプチブーケを差し出した。
「元気出して。俺達が沢山薬草採ってあげるからね」
「わぁっ!! こんな綺麗なお花、始めてもらった!」
ブーケを受け取ると、アイナが嬉しそうに、花の匂いを嗅ぐ。
「所で、アイナちゃんはどんな薬草を採っていたんだい? 薬草が必要な人の、状態も知りたいな」
エースは、アイナの身長に合わせて屈みこんだ。
「えっとね……いえろーこもんるーって薬草なの。痛いのに効くんだって。
お爺ちゃんが腰が痛いって言ってたから、持って行ってあげようと思ったの」
「なるほど。イエローコモンルーか。比較的見つけやすい薬草だし、沢山持って行ってあげよう」
エースはそう言うと、早速薬草を探し始めたが、何かを発見して興奮している。
「ああ、こんな所に、リザンテラ・ガードネリが!! これはランの仲間なんだけどね、珍しくてね。ここの……」
「エース!! 植物のウンチクは今はいいよ」
嬉々として語るエースに、メシエが釘を刺した。
「そのリザンテラ・ガードネリの横にあるじゃないか。イエローコモン」
メシエはしらっと指を刺した。
「おや、隣にはマジョラムもあるな。これも、採って行ったらいいんじゃないか?」
メシエは顎に手を当てて、薬草を取るエースに指示していった。
「エースとメシエ。さすがに植物と薬学の知識があるわね」
エヴァは感心して言った。エースがエヴァに気づいて、手を振っている。
「さ、わたくし達も薬草を取りましょう」
元はプリーストだったアデリーヌは、そう言うと、手馴れた様子でイエローコモンルーを摘み始めた。
「イエローコモンルーね。見た目の通り黄色いから、見つけやすいわ。ほら、アイナちゃん。ここに沢山あるわよ!」
エヴァとアデリーヌは、手際よくイエローコモンルーを摘むと、アイナの持つ籠に入れていく。
「凄いお姉ちゃん達!! こんなに沢山!!」
アイナは嬉しそうに籠を揺らしている。
「結構色々な薬草があるわね。ついでに採って行きましょう」
エヴァは魔女術の特技を活かし、セージ、ソレル、ディルなどの薬草もアイナの籠に入れた。

 「エースさん達もエヴァさん達も、凄い勢いで薬草採ってますね。イエローコモンルーなら、私も少し摘んでます」
リースはそう言うと、自分の摘んで来た薬草を、アイナの籠に入れた。
「ありがとう。お姉ちゃん。こんなに沢山あったら、お爺ちゃんの痛いのすぐ良くなるだろうなっ」
アイナは満面の笑みだ。
「アイナちゃん! このずかん見て! 沢山、お薬になる葉っぱ載ってるよ!」
ラグエルがパラミタ植物図鑑を広げて、アイナに見せた。
「本当だぁ! あっこの薬草も欲しいなっ!!」
アイナが、チャービルに反応した。
「これならねーさっき向こうで見たよ!! こっちこっち!!」
ラグエルがアイナの手を引いて走り出した。
「あんまり離れるんじゃないぞー!」
アルツールが、心配そうに二人の後をついていく。
「ふふっ。ラグエルちゃんもアイナちゃんも、凄く楽しそう。アルツールさんも、何だか可愛い」
リースは楽しそうなラグエルとアイナを見つめた。

 「そろそろ、パゴの村のテリトリーのはずです」
サクラコが周囲を見回しながら言った。
「ここがどの辺か分かるか?」
司は大量に薬草を抱えて、ニコニコしているアイナに聞いた。
「うん!! わかる!! あそこにパゴツリーがあるよ! あの木が目印だよ!!」
「やったぜ!! ようやくゴールだな!!」
アッシュが拳を突き出した。
「ええ、皆無事で良かったわ。私の災厄体質も改善かしら?」
雅羅がほっとして言った。
「それはないかな」
理沙が素早く突っ込んだ。
「理沙ったら、なんですってーー?!」
雅羅が、わざとむくれて見せる。

「皆ついてきて!! 村でお礼しなくちゃっ!!」
アイナがポチから飛び降りて、走り出した。
複雑な獣道を抜けると、村の入口が見えてきた。
アイナの帰りを心配した村人達が、入口に集まっていた。
「アイナ!! 心配したんだぞ!!」
「アイナ!!」
「お父さん、お母さん!!」
アイナは両親に抱きついた。
「無事で良かったわい。村の若いもんが探しに出たが、戻るように狼煙を上げよう」
「お爺ちゃん!! 薬草沢山持ってきたよ!! あのお兄ちゃん達に助けてもらったの!!」
アイナは祖父と見られる老人に薬草を渡し、アッシュ達を指差した。
「これはこれは、うちのアイナがお世話になりました。こんな辺鄙な村まで本当にありがとうございます」
祖父は深々と頭を下げた。身なりからすると、どうやらこの村の長老ではなかろうか。
「どうぞ中へ。大したおもてなしは出来ませんが、くつろいで下さい」
アイナの母が一行を村の中へ案内した。

村の中で一際大きな家に案内された。
「アイナが薬草を煮るね!!」
アイナは、そう言うと慣れた手つきで、薬草を煎じ始めた。
一行は思い思いに、座り、アイナを無事に送り届けられて良かったと安堵した。
「さー、戻ったらピクニックの続きしようぜ!!」
アッシュが無邪気に言った。
「さんせーい!!」
ランディが手を上げる。
「もう夕方だけど?!」
雅羅が窓を指差した。
見ると陽がくれている。
「また日を改めて行けば良い」
司が窓の外を見て言った。
「また皆で行こうよ。うん」
理沙が頷いた。
「そうだね、今度はアイナちゃんも一緒にね」
三月が皆に向かって言った。


担当マスターより

▼担当マスター

マロ宮

▼マスターコメント

はじめまして。今回、マロ宮のシナリオにご参加頂き、ありがとうございます。
初のシナリオという事で、色々慣れない中で、試行錯誤して書きましたが、
皆さん個性的なキャラばかりで、書いてる方も楽しく書かせて頂きました。
それでは、また機会があれば、一緒に冒険しましょう!!