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闇世界の廃病棟(第1回/全3回)

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第9章 謎の襲撃エレベーターに潜む亡者

「(実験室には何があるのであろうか・・・)」
 エレベーターに飛び乗った前田 風次郎(まえだ・ふうじろう)は、壁に寄りかかりながら考え込む。
「こういうところで襲撃されたら厄介ですよね」
 ゴーストが襲ってこないか、真人は周囲を警戒する。
「ちょっと・・・変なこと言わないでよ・・・。こんなところで本当に出たらどうするのよ」
 真人の言葉に怯えたセルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が、辺りをキョロキョロと見回す。
「な・・・何!?」
 突然エレベーターがガタンッと揺れ、衝撃でセルファは転びそうになる。
 バキィイと音を立てて、ゴーストの腕がエレベーターの壁を突き破る。
 シルバがハンマーで殴りかかろうとするが、死に迷う亡者に腕を掴まれ、エレベーターの外に引きずられそうになってしまう。
 腕の長さからして襲ってきたゴーストは、かなりの巨体だ。
 ドラゴンアーツの能力で、風次郎がゴーストの腕を蹴り飛ばす。
「このような所で襲撃されるとは・・・まったくついていないな」
 風次郎は疲れたように言うと、床にしゃがみ込んだ。



「まさか・・・また襲撃されるっていうようなことは・・・ないよね。あはは・・・」
 2度もあるわけないと、セルファは乾いた笑いを漏らした。
「このエレベーター・・・何かおかしくありませんか?」
「どうしたんだオウガ?」
「2階からエレベーターを使って3階へ向かっているはずですよね」
「そうだな」
「下へさがっている感覚があるんですが・・・」
「気のせいではない・・・急激に下へ落下しているのだよ」
 キィイイイッと金属が擦れる音が響き、エレベーターが落下していく。
「きゃぁああ!」
 穴が開けられた壁と逆側の壁から、ゴーストの腕の部分が侵入してきた。
 明らかにゴーストの目的は、エレベーターを落下させようとすることだった。
 そうはさせまいとオウガがランスで突き落とし、亡者は地面へ落下していきドオォオンッと轟音を轟かせる。
「何とか上に行けるようになったようであるな」
 エレベーターは正常に3階へ上り始め、落下の騒動に生徒たちは安堵し疲れたような表情をする。