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暗き森の泣き声(第2回/全2回)

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暗き森の泣き声(第2回/全2回)

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第9章 死者が集まる湿地帯

 ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)は木の上から双眼鏡を覗き込み、守護者の姿を探していた。
「―・・・いねぇな・・・。そっちはどうだ?」
「こちらも見当たりませんね。―・・・主・・・そこまで思いつめなくてもいいとは思うのですがね?」
 草むらの中を探しているオウガ・クローディス(おうが・くろーでぃす)が、ラルクを見上げて言う。
「許してくれるとは思わねぇが・・・一応侘びはいれねぇとな」
「さてさて・・・見つかればいいんですがね・・・」
「おーい、アウラネルクー!」
 どこかに隠れてるかもしれないと思い、葛葉 翔(くずのは・しょう)は大木の上から大声で呼びかける。
「―・・・こっちにもいないようだ」
 しばらく返事がかえってくるか待ってみるが、返事がかえってこなかった。
 守護者はそこにもいないようだった。
「他の場所を探してみるか」
「そうだな・・・どこかで亡者どもに襲われなければいいが」
「たぶんだが・・・密猟者たちの死霊もいるかもしれないよな。そうだとしたら早く探さねぇと・・・」
「守護者を恨んでいる亡者たちが襲ってこないとも限らないからな」
「それって逆恨みですよね・・・私利私欲で採りに来たんでしょうから」
「あぁ・・・そういうヤツほど執念深いからな・・・」
 翔たちは妖精を探すために、再び森の中を歩きだした。



「手分けして探す前に、セシリアさんたちから場所を聞いたが・・・見当たらないな」
 森の中に入る前にライトたちから聞いた場所に来た夜薙 綾香(やなぎ・あやか)は、辺りをキョロキョロと見回す。
「この前の騒動で森に悪影響を与えてしまっているだろうからな・・・。守護者にも何らかの影響を及ぼしているかもしれないな」
「えぇ心配ですよね」
 緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)の言葉に頷き、紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)は顔を俯かせて不安そうな表情をする。
「魔法草をもらった恩を返したいしな」
 双眼鏡を覗き込み、黒霧 悠(くろぎり・ゆう)も一緒に探す。
「あの綺麗な妖精さんいなくなっちゃたんだよね。どこに行っちゃったんだろう?」
 背の高い草の中をガサガサと音を立てながら、瑞月 メイ(みずき・めい)も守護者を探し歩く。
「本当にどこへ行ってしまったんであろうか・・・」
「もう少し奥地へ行ってみないか」
「前は海の妖精さんだったらしいから探すなら水場・・・なのかな?」
「そうだな・・・ここにはいないようだし」
 綾香たちが湖に辿り着くと、すでにそこでメイベルたちが守護者を探していた。
「まだ見つかっていないようであるな」
「ここにいないとなると・・・。この他に考えられる場所ってありますか?」
「もしかして霊が集まりそうな場所とかでしょうか・・・」
「どういうことですの?」
 メイベルの言葉にフィリッパは首を傾げる。
「亡者に狙われているのだったら、そこに連れ去られている可能性もあるのかなと思ったんですぅ」
「そのケースも考えられるかもしれないであろうな」
「集まる所・・・やっぱり湿気の多い水場か?」
「こことは別の所にいるかもしれないよ」
「そうだな・・・もう少し探してみようか」
 水場を中心に悠たちは守護者を探すことにした。



「守護者がいる場所を、見つけて知らせたいのですが・・・なかなか見つかりませんね」
 背の高い草をかきわけて、陽太は沼地に入っていく。
「(―・・・うわぁっ、亡者たちがいました!見つからない所に隠れないと・・・)」
 土の中から這い出てきた亡者たちは、沼地の奥へ向かっていた。
「あんなに大群で・・・どこに行くんでしょう?」
 後をつけてみると、何かに群がっていた。
「ここでは見づらいですね・・・もう少し近くに寄ってみましょうか」
 見つからないように近づくと、亡者が群がる中にグリーンパールの長い髪が見え、さらに近寄るとひしめき合う死者の身体の下から色白の手が見えた。
「あれ?どこかで見たような・・・もしかして・・・!」
 ひとまずその場を離れ、森の中で守護者を探している生徒へ電話をかけて知らせることにした。
「あぁっ、こんな時に電波がないですよ!―・・・うぅ・・・あっ1本だけ電波が立ちました」
 同じ蒼空学園の生徒に電話で知らせ、彼らが来るまでそこに待機していることにした。
「今・・・陽太さんから電話がきたんだが・・・。どうやら沼地にいるようだ」
 アウラネルクの居場所を翔は陽太から聞き、一緒に探していたラルクたちにも教えた。
「誰からだ?」
「同じ学校の生徒がからだった」
「そうか・・・」
「ヴァーナーたちにも場所を教えてやろう。電話が悪いな・・・木の上からなら多少はつながるか?」
 森の中で守護者を探しているヴァーナーたちに、ラルクが携帯で連絡してやる。
「あっ!ラルクさんから連絡がきました。うん・・・うん分かりました。今そっち行きますね!」
「見つかったのかな?」
「そうみたいですけど・・・」
 一緒に探していた北都がヴァーナーの方へ駆け寄る。
「どうしたんだ、そんな顔をして・・・」
 不安そうな顔をする彼女の顔を、レオナーズが覗き込む。
「アウラネルクおねえちゃんが、亡者たちに襲われているようでなんです」
「何だって!?早く助けにいかないと!」
 速人たちは電話での案内を頼りに、沼地の方へ駆けていく。