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 第 4 章


 森を覆う瘴気の濃さに気分の悪さを自覚し始めていた風森 望(かぜもり・のぞみ) は魔法の箒スパロウに乗って木々や地面に浄化の札を貼り、瘴気が広がるのを抑えていった。

「剣とティアラが手に入るまでは打つ手は限られていますし、出来る事をしておかなければいけませんわね……」
「でも、正直……悪霊とか剣で斬れないものは苦手ですわ」
 ノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)が不満そうに口にしていると箒から降り立った望が肩を竦めながら近くの木々へ浄化の札を張りつけていく。
「お嬢様……騎士の名を頂いたあなただから、出来る事があるのではありませんか?」
 望に微笑まれながら告げられると、それから言い返せなくなり辺りを警戒していると別行動をしていた鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)が現れた。
「お二人とも、こちらでしたか。瘴気が随分濃くなっています……もしかしたら、闇騎士が復活したかもしれませんね……シリウスさん達が様子を見に行っていますが俺達も向か……っ!?」

 貴仁が言いかけたところで、封印の石碑のある辺りでまばゆい光条エネルギーが降り注いだ。
「様子を見に行くだけでは、済まなかったようですわね」



「サビク! 潜在解放するから武器の攻撃も当たるかもしれねぇ……っ!」
「かもしれない、じゃイマイチ不安なんだよねシリウス。でも頼む!」
 シリウスの支援魔法で一時的に能力が上がると持っていた剣に『武器の聖化』をかけて目の前で揺れる陽炎のような物体を切り裂いたが手応えがなく、まさしく暖簾に腕押しの結果があった。
「……つくづく、めんどくさい存在になったものだね。キミは一体何を果たそうとして……何を望んでそんな姿になったんだ」
 サビクの呟きを聞きながらシリウスは一瞬躊躇ったものの、闇騎士へ向かって『ファイナルレジェンド』を唱え、弱体化を試みると同時に『エクスプレス・ザ・ワールド』で4人の魔法少女コスチュームに分身した。


「これは……壮観ですね」
 石碑の前にやってきた貴仁と望、ノートは闇騎士と見られるガス状の物体とそれを取り囲むシリウスの分身に貴仁がぽつっと感想を洩らすと大げさに溜息をついた望が魔法の箒に乗ると浄化の札を取り出す。
「鬼龍様、感心されるのも程ほどになさってシリウス様とサビク様の援護に回りましょう。多分……あの煙みたいな影が、例の闇騎士と思われますし」
「復活していたのね……それでしたら、2人が攻撃しやすいようにわたくしは囮になりますわ」
 貴仁も顎に片手を添えて考える仕草を見せると、闇騎士に向かって歩きだした。
「女性ばかりに危険な役目はさせられませんからね、光輝属性の魔法を中心に叩き込んでいきます」


 姿を現した【古王国の闇騎士】にそれぞれ立ち向かっていった――