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闇世界の廃病棟(第1回/全3回)

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第6章 病棟を徘徊する悪霊

-PM20:00-

「うぅ・・・ここも真っ暗だよ。何か出そうな雰囲気ね・・・」
「怖いですぅ」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)シャーロット・マウザー(しゃーろっと・まうざー)は、手を握り手術室へ向かう。
 キャーキャー騒ぐ彼女たちの後ろで、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が苦笑する。
「(シャーロットはこういう所が苦手のようですけど、私は大好きですわ♪)」
 辺りをキョロキョロと見ながら、オリヴィエ・クレメンス(おりう゛ぃえ・くれめんす)は楽しそうに歩く。
「おっと」
 ダリルが足元のバケツを蹴ってしまい、ガタンッと音を立てる。
「きゃぁああっ、今の音なんですかぁー!ゴーストが出たんですかぁあ!?」
 突然聞こえた物音に、シャーロットはパニック状態に陥る。
「大丈夫よシャロちゃん。ダリルがバケツ蹴っちゃっただけだから」
「そうだったんですかぁー・・・」
「あぁゆう場所こそ、絶対出ますわよね」
 シャーロットが安堵するのも束の間、オリヴィエが手術室を指差して言う。
「出るって・・・何がですかぁ」
「さぁー・・・何が出るかなんて、私には分かりませんわ」
 恐怖を煽るように、オリヴィエはしれっと言い放つ。
「入ってみようか」
 怖がるフリをしてルカルカはシャーロットと一緒に、先に手術室の中へ入っていく。
「自分の一部を忘れるとか、なんつーか凄い忘れっぽい奴らなんだなー」
「忘れたんじゃなくって、何者かに隠されたのですわ」
 傍からオリヴィエが、カルキノスにツッコミを入れる。
「いやぁあっ!」
 シャーロットの足元に、顎のない老婆が転がっていた。
 動き出そうとする老婆に向かって、斧を握りルカルカが勢いよく振り下ろす。
 高笑いしながらザクッザクッと斬りつける。
「―・・・はぁ・・・はぁ・・・怖かったね」
 息をきらせてルカルカは床に座り込むが、心中では明らかに楽しんでいた。
「怖かったですぅ」
 鉄パイプをギュッと握り締め、シャーロットは銀色の双眸を潤ませる。
「こうなったら死者たちのパーツを探してあげようっ」
「えぇええー!?」
「いい考えですわ。永遠に彷徨うなんて可哀想ですもの」
「そ・・・それって動きだしたりしませんかぁ?」
「動きだすってパーツが?」
 ルカルカの言葉に、シャーロットがコクリと頷く。
「そうかもしれませんわね」
 またもや平気な顔をしてオリヴィエがさらりと言い放つ。
「それじゃあ、そういうのがありそうなラボに行こうか!」
 楽しそうに言うとルカルカはシャーロットの手を握り、無理やり連れて行くように手術室を出て行った。



「ここかしら?」
 ルカルカはドアの傍にかけてあるラボ2-2と書かれたプレートを見る。
 ノリノリな彼女と比べて、シャーロットは恐怖のあまりガタガタと震えていた。
「もしかしてこの中とか?」
 机の上に放置されてある冷凍ボックスを見つたカルキノスが、そっと蓋を開けてみると斬りとられた人間の舌が入ってた。
「このビニール袋の中に集めよう」
 透明の袋をルカルカがカルキノスに手渡す。
「それがいいな」
 ボックスの中から舌を取り出し、袋の中にそっと入れる。
「見つけましたわ」
 別の冷凍ボックスを見つけ、オリヴィエが蓋を開けて袋の中に入れてやる。
 ルカルカたちはゴーストたちのパーツを探し、袋に詰めていった。