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リアクション
ドージェの代わりとなって 3
【シャンバラ教導団大尉】ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、
シャクティの宿りでドージェの代わりにパラミタを支える者のアンカーとなった。
「最後の”宿り”はこの私、ルカルカ・ルー!」
ルカルカを取り囲み、
守り、支えるのは、
パートナーのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)と、
【鋼鉄の獅子】の仲間たちである。
「俺はお前のパートナーである事を誇りに思う。共にパラミタ大陸を支えよう……」
ダリルが言った。
ルカルカの教導団大尉としての部下と、
ドッグズ・オブ・ウォーの傭兵たちも、ルカルカの護衛をする。
「俺たちが、ルカを支えれば、
その分、ドージェが戦っていられる時間も増えるんです。
ここには大切な人がいるんです。俺は妻を、愛する人をまもります!!」
【シャンバラ教導団大尉】ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)は、
SPリチャージで、ルカルカの気力をつなごうとする。
「ええ。私たちの力を見せてあげましょう!」
ソフィア・クロケット(そふぃあ・くろけっと)も、ルカルカに、SPリチャージを行う。
「想いが、叫びが力になるというのならば、
ナナはルースさんと出逢えた事の喜びを
パラミタという大陸があったからこそ、
『今』から繋がる『未来』を描ける幸せを唄いましょう」
ナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)が、
夫の隣で、驚きの歌を歌う。
それは、生の素晴らしさへの驚嘆を詩にして紡いだものであった。
「ナナ、ありがとう!」
「ルースさん、
ルースさんがいるから、今のナナがあるんです。
この喜びを、幸せを、示すことができるなら、
これほどうれしいことはありません」
ルースに、ナナが微笑みかける。
「拙者の想い、主たるナナ様の幸せを望む!
そして、ナナ様ラブ!」
音羽 逢(おとわ・あい)は、
小型飛空艇オイレを操縦し、
ナナやルカルカを守るため、ゴーストイコンの接近に備えていた。
「拙者は、ミス・ブシドー……。
ブシドーをもって、この世界を守るで御座る!」
「さぁ、守るものがある強さを見せようか」
【シャンバラ教導団少尉】ウォーレン・アルベルタ(うぉーれん・あるべるた)も、
上官にして、戦友、
そして、大切な友人である、ただの一人の女の子でもある、ルカルカを、
全力で守ろうとする。
部下を率い、自らはグリフォンで飛び回り、
大陸を支えるルカルカにゴーストイコンを近づけさせないようにする。
「なんで人間はこんなに必死で馬鹿で愚かなのだろう」
ジュノ・シェンノート(じゅの・しぇんのーと)が、
ぼそりとつぶやいた。
「あぁ、嫌だ。
なんで皆、他人の事ばかりで自分を守ろうとしないの……ハァ」
ジュノは、仲間たちに回復魔法で支援を行う。
ゴーストイコンが向かってきたとしても、
この【鋼鉄の獅子】の守りの壁に、ルカルカに近づくことはできなかった。
「友人が、パラミタを守ろうとしているのなら、
私も、できる限りのことをしてみせるわ……!」
月摘 怜奈(るとう・れな)もまた、
ルカルカを護衛するため、
パワードスーツで身を包み、弾幕援護で地上からゴーストイコンを攻撃した。
(……パラミタがこのまま滅ぶなんて嫌だと思っている自分がいる。
それはパラミタで過ごしているから……。
それ以上に、尊敬する上司を見つけて、その人の元でもっと学びたいから。
もっとお役に立ちたいと思っているから。
……我ながらあまりに私的すぎる理由だと思うけれど……でも。
その願いを叶えるためにも、できる事をしないと……ね)
憧れの人のことを想い、
怜奈は、過酷なナラカでの戦闘に集中する。
「やれやれ……また戦いですか。
いつの時代も戦いという物は避けられないのですかねぇ……」
杉田 玄白(すぎた・げんぱく)は、
そうぼやきつつも、ルカルカの体力回復や、
怪我人の治療に専念していた。
「怜奈、あまり前に出すぎてはいけませんよ」
「わかってるわ、玄白!」
怜奈は、決意を新たにする。
(あの人の元で、学び続けるためにも、ここで倒れるわけにはいかない……!)
