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TRACK 16

 『だごーん様秘密教団』の控え室を訪れた羽高 魅世瑠(はだか・みせる)フローレンス・モントゴメリー(ふろーれんす・もんとごめりー)は、『秘密教団』のメイクを見るなりケチをつけた。

「そんなメイクじゃダメだよ!
 もっと秘密に! もっと邪悪に! もっと忌々しくないと!」

 そう言われるとそういうものなのかも知れない。自信のなかった初島 伽耶(ういしま・かや)アルラミナ・オーガスティア(あるらみな・おーがすてぃあ)マリアンマリー・パレット(まりあんまりー・ぱれっと)後鳥羽 樹理(ごとば・じゅり)の4人は魅世瑠にメイクを任せることにした。

「あぁ……だめですっ……そんなところを……あっ」
 メイクのあいだ、マリアンマリーがあえぎ声を漏らす。
「え? 下着を脱ぐ必要があるの?」
 樹理が服を脱いでいる。
 聞こえてくる声に不安を隠せない伽耶とアルラミナであった。


「できたわ!『およそ如何なる進化の系統樹からも外れたような、見ただけで観客の原初の記憶が反射的に嫌悪と嘔吐を齎す如き、神の恩寵から見放され堕落しきった生命体』の如きメイクが!!」

 実際にはそこまで大仰なものではなかったが、名状しがたき淫猥さを持つメイクであった。ただし樹理だけは一見すると普通のナチュラルメイクである。

「マノファもメイクしてもらったら?」
とパートナーに声を掛ける樹理だが、マノファ・タウレトア(まのふぁ・たうれとあ)はめんどくさいのと独自の美意識から拒否。

「せっかくの機会ですから僕もお願いしようかなあ。
 偉大なる方々が訪れてくださった場合、失礼があると困りますので」
 バンドのリーダーであるいんすます ぽに夫(いんすます・ぽにお)はそう申し出たのだが、『もう充分宇宙的恐怖な顔だから』という理由でやんわりと断られるのであった。