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森の王と森の王妃

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第 1 章


 イルミンスールの森に起きた異変――持ち去られた神器は剣とティアラ。

 
 復活しつつある【古王国の闇騎士】を再び封印すべく魔法学校へ知らせに走った近隣の住民と一緒にその森へ向かう複数の人影があった。
「そうですか、お話を聞くと僕等も何人かに分かれて行動した方が効率が良さそうですねぇ」
 清泉 北都(いずみ・ほくと)が提案するとそれに倣って多くが頷いたのを機に片手の手のひらへパン! と拳を打ち鳴らしたシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が早速立候補して傍らのパートナー、サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)の手を取って封印の石碑がある森へ向かっていこうとする。
「神器を取り返すにしろ、時間稼ぎは必要だろ? だったらオレ達に任せな! それに、サビクは古王国の剣士だったしその闇騎士とやらへの対抗策も知ってるかもしれねぇ」


 期待に満ち溢れた眼差しをシリウスや同行している皆から向けられたサビクは、ため息と一緒にコホンと一つ咳払いをすると周りへ視線を巡らせる。
「……確かに、古王国の闇騎士については聞いた事はあるけど噂に聞いた程度で実際に見た事も、ないんだよね……ごめん」
「お嬢さんが謝る事はありません……噂にしろ、手掛かりはあるに越したことはないのだから」
 シリウスとサビクへそれぞれ薔薇と百合の花を一輪差し出し、つられて2人も花を受け取るとにっこり微笑みを湛えたエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が北都へ振り返り、新たに提案した。

「北都君、こうしてはどうだろう? 盗人を追いかけて取り返す人、森に広がる瘴気やモンスターの出現を抑える人、住人達の避難誘導を担う人……俺達ならそれが可能ではないだろうか」

 エースの言葉に適材適所とすぐに散らばり、それぞれの役目を果たすべく動き出した。