空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【2】残るはお前だグラヒトリ! 3 

「よし、この隙にっ!」
「一気に攻めるっ!」
 涼介と真司が隙だと察してグラヒトリヘ。
 しかし、攻撃は届くことなくエレクトロンブレードに一凪ぎにされる。
『はあ、はあ! お、己! 取るに、足らん、蛆虫の分際でぇ……!!!』
「一人で気張ってる蛆虫はあんたのことだろうが!」
 戦況を見守っていた朝霧 垂(あさぎり・しづり)ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)が搭乗するが尋常ではないスピードで駆け寄ってくる。
 ヴィサルガ・プラナヴァハによるイコン能力の大幅上昇。
 対してグラヒトリは戦い続きで本来の力を十分に発揮できない状態だ。
「このまま落ちちまいなっ!!」
 掌にエネルギーを集中させ、敵に叩き込んでいく鵺。
 残骸が弾け飛んでいく。
『まだ、まだだ!』
「なら、こんなのはどうだい?」
 鵺が二体になる。尾羽を切り離し『黒い砂』の力を駆使することで『鵺』と同じ姿の『存在』を生み出したのだ。
 挟み撃ちの形でグラヒトリの装甲を削り取っていく。
 もはや巨体だった時のグラヒトリの面影はなかった。
『蝿が二匹に増えたところで、何も変わらん!』
 傷つけられほとんど使い物にならなくなった残骸の一部をパージして、鵺との間合いを取るグラヒトリ。
 それを見ていたエヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)に声をかけた。
「……今ならヤツを仕留められるぜ。いくよな、煉?」
「無論だ……抑えの切り札としての役目、果させてもらう」
 煉がカッと目を見開くと同時に、セラフィート・セカンドがガーティアンヴァルキリーから発艦する。
「こっちも最初から全力だ!」
 エヴァがヴィサルガ・プラナヴァハを使用して、セラフィート・セカンドは覚醒状態に移行する。
 鵺に負けず劣らずの速度でグラヒトリへ迫る。
『次から次へと……!!』
「おっと、俺の相手もしてくれよ!」
 再度間合いを詰めてきた鵺がグラヒトリをその場に釘付けにする。
 壮絶に戦いあうグラヒトリと鵺。
 そこへセラフィート・セカンドも参戦。
「……斬るッ!」
『させるか!』
 デュランダルの一撃をエレクトロンブレードがせき止める。
「そして、断つ!」
 神武刀・布都御霊を大剣モードへと移行させ、デュランダルを捨てて両手で持つ。
「消えろ、グラヒトリ! 罪を清算しろ、エレクトロンボルト!」
『ぐうう、ちょこざいなっ! 受け切ってやる!』
 自分の身の回りにあったパーツを繋ぎなおし、煉の極大の一撃に備えるエレクトロンボルト。
 その刹那、炸裂する至高の大振り。
 ……それは、全てのイコン残骸を両断し、グラヒトリに装甲を僅かに傷つけた。
「届かない、か……!?」
『調子に乗るな!!』
 攻撃後の隙を見越して、エレクトロンショックを見舞おうとするグラヒトリ。

「本日三度目のエレクトロンショック……ネタ切れなんですわね?」
 中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)がぽつりと呟く。
 刹那、ワープ移動してきたサタナエルが、エレクトロンショックの要である肩部をデュランダルで破壊。
 こうなるとエレクトロンショックは拡散させることが出来なくなる。脅威と呼べる武器ではなくなった。
「前回みたいにはいかないってね!」
 メインパイロットの魔王 ベリアル(まおう・べりある)がその後もデュランダルによる猛攻を繰り出していく。
『ぐう、この威力に速度……貴様も覚醒済みか。
 だが奥の手は取っておくものだぞ!』
 グラヒトリの周りに壊れたマリオネットの様なイコン達が現れる。
「今更こんなもの、意味ないんだよ!!」
「斬らせてもらう!」
 垂と煉が操られたセラフィム機を次々と破壊していく。
 だがそれもエレクトロンボルトの策略の一つだった。
『電力回路の異常はほぼ問題ないレベルまで修復されている。
 あとはこの一帯にあるイコンの残骸を最大出力でかき集め、貴様等を屠るだけだ!!
 ハハハ、アーハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!』
「そんなことさせないよ!!」
 ベリアルがグラヒトリを追撃するが、攻撃は空を切った。
 グラヒトリが後退して、イコン達をサタナエル、セラフィート・セカンド、鵺の三機に嗾ける。
 最早、万事休すだ。