リアクション
「ねえねえ、今のって確か十二星華だった人だよね?」
「そうだったと思うぜ。ま、よく分かんねぇけど、盛り上がったしいいんじゃね? ……お、次は女の子のツインボーカルらしいぜ」
麻生 創(あそう・はじめ)とミスラ・ブロッサム(みすら・ぶろっさむ)が声援を送る中、遠野 歌菜(とおの・かな)と双葉 京子(ふたば・きょうこ)がボーカルを務めるバンド『オレンジ☆Peach』が、メンバー全員で作り上げた曲『ぴちかーとそーだ』を熱唱する
サマーバケーション
さぁ日ごろのよい子は今日はおやすみ
抜けるような青空と招くような南風
ほら海が呼んでるよ
ピンクビキニ姿の歌菜と、淡いオレンジのワンピース水着にパレオを纏った京子とが互いに手を合わせてハートマークを作ると、観客席から野太い声が響き渡り、一部では訓練された者たちが身体全体を使った動きで魅せる。
はじけるオレンジソーダとピーチソーダを
あなたと一緒に飲みたいな
水着一枚とちょっとした勇気
さぁうみへとびだそう
椎名 真(しいな・まこと)が刻むドラムのフレーズに合わせ、月崎 羽純(つきざき・はすみ)がベースを躍動感のある動きで弾いていくと、今度は黄色い歓声が観客席から溢れ出していく。
そのまま曲は終盤へと向かっていき、盛り上がりは最高潮に達する。
波飛沫に弾ける笑顔
この耀く夏を逃がさない
心の扉を開け放て
素肌で今この時を感じよう
イチゴ柄のビキニを纏った佐々良 縁(ささら・よすが)のギター、白のワンピースが眩しい佐々良 皐月(ささら・さつき)のキーボードがポップなメロディーを奏でる。
そして、歌が終わり後奏に入ったところで、真がスティックを空中に向ければ、そこへ水飛沫が生まれる。それを縁、皐月、歌菜、京子の女子四名が氷術で固まらせ、演奏が終わった瞬間に光術でパン、と弾けさせる。
「暑さで倒れちゃわないように、私たちからのプレゼントだよっ!」
熱気立ち込める会場の冷却材として放られたそれらは、観客に一時の癒しをもたらしつつ、熱気は失うことなく蒸発して宙へと昇っていった――。