リアクション
* 「軍刀を抜け、銃を構えよ、隻眼の獅子の御旗へ続け、総員突貫!!」 獅子小隊隊長、レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)の号令。 本隊に追随してきた獅子小隊が、ここでせり出す。 狙いは、石舞台に舞う、白狐。 レオンハルト自身は、光条片手半剣と光条短剣の二振りを所持し、前衛に出る。 「憶えて置くが良い。例え場所が何処であれ、獅子は獲物を選ばない」 さあ、すでにプロの戦闘集団とも言えよう獅子小隊による、狐狩りの始まりだ。 今日は、いつものメンバーの何人かは、まじめに修学旅行に行ってしまった者もいるが、コアメンバーは健在。それに、新たに戦いに加わった者達も、いる! 獅子小隊の戦い振り、とくとご覧あれ! 彼らの進攻を阻まんと、石舞台の周囲に展開した鬼・猿・マラの騎狐兵らが、円を描いて、獅子小隊に襲いくる。 どどどんっ 今日は最初からガトリング砲をぶっ放す、月島。 ドラゴンアーツとヒロイックアサルトの力で、軽々とガトリングを振り回す勇ましき姿(だけど中身は年相応の女の子だよ)。 式神たちを蹴散らす。 「よし、みんな、今のうちに!」 月島のもとへ殺到する鬼、猿、マラども。 そのままガトリング砲の重量を活かして薙ぎ払い、すかさず距離をとって一掃する。 「ソルジャーだからと言って、接近戦が出来ないと思うなよ」 「ボクのもくらえー!」 月島に並んで、麻上 翼(まがみ・つばさ)も、ガトリングを撃ちまくる。 ソルジャーとして初の実戦だ。 麻上の方へ式神が攻めようとすると、 「どこを見ている、お前達の相手はこちらだ!」 月島のガトリング! 麻上のガトリング! 乱れ飛ぶ光の銃弾に、次々地に伏す式神たち。 「ふふふ、剣の花嫁とは言え、プリーストばかりじゃないんですよ!っそこガトリングの花嫁違う!」 「たぁ!」どんっ。 こちらも可愛いトゥルペ・ロット(とぅるぺ・ろっと)の射撃。 「トゥルペ、いいこと考えちゃった♪ きつねうどんにすればいいのではないでありますか?」 あれ? きつねうどんって、きつねが入っているのではないのでありますか? ずっと、そうだと思っていたであります。 てっきり、キツネのお肉が入っているのだと…… 「たぁ! たぁ!」 今日のトゥルペはちょっぴりコワイゾ♪ ともあれ、射撃は、狐に対しては有効のようだ。バランスを崩した鬼、猿、マラ兵たちが次々、地面に落ちる。が、すぐに立ち上がり、迫り来る。 そいつを、ホーリーメイスでごん。 「ルインにお任せかなっ、かなっ」 張り切ってホーリーメイスをぶんぶん振り回す、レオンハルトの新しくきた剣の花嫁はルイン・ティルナノーグ(るいん・てぃるなのーぐ)。 「小隊の癒し手兼マスコットとして、華麗に初陣を飾りたいなあ……とか、とか、とか!」 いつの間にか、敵陣の真っ只中に…… 「ゎゎゎっ、一杯だよっ、居るんだよっ、シルヴァ様助けてー!?」 レオンの剣の花嫁シルヴァ・アンスウェラー(しるば・あんすうぇらー)、今日は真面目に(僕いつも真面目ですけど♪)作戦を遂行し、敵陣を突破にかかっている。 「主は奪い給い、主は救い給う。 嘆きと不和に彩られた憐れなる魂よ、浄化の光の下今此処に終焉を開くが良い――!!」 バニッシュ! 「ギャァァ」 付近の式神が、一斉に消滅する。 「わぁぁ、シルヴァ様、シルヴァ様、格好いい、かなっ! かなっ!!」 「……何だ。今のは」 道満も、何が起こったと、シルヴァの方を睨みつける。 「わ」予想外だったが、道満とその一時向き合ったシルヴァ。 「と、言うかですね。後世で悪者扱いされたから悪者になってもいいや、 というのは幾らなんでも自暴自棄じゃありませんかねえ」 笑顔でざっくり語りかけてみた。 「フ。悪かどうかなぞ関係なきこと。 