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激突必至! 葦原忍者特別試験之巻

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激突必至! 葦原忍者特別試験之巻

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【序幕】

 葦原明倫館入口前。
 その巨大な鳥居の前に走ってきているのは、ウッチャリ君こと内谷利経衛。
 試験が開始されてから、早くも数時間が経過し時刻も夕方にさしかかっていたが。
「ぜぇ、ぜぇ……やっぱり、拙者には荷が重過ぎでござる……」
 彼は既に息も絶え絶えで汗だくになっていた。
 その様子から一通り校舎を探したり、誰かしらの相手をしてきて頑張ったらしいことはわかったが。手ぶらゆえ未だ何一つ手に入れられていないというのもわかった。
 そして先程『手助けする』というメールや掲示板での書き込みをいくつか確認し、こうして集合場所へ足を運んだということだった。
 そこには既に月詠 司(つくよみ・つかさ)天城 一輝(あまぎ・いっき)風森 望(かぜもり・のぞみ)遠野 歌菜(とおの・かな)とパートナーのスパーク・ヘルムズ(すぱーく・へるむず)黒脛巾 にゃん丸(くろはばき・にゃんまる)、そして神野 永太(じんの・えいた)とパートナーの燦式鎮護機 ザイエンデ(さんしきちんごき・ざいえんで)、更にメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)とパートナーのセシリア・ライト(せしりあ・らいと)フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)らが集まっていた。
 突然のことで、何人が集まるものだろうかと不安だった利経衛はホッと息をつきつつ、
「はは、どうもでござる皆さん。この度のこと、心より感謝するでござ――ぉわ!?」
 挨拶の途中、利経衛はいきなり一輝に胸倉を掴まれていた。
「あ、あああ、あの。なにか……?」
「あのさぁ、おまえ。もうちょいシャキッとできないかな? そんなんだとこっちもテンション下がるだろ」
 どうやら愛想笑いしながら腰を低くする態度が気にいらなかったらしい。
「手助けする気はあるけど、あくまで戦うのはおまえなんだからな。そこんとこ理解してるのか?」
「あ、ははは、はい。勿論でござるよぉ」
 思い切りビビッて早くも涙目になっている利経衛。
「まあまあ、そのあたりはこれからの頑張りに期待しましょうよ」
 そんな彼を見かねて割って入ったのは司。
「初めまして。月詠 司です。宜しくお願いします。相手を発見したら連絡をしますので、とりあえず番号を教えて貰ってもいいですか?」
 彼は携帯電話を取り出して優しく切り出していた。
「あ、私にも番号を教えておいてくださいですぅ」
 それにメイベルも便乗し、ピリッとしかけた雰囲気が若干和らいでいく。
「それじゃ、行こうか葦原見学!」
「こらこら。本来の目的を忘れてはいけませんわよ」
 そしてメイベルはセシリア、フィリッパと共にその場を後にしていった。
「メイベルさん達は独自に捜索するみたいですね」
「俺らはウッチャリについてくつもりだけど、他の皆はどうするつもりだ?」
 歌菜とスパークがざっと一同に目を向けると、
「永太達も同様です。な、ザイン」
「はい。わたくし達は利経衛様が必要なとき、サポートを致しますので」
 永太とザイエンデはそう返答し。
「俺もこいつについてくつもりだ。色々不安だしな」
 一輝の言葉には、利経衛が若干表情をこわばらせていた。
「私は、忍者の方を探しに行くつもりです。サクラくんと光くんを重点的に」
 携帯をしまいつつ司はそう述べて、
「あ。私は卍子って手裏剣好きの忍者を相手にするつもりよ」
 続いて望がそう言うと、
「卍子ちゃんならこれ役に立つんじゃない?」
 にゃん丸は望に手裏剣をひとつ手渡していた。それは仙台藩所縁の手裏剣で、一瞬望は『いいの?』的視線を向けたがにゃん丸がにこにこ頷いていたので快く受け取っておいた。
「ちなみに俺はシン先生とやらに勝負を挑むつもりなんだけどぉ」
 更に今度は利経衛の方へと振り返り、
「俺がシン先生と対決すればアレキサンダーは必ずこれを使う」
 さらに覗き口に接着剤を付けた双眼鏡を取り出して、
「事前にアレキサンダーを探して渡しておくから。眼鏡に張り付いたらウッチャリ、お前がアレキサンダーの眼鏡を手に入れろ!」
 ぽんと利経衛の肩に手を置いていた。
「わ、わかったでござる」
 利経衛の返事を最後に望、司、にゃん丸は各々の作戦を胸に散っていき。
 残る歌菜とスパーク、永太とザイエンデ、そして一輝は利経衛と共に歩みを進めた。
 ここから、ウッチャリ君の試験は本格的な開始を告げる。