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列車からお宝を盗み出せ!

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18 けが人収容テントの設置

 この場に不釣合いな三人がこの計画に加わったのは、セシリア・ライト(せしりあ・らいと)の一言があったからだ。
「ワンさんって、女の子や子供に弱いし、悪い人って感じしないのよね」
 実は、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)も同じように思っている。
 時間が経つにつて、襲撃団も組織の人員も、怪我人が増えてきた。
 ヒール屋さんもいるが、彼女たちだけでは全ての人を収容することは出来ない。

 襲撃団の怪我を回復するために仮設テントが作られた。テントといっても布を引いただけのものだ。
 メイベルとセシリアは、その上に光精の指輪で灯りをともしている。
 ルカルカが走ってくる。
「メイベル!」
 列車内にいる子供たちのことを知らせに来たのだ。
 列車をみやるメイベルとルカルカ、列車は今にも横転しそうに停まっている。
 メイベルは列車に走る。
 ルカルカは、任務がある。そのまま姿を消した。

 しばらくして、多くの列車強盗に参加したメンバーが集団でやってくる。
 チェーンソーを投げ捨てた大鋸は、両腕の中に二人の子ども、背中にも1人をしょっている。
 シーは、重症の子どもを横に抱きながら歩いてくる。
 メイベルとセシリアは、必死に子どもたちの世話をしている。
 冬華とテレシアは、ヒールを戦闘中に使わなかったことを喜んでいる。
 この子供たちを治すために使えるからだ。

 灯った光のおかげで救出された竜司は、やけどをヒールで治してもらっている。
 駿河 北斗も運ばれてきた。

 レティシアが大鋸に訊ねる。
「ねえ、このお宝って恵まれない人に分けるんだよね?」
 大鋸は渋い顔だ。
 メイベルがいう。
「頂いた分け前は孤児院に寄付しようと思っていたの、だけど・・・」
 子供たちを見る。20人はいる。
「新しい孤児院が必要だわ」
 大鋸はシーを見る。
 シーも頷いている。
 Aが連れてこられた。
「こいつらは、道に落ちていた。本当だ、親も親戚も誰もいない子供たちだ。アグゥーニンが街で集めた。遺跡の道は狭い、モンスターもいるしトラップも多い。子供は軽いからな、トラップも抜けられるし、狭い坑道にも入れる。骨も小さい」
 大鋸が、Aを横殴りにする。
「事実だ」
 あっけなく倒れたAは、一言だけ呟くと眼を閉じる。
 その後は、何を問いかけられても一言も話さなかった。

 Aと手下は、線路脇にロープで結ばれた。
 動けないように、それぞれがスキルで魔法をかける。

「教導団の生徒もいるヨ、もう情報もいっているはずだヨ。そのうち彼らが見つけてくれるヨ」
 シーが彼らに話しかける。

 押収したお宝は一度、大鋸の元に運ぶことになった。
 どう分けるか、換金するのか、元の持ち主に戻すのか。
 それは、これからの相談だ。
 とにかく一同は疲れていた。
「まず子供の寝場所だ」
 大鋸の意見に、みなが賛同した。
 反対する気力や体力が残っているものは、もうこの場所にはいなかった。


20 その夜、さらに更けて・大人のクラブ

 リネン・エルフト(りねん・えるふと)ユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)は、店内の、一番奥まったソファに座っていた。
 真ん中には、アグゥーニンがいる。
 アグゥーニンは、勢い良くグラスを開けると、そのまま空いたグラスを床に叩きつける。
「全く茶番だ!何が相手はチンピラの集まりだ。強盗の癖に、馬鹿みたいな人数で襲ってきやがって!」
 リネンの顔を覗き込むアグゥーニン、
「お前もやつらの仲間じゃないのか・・・お前らが知りたいのはなんだ?」
 新しく運ばれてきたグラスをあおるアグゥーニン。
「欧州の組織にいました・・・」
 リネンが搾り出すように答える。
「俺は、地球に知り合いはいねえよ。お前の勘違いだ」
 立ち上がるアグゥーニン、
「さっさと消えろ、いや、どっちでもいい、いたけりゃいろ!」
 そのまま店を後にする。


21 線路の修復

 数時間で、線路には多くのダメージが残った。
 早朝から、この線路には多くの列車が通ることになる。
 このままでは、明日からの物品の流通が出来なくなる。

 修復は、勿論、マッドエンジニア・青 野武の仕事だ。
「え?」
 大丈夫、大丈夫。夜明けまで時間は十分にある。



おしまい。

担当マスターより

▼担当マスター

舞瑠

▼マスターコメント

 参加頂いた皆様のおかげで、楽しく描き切ることができました。
 結末は私も予想だにしない展開になりました。
 次回は、文中にもありましたが、今回登場した子供たちにための「孤児院建設」を考えております。
 列車から運び出した「お宝」ですが、参加された方には分け前を希望しない、または持ち主に返すという方もおられるので、最低限の必要経費はお渡しし、残りは王大鋸が持ち帰り分ける結末にしました。
 宜しくお願いいたします。