オレのすることがそう呼ばれるならそれでもかまわぬというだけのこと」 びゅんっ、道満の脇を切っ先がかすめる。 「道満、お前の相手は、このわたしよ! 覚悟!」 ナギナタを道満に向けて、騎凛。 「どーまん、よくもマリーを!! カナリーちゃんがマリーの仇をとってやるんだから!」(マリー「わてはやっぱり死んだでありますか……」) 騎凛の横に、カナリー・スポルコフ(かなりー・すぽるこふ)が来る。 「修学旅行でキリンちゃんと思い出を作りたかったのに、術で他人の恋路を邪魔するどーまんは大嫌い!」(マリー「あれっ? カ、カナリー、そこでありますか? わての仇はどうなっ……がくっ」) 馬、いやキリンちゃんに蹴られて氏んじゃえ! キリンちゃんは強いよ。キリンは四神の中心で統べるものだから清明や十二神将も目じゃないよ。べーっ!」 道満の眉がぴくりと動く。 「なに? キリン……だと」 にやり。 キリン=すなわち麒麟と刷り込む。ことによって、道満の見立てを狂わせる。 これぞ、今回の大まどうしカナリー様の計略であった。(まどう、……惑うは魔導に通ずだそうです、だそうです。) 石舞台の入り口に、狐の尾が二つ、三つ…… * 石舞台の周囲では、黒炎が、騎凛のもとへ敵を寄せつけんと剣を振るっている。 匡はガードラインを展開し、味方後衛に攻撃を通さないよう気を付けつつ、騎凛のところへ抜けようとする兵を素早くカットインする。 「騎凛殿はだいじょうぶか?」 匡の背中を守って剣を繰り出しつつ、クロード。 「一騎打ちでかなう相手ではあるまい……ってすでに一触即発だな」 騎凛殿は少々事を急ぎ過ぎる……クックと、笑いつつも、自らの戦いに専念する。 「お諌めするつもりでしたが、こうなれば致し方ありませんね。まあ、護衛の役割はしっかりと果たさせて頂きましょう」 匡もひゅんっと武器を振るう。 「隊長の動向は俺がしっかり見ててやるよ」 レイユウもすでに光条兵器を抜き、周囲に目を光らせる。 「きりん(とうとうあだ名つけ)には、僕が禁猟区をつけておいたから、安心だよ……多少はね。 道満のやつにどこまで通じるかは……」 永久も、ホーリーメイスで敵をぶっ倒しつつ、戦況を読む。 石舞台の下の方では、弾がすり抜けていく相手に、意固地になって撃ち続けるにゃんこ兵。 「あーーん。もう……やめ、やめ〜〜弾の無駄遣いだよ……!」 「にゃんこ、ストップ!」 フランソワが射撃を止める。 「黒乃? どうですか、戦況は。損害はありませんか?」 親友のユウが、苦戦を見て駆けつける。 「ああ、ユウ。うん、ボクらはだいじょうぶ。そうか、このにゃんこ兵って未だに練兵がまったくなされていないんだよね。 ともかく、ボクは次の攻撃に移るよ。 アルチュール、にゃんこの指揮を頼むよ! ニャイールは、こっちへ!」 「よし。私が指揮系統を整える。にゃんこ兵〜〜」 「ござるニャ!」「ござるニャ!」「あるちゅるどりゅしもござるニャ!」 「ニャーーー!」ニャイールの光学迷彩で姿を消す、黒乃。 黒乃(姿はすでに見えないが)を見送ると、ユウも、パートナーたちのもとへと戻る。 ユウ! ユウ…… ユウ!の、(アリス)キッスを巡って繰り広げられる戦い! 「メンバーのなかでは、我がいちばんの手練(てだれ)! 我がみんなを守るから、安心して戦ってくださいね」 戦いの最中にあっても、その仲間への思いやりをアピールする、ルミナ。 ちらっ。ユウの方を見る。「ユウ……こっちを見て」 「柳生十兵衛三厳、推してまいるんだよ!」 こちらは、英霊! 日本歴史に名のある柳生一族で有名なあの十兵衛……らしい。自信はない(「なに、本人は自信もって三厳と名乗っておろー!」)……見かけまるっきし少女なのだから(「チビってゆーな!」)。 ともあれ、柳生を名乗るわけだ、その剣の腕の方は…… 手に持つは、木刀。