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パドック
 ここは、バトルに出場する前の虫たちが、観客に自分の姿を披露するパドック。
 公営ギャンブルとしての営業が許可された今回の大会では、勝虫投票券が飛ぶように売れていた。
「うまくいきましたね……」
 今回のギャンブル計画をエリザベートに持ち込んだ張本人である大草 義純(おおくさ・よしずみ)は、周囲を見回して満足そうにうなずいた。
 この企画をエリザベートに持ち込んだ時のことを思い出す。
「校長、イルミンスールにとって、とても有益な話があるんです」
 義純は、長期戦を覚悟して説得に望んだ。
「ムシバトルを公営競技とする事で違法なノミ行為も事前に防げますし、このイベント盛り上げの一助となること間違いありません」
 企画書を見せて、エリザベートに熱弁をふるう。
「……で。売り上げはどの程度イルミンスールに入りますの?」
「経営側が2割。勝虫投票券還元が1割。残りはイルミンスールに収めます」
 この時、エリザベートの目の色が明らかに変化した。
「じゃ、やりましょう。絶対に7割でお願いしますぅ」
 かくして、ほんの5分ほどの説得で、こうしてギャンブル営業を行う許可を得ることができたのだった。あっという間にパドックや券売所を新設し、今日に至る。
「僕もそろそろ虫券を買っておこうかな。やっぱり多少買っておかないと、決勝は楽しめないですものね」
 義純は、単戦用ワンバトルチケットではなく、配当が大きい総合順位を当てるエリザベートカップチケット購入用のマークシートを手に取った。
「ああ、準決勝出場者が決まったようですね。テレビでダイジェストを見ておきましょう」
 予想のため、義純はモニタービジョンに目をやった。

ダイジェスト放送
「まいど! ダイジェスト放送担当のセツカや!」
「そして、エドワードです。よろしく」
「一回戦はA、B、Cブロックに分かれての熱戦やったな!」
「若干トラブルがあったブロックもあったみたいですけどね」
「では、既に終了した二回戦と三回戦をダイジェストでお伝えするで!」

 二回戦第一試合、パラミタオオカブトムシのアーサー対、ヘラクレスパラミタオオカブトムシのカンタロー。
 カンタローの堅さに苦戦をしたものの、パワーで押し切ったアーサーが勝利。
 カンタローのセコンドインタビュー。
「またトレーニングして戻ってくるさ! 来年までお預けだ!」

 二回戦第二試合、イルミンミンミンゼミの多々良さん対、パラミタコーカサスの剛力丸。
 再度ギャザリングへクスで巨大化した剛力丸だが、多々良さんの速さに翻弄され、長期戦に。
 最後は打たれ強かった剛力丸が、消耗戦を制した。
「ここで悲しいお知らせや……。イルミンミンミンゼミの多々良さんはこの試合後、天寿をまっとうしてお亡くなりになったそうや」
「セミの宿命とはいえ、切ないですね……」
 最期を看取ったセコンドへのインタビュー。
「またきっと多々良さんは……生まれてきてくれるよね。う、うわあぁぁ!」

 二回戦第三試合、セカイジュオオカマキリのストライカー対、パラミタキイロミツバチの四郎さん。
 ストライカーの速さもなかなかだったが、四郎さんはそれよりも早かった。
 素早い連続攻撃を決め、四郎さんが勝ち進んだ。

 二回戦第四試合、パラミタヤマシログモのアララちゃん対、パラミタノコギリクワガタのライトニング。
 速さで圧倒的に上回っていたライトニングが、アララちゃんをじわじわと削って消耗させた。長期戦の結果、ライトニングが勝ち進んだ。
「負けちゃったけど、蜘蛛は益虫でいい子だって、みんな知ってくれたよね?」

 二回戦第五試合、パラミタルリスズムシのフォルテくん対、パラミタミヤマクワガタのステキ自然。
 パワーで押していったステキ自然だが、素早く後ろに回り込んだフォルテくんに、場外に落とされてしまった。

 二回戦第六試合、パラミタオオクワガタの黄緑紫対、パラミタオオアリジゴクの末広がりちゃん。
「この第六試合では事件が起こりました。試合直前、パラミタオオアリジゴクの末広がりちゃんが羽化し、パラミタオオウスバカゲロウになっていずこかへ飛んでいってしまいました……」
 その瞬間を目撃したセコンドへのインタビュー。
「末広がりちゃんが……幼虫だったなんてぇぇ……」

 二回戦第六試合、パラミタオオカブトムシのストロンガー対、イルミンヒメスズメバチのエリザベート。
 エリザベート本人の「負けてくださぁい」コールむなしく、素早い連続攻撃で、エリザベートが勝利をおさめた。

 二回戦第七試合、シャンバラハネサソリのアミキリ対、パラミタトノサマバッタのぴょん三郎。
 アミキリの攻撃がなかなかぴょん三郎にヒットせず、逆にスキをついて突っ込んだぴょん三郎が勝利。

 二回戦第八試合、パラミタオオコガネムシのセモベンテM40対、パラミタノコギリクワガタのデスペラード。
 観客からは「二度目の奇跡」を望む声が多く上がったが、残念ながらデスペラードに押し負け、ここで姿を消すこととなった。


「いやー、二回戦も白熱の試合やったなぁ」
「いえいえ、ここからの三回戦の方が凄かったんですよ」


 三回戦第一試合、パラミタオオカブトムシのアーサー対、パラミタコーカサスの剛力丸。
 剛力丸が客席からの応援を力に連続攻撃を決めたものの、絶妙のタイミングで援護のディフェンスシフトを繰り出したアーサーに防がれ、そのままカウンター負け。アーサーが次へと駒を進めた。

 三回戦第二試合、パラミタキイロミツバチの四郎さん対、パラミタノコギリクワガタのライトニング。
 双方とも素早く、肉眼でとらえるのが難しい試合だったが、終わってみたら四郎さんが立っていた。

 三回戦第三試合、パラミタルリスズムシのフォルテくん対、パラミタオオクワガタの黄緑紫。
 残念! スズムシさんの健闘もここまでだった。
 花婿絶賛募集中、黄緑紫が勝ち進んだ。

 三回戦第四試合、イルミンヒメスズメバチのエリザベート対、パラミタモンシロチョウの白戸。
「白戸って書いてホワイトって読むんやて」
「エリザベート校長が送り込んだシード選手で、ブリーダーは宮下信子さんの夫、宮下健二さんでした」
 エリザベートからの脅しに近い声援に応え、チョウがハチを刺すという結果に。勝ち進んだのは白戸。

 三回戦第五試合、パラミタトノサマバッタのぴょん三郎対、パラミタオオスズメバチの家なき子。
「この家なき子っていうスズメバチ、一ヶ月ほど前に、エリザベート校長に巣を燃やされて、文字通り家を失った子らしいですよ」
 家を失ったくやしさを試合にぶつけた家なき子だが、ぴょん三郎の速さについていくことができなかった。

 三回戦第六試合、パラミタノコギリクワガタのデスペラード対、セカイジュホタルのヒカリ。
「このヒカリは、なんとエリザベート校長自身のエントリーでした!」
「普通、主催者は遠慮するもんやけどなぁ」
 ヒカリはかなり鍛えてあったのだが、エリザベートに脅されて戦っている感があり、連携がうまくとれていなかった。
 そのスキをついたデスペラードが勝利。


「はい、というわけで準決勝進出の虫が全て出そろいました!」
「このあといよいよ準決勝! 中央バトルステージに集合やで」
「勝虫投票券は間もなく締め切りますので、お早めに」
「じゃあこのあとも、ムシバトル大会で楽しんでや!」