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闇世界の廃病棟(第2回/全3回)

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闇世界の廃病棟(第2回/全3回)

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第6章 狙う邪悪な魂

-PM22:20-

「あらかたDエリア内を見て回ったから、次はここだな」
 椎名 真(しいな・まこと)たちはEエリアを探索するため、真っ暗な廊下を歩き、入れそうな部屋がないか見て回る。
「死んでも苦しむなんて自分ならお断りだなぁ・・・どうしてこうなったもんかね?」
 どうして死してなお亡者たちが苦しむ事態になってしまったのか、疑問を抱きながら佐々良 縁(ささら・よすが)は呟くように言う。
「(やだなー・・・夜中の病院なんて怖いよぉ・・・・・・。しかも絶対出るっていうし・・・)」
 佐々良 睦月(ささら・むつき)は怯えながら縁の手を掴む。
「犯人がいるとしたら、侵入して来た人間たちの目につきやすいところに資料を置いたりしないよな」
「無造作に置いてあったとしたら・・・侵入者たちが見ても、どうせ何が何だか分かんねぇーだろうと思われるのかもしれないけどな」
「それは俺たちも含まれているっていうことかな?」
「あぁそうだろうな」
 縁は肩をすくめて言う。
「もし理解できたら凄いっていうことだよな」
「かもな」
 首を傾げて言う真に、縁はニッと笑う。
「ここなら入れそうだよ」
 真がマットを踏むとドアがスライドした。
「えぇーやだ暗いよー、何か出そうだし」
 睦月は縁の手を引っ張り、イヤイヤをする。
「大丈夫っ、何かあったら守ってやるから」
「(何かあったら遅いよぉ・・・)」
 最後に睦月が部屋の中に入ると、自動ドアが閉まった。
「暗いな・・・・・・手探りでしかわからないぞ。ん・・・ここに何かあるな、ちょっくら部屋の外に出て見てみるか」
 本棚に納まっているファイルをいくつか取ると、縁は部屋の外へ出た。
「げっ・・・人体構造についてとかみたいなのばかりで難しいぞ!」
「とりあえず島村さんの所へ持っていこう。おっと無線で連絡を・・・・・・あーあーっもしもし、島村さん聞こえますか?あれっ・・・ノイズが酷くて聞こえないな」
「貸してみろよ、もしもーし・・・おーい。あれ・・・駄目だな・・・」
 無線機からはザザザッザザッというノイズ音しか聞こえなかった。
「あっ!聞こえたよ、近くにいるって言ってるけど」
「まさかー、島村さんはFエリアに・・・・・・」
「同じことばかり言ってるよ・・・・・・すごく近くから聞こえるんだけど」
 恐る恐る振り返ると睦月の背後に、ニヤリと笑う女の亡霊がたたずんでいた。
「う・・・うわぁあああぁああっ!」
 睦月たちは全力でエレベーターの方へ駆けていく。
「閉まれっ、早く早く閉まれ!早くーっ!」
「追ってくるぞ!」
「やだやだやだぁあっ、ふぇええんー!」
 ボタンを連打しているとようやくエレベーターのドアが閉まる。
 悪霊に呪い殺されそうになる寸前、なんとか真たちは逃げ延びた。



 未だ持って成仏できない死者たちをなるべく早く成仏させてやろうと、高月 芳樹(たかつき・よしき)アメリア・ストークス(あめりあ・すとーくす)はEエリアの薬品が置いてある部屋で、ゴーストたちの心臓を探していた。
「どこかにゴーストたちの心臓が隠されているはずだが・・・」
「他のエリアは人がいるようだし、ここで探しているのは私だけみたいね」
「別エリアにはあったようだからこのエリア内にもあるはずだ」
 薬品の並んだ棚やガラス棚を開け、隠されていないか確認していく。
「この前来た時は入れなかったわよね?」
「あぁたしかな・・・」
「どうして・・・入れるようになったのかしら・・・・・・」
 首を傾げて言うアメリアに、芳樹は手を止める。
「それもそうだな」
「まだ必要なら侵入してこないように、ドアの電源が入れらないようにするわよね」
「もう不要になったということか、それとも侵入者を誘うトラップか・・・・・・」
「その両方かもね。あともう1つ・・・」
「他にもまだ何か理由があるのか?」
「現在・・・誰かが使っている可能性も高いわ」
「死者たちを使って何かしようということか・・・・・・?」
「ぇえ、そうかもしれないわね」
 芳樹の問いかけにアメリアはコクリと頷く。
「いろいろ疑問に思うことはあるが、今は死者たちの奪われた心臓を探してやろう」
「そうね・・・」
「この辺とかにないか・・・」
 棚の下にある引き出しに手をかけ、芳樹が中を調べてみると透明なケースの中に心臓が入っていた。
「沢山あるわね・・・それ全部、部屋の外へ出すわよ」
 ケースを全て部屋に出し、火術で燃やしてやる。
「これを奪って何をしようとしていたんだろうな・・・」
 パチパチと火花を散らして燃えていく様子を見ながら、芳樹は吐き捨てるように呟いた。