この構え、柳生新陰流! 襲いくる式神を、見事にいなす! ……「ユウ? 見てくれたよねっ」。 「ええ、やりますね。……木刀なのに」 「柳生だからじゃない?」 ヒロイックアサルトじゃなくて……そこか、十兵衛三厳ちゃん? さて、乱戦の最中、ユウを見つめる、彼のもう一人のパートナーは、アリス! ルゥ。先ほどはライバルに阻まれアリスキッスを逃してしまったが、依然とユウに狙いを定める。 武器は仕込み刀。 小さな体を駆使して、敵を避けながらの抜刀術を見せつける、が…… 今回の敵は、霊体である式神。 すり抜けて、転んでしまうルゥ……「う。わーーん……ユウ〜〜」。ルゥは、甘えん坊を発揮した。 「! はっ」 「! ……しまった。その手か……!」 ルミナ、三厳、駆け寄るが、ときすでに遅し。 ユウは、ルゥを心配し駆けつけている。 じっと見つめ合うユウとルゥ。 二人の戦闘画面にだけ、淡いれもん色っぽい幕が下り、周囲の一切が遮断された。なんだかきらきらしたものが降ってきて、二人の瞳にも、星っぽいものがきらきらし始めた。 マイナー調の戦闘BGMはF.O.しており、すでに甘いスローテンポなメジャーセヴンス的なBGMが二人の空間にだけ流れ込んでいる。 これはいわゆる、キスシーン……。 「やられてしまいました……」 「負けた……」 その世界は、すでに誰にも見えない。 テュ(効果音) れもん色のカーテンを開けて、ユウと、ユウにべったりくっついたルゥが、戦闘画面に戻って来る。 「ルゥ、いつまでくっついてんだ!! 役に立たない子は、我が後ろにでも引っ込んでな!」ルミナ(怒ると乱暴口調)。 「ユウも、いつまで瞳をきらきらさせてるんだよー!!」ルゥをユウの体から引き剥がす、三厳。 今回は、本家アリスのルゥが、ユウに授けたアリスキッスを頂いた形となった。おそらく三人の勝負はこれからもっと発展……するのだろうかあ? 式神どもが迫り来る。再び、戦闘BGM・F.IN。 * ぶん! 騎凛のナギナタが道満を襲う。 「ええいコシャクな小娘二十九歳!!」 道満はそれを交わすと、呪符を取り出し、詠唱を始める。 「今の、みんな聞いてないわよね!」 久多、黒乃、ユウ、カナリー、マリー一斉に頷く。 (別に外見年齢隠してないし、いいと思いますけどね……)後陣に控える戦部。 (……クスリ)黒軍師・匡。 ぶん! 更に勢いを増して騎凛のナギナタ、道満を切り裂きにかかる。が、 道満が前につき出した呪符に突きささるナギナタ、 「わっ」 「かかったな。この力馬鹿め」 すると呪符は炎を発し、見る間に騎凛のナギナタに燃え移った。 「わー、あちち!」 「戦いはこれからぞ? さあ、もっと燃えてゆこうではないか。ハハハ!」 道満の呪符が、騎凛に向かって飛んでくる。 石舞台の入り口では、狐の尻尾が段々増えて、三つ、四つ、…… * 「あ、あの……足手まといにならないよう頑張ります」 と言って、今回の戦いに参加したレジーヌ・ベルナディス(れじーぬ・べるなでぃす)。 すでに、第5章では獅子小隊に加わるや、ルースのナンパをくらって初登場している彼女であるが、改めて。 控えめにランスを繰り出してみせるレジーヌだが、彼女はフランスの剣士家系に生まれ育っている。 剣の才には恵まれず、大人しい性格も相まってあまり上達しなかったという彼女であるが、家族の期待に応えるため、教導団へ入学を決めた。 式神との戦いに備え、すでにエンデュアにより力を高めてある。 騎狐兵の足もとを狙って、ランスを繰り出すレジーヌ。まだちょっと控えめな彼女だが、確実に兵を地面に叩き落していく。 うってかわって、そのパートナーは、戦場で兵器として使われてさえいた、機晶姫エリーズ・バスティード(えりーず・ばすてぃーど)。 