「みーんな愛してんぜ☆
ルカや仲間を傷つける奴は許さねえ!」
ウォーレンが、周囲を気遣い、
ジュノがため息をつきながら、同様に周りを助ける。
「ありがとう、皆!
皆が居るから私とパラミタはもっと強くなれる!」
ルカルカは、強く前を見据え、
力強く言った。
「全部私が支えてみせる、守ってみせる、力尽きるまで!」
「俺はお前のパートナー、俺とお前の……俺たちの気持ちはひとつだ、ルカ!」
ダリルが、【ルカルカを支える者】としての矜持を示す。
やがて、ルカルカは、視界がぼやけてくるのを感じる。
(これからも、ずっと、ずっと、ドージェは、ここに立ち続けなければいけないのね)
そう思うと、ドージェへの感謝が、強く、胸に湧き起ってくる。
ドージェが、ゆっくりと歩いて、ルカルカに近づいてくる。
「後をお願いね」
ドージェとバトンタッチしたルカルカは、
微笑を浮かべ、ドージェに大陸を託した。
ダリルは、ルカルカを両腕で支える。
ドージェは、無言だったが、
ルカルカたちの想いを受け止めたかのように見えた。
■アトラス
そこは静かな場所だった。
ゴーストイコンの数は減りを見せ始め、決着はつこうとしているようだった。
ともあれ、白く佇む巨大なアトラスに“敵”が向かってくることは無く、争いの音は近くて遠い。
死んでいてもう何をすることも出来ないのだから、敵にとってこの白い塊は無価値なものなのだろう。
早川 呼雪(はやかわ・こゆき)は、その足元からアトラスを見上げていた。
「…………」
「真っ白に燃え尽きちゃったかー」
そう言ったのは共にここへ来たヘル・ラージャ(へる・らーじゃ)だった。
「万年単位の遥かな時間、彼はどんな想いでパラミタを支えていたのかな?」
「……途方も無いな」
呼雪は零し、持ってきていた水筒の蓋を開けた。
アトラスの故郷パラミタの水をそこに振りまく。
途方も無かった。
気が遠くなるほど長い時間、彼は一人で大睦を支え続けていたのだ。
そんな彼が何を考えていたのか、想像を試みても果てが無い。
呼雪は、ゆっくりとナラカの闇に腰を降ろして、リュートを構えた。
爪弾き、歌ったのは呼雪が知る限り古い時代、パラミタで歌われていた鎮魂歌。
隣では膝を抱えるように座ったヘルが頭を揺らしていた。
そっと供えたイアペトスの灯を前にして。
ふと。
白い人影のようなものが現れ、言った。
『……そうか。私はもう死んでいたのか』
それは今しがたようやく気づいたかのようだった。
『長い間、多くの歴史を感じてきた。
私には残した娘が居たが、
この大地に生きた者、死んだ者すべてが私の友であり、家族であった。
“契約者”たちよ……。
お前たちは、この世界とそちらの世界とが
予期しなかった異物だ。
しかし、私にとってお前たちもまた、等しく友であり、家族だった。
出会えたことに、心から感謝している。
私の人生は、悪くないものだった。
そう――悔いはなく、少しだけ、去りがたい』
いつの間にか、その白い影の隣には、もう一つの影が立っていた。
灯が揺れる。
『もし、パラミタが在り続けたならば、
幾つもの時代の先、また、この地で巡り会おう』
そして、二つの影は消えていったのだった。
アトラスの遺体が少しずつ崩れ、白い粒となり、淡く光を散らしていく。
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