戦場にも飽き、さ迷っていた……というだけあり、無邪気な少女型の外見にも、どことなく歴戦の重みを感じさせる。が、 「観光の邪魔になるやつは、ムカツクから倒しちゃうんだもん!」 動機は無邪気だ……なだけに、恐ろしいものがある。彼女も狐兵を切りつけ、敵式神を次々落としていく。 道満の意識は、騎凛との一騎打ちに向いている。 この機を狙って、復活の儀を執り行う白狐を一気に攻め落したいところ。 獅子小隊の最優先目標とする 「敵対した相手の戦力増加をはいそうですか、と見逃すほど、教導団は甘くない」 敵を切り崩していくレオンハルト。 近くには、レジーヌらの方にも気遣いつつ、式神を切り払う、イリーナ・セルベリア(いりーな・せるべりあ)。 現在、武器を銃器から剣にもちかえ、セイバーとして己を修養しつつある。 今、光条兵器の剣を手にし、狐から振り落とされた式神たちに、とどめを刺していく。 付近の敵は、数を減らしつつある。 石舞台の方に目を向ければ、そこに舞う白狐。 「せっかくの綺麗な光景だが、九尾の狐が復活しては困るのでな……邪魔をさせてもらおう」 イリーナは、更に周辺を見渡す。 狙撃手として参加しているルースが、すでに敵の合い間を抜け、石舞台を狙える位置に移動したようだ。 のんびりとした表情で、周囲に気を配るイリーナを見守る、守護天使フェリックス・ステファンスカ(ふぇりっくす・すてふぁんすか)。 獅子小隊のヒール役として参戦のフェリックス。 しかし、式神との戦い、攻撃が当てにくいという点はあるものの、訓練された兵なら、案外傷つく者がいない。 「やれやれ困ったことになったねぇ……」 ということで、決め台詞の意図がちょっと違うかも知れないが、やることが、……あまりない。 「僕は日本って来るの初めてだから、ちょっと観光したかったなぁ。 ルインちゃんもそう思わない?」 「シルヴァ様、シルヴァ様、かなっ、かなっ、かなっ」 ……ルインちゃんはシルヴァ君第一だから、シルヴァ君といられればどこでもいいのかぁ。 戦場にあって、ほぼいつもと変わらぬのんびりさを発揮するフェリックスなのだった。 「さてと。お掃除も、そろそろ片付いてまいりましたわね」 こちらも、戦場が似合わないと言ってもいいだろうか、エレーナ・アシュケナージ(えれーな・あしゅけなーじ)。 穏やかで、家庭的。 雑貨大好き、イリーナの部屋をアーリーアメリカン調に変えていくのが趣味の彼女だけあって、お掃除なんかお手のものであるが。 とりあえず今やってるお掃除は…… 光条ハウスキーパーを使って、狐から振り落とされた鬼・猿・マラどもを、文字通りお掃除だ。 チェックのエプロンドレスが、とても戦場に映えている。 石舞台の奥から、怪しい妖気。尻尾は四つ、五つ、増えていく。…… * 騎凛めがけて放たれた呪符。 それを、スプレーショットが打ち抜く。 「騎凛、あぶない!」 久多 隆光(くた・たかみつ)だ。 「久多さん……」 「騎凛……」 「おい。何だ、お前。無理はしない方がいいのではないか。震えているぞ!」 道満。睨みつける、久多。 ばっ。久多は、騎凛(鹿の着ぐるみ)をお姫様抱っこすると。 「きゃっ」 「三十六計逃げるに如かず……だっけか。 よく覚えてないけど、そういうことだ」 バーストダッシュで、逃げ出した。 久多の目の前に、呪符がひらりと舞ってくる。 「ちっ。しつこいな。スプレーショットで……なっ?」 呪符が燃え、それが、道満の姿に変わった。 「うっ……」 「気に入ったぞ。この道満がお前に戦いというものを教えてやろうか?」 久多は、そっと騎凛を下ろすと、その前に立ち、ショットガンを構えた。 「怖くて仕方ないけどよ、ここは、意地の張り処だろ? 道満さんよ」 |
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