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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第2回)

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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第2回)
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第7章
南部諸国


 場面は南部諸国に移り、昴コウジ(すばる・こうじ)を撃破すべく500の不良を率い進軍していた、パラ実の教導団外交使節討伐軍隊長サレン・シルフィーユ(されん・しるふぃーゆ)
 サレンは、行方のわからない外交使節について道すがら人に尋ねる……恐喝は厭わない(ただし暴力は厳禁)。
 食糧については現地調達……恐喝は厭わない(ただし暴力は厳禁)。
 という点は徹底させ、南部諸国を進んだ。また、教導団以外の勢力には、手を出さなかった。
 住民はおびえながら、不良どもの通過を見送った。
「教導団を破った暁には、ごちそうとお宝の配布も約束するッスよ!」
「ひゃっはー!」「ごちそうだぜ」「お宝だぁぜ?!」
「さらに……昴コウジを討ち取った者には、もれなくその場で……私の脱ぎたて下着をプレゼント!」
「ひゃ」「ひゃっ」「ひゃっはー」「!!!!」
 不良どもは我先にと、昴コウジを討つべく、南へ……南へ……
「く、恥ずかしいッスけど、これも国頭さんを助けるためと思えば!」


7-01 昴コウジを討て〜討伐軍の苦難〜

「ひゃっはぁぁ?!」さぶーん。
「あっ、どうしたッス! ちょっと、皆、ストップ……!」
 ざぶーん、ざぶーん
 南部への渡河を行おうと、川べりに並んでいた舟に乗った途端、次々と、不良もろとも舟が沈んでいく。
「ま、まさか」
 少し下流……
「ふふふ、ははは。泥舟で沈め〜……!」
 パラ実への屈辱を晴らさんとする、前回鉱山から逃げ延びた秦 良玉(しん・りょうぎょく)の罠だった。
「ひゃっぱぁ」「た、たすけろ、ばばぁ」
 溺れて流されてくるパラ実生。
「婆……?
 まあ、仕方ない。かわいそうだから、引き上げてやろうかの。
 解放してもらった件は、これで貸し借りなしじゃ」
「ひゃっはあ、はあ、はあ」「あ、ありがとよ、ばばぁ」
「……」
 差引勘定でこっちの貸しが多そうなら、額に"パンツ"と刺青をいれて黥刑にする事で帳尻合わせかな……良玉は、にやりと、パラ実を睨んだ。「パ・ン・ツ、と。これでよし」「ほ、ほんとにやりやがったのか。ひ、ひどいぞばばぁ! ひゃっは〜く、く」
「ええい。教導団め。ッス。
 こんなところに、罠を張るなんて、卑劣な……!」
「サレン隊長!」
「今度は何ッス?」
「後方から、敵勢が迫っております!」
「!」
 このままでは、まずいッス。
 後方からパラ実勢を襲ったのは、クレア配下エイミー・サンダース(えいみー・さんだーす)
 前回、すでにオークスバレーにあってパラ実を監視しつつ、クレアの虚報を流す役割を果たしていた。
「オラオラァ!」
 さすがに、100対500は厳しいと踏んで、味方戦力の動きを待ちつつ、敵の進軍を遅らせるべくチマチマとしかけているのだった。
「ちっ。さっきからしつっこく、後ろから刺してきやがってぇ!
 おい、教導倒した奴には、ご褒美とされん様からご達しがあったようだぁぁ!
 こんな女。俺様が、うがぁっ!」
 きゃー。ひゃっはー。
 ちょっと目立って傾いたようなヤツ。他のヤツを黙らせるにはこういうのをいっぴき狙って打ち倒してやんのがちょうどいい。エイミーは不良どもを睨みつける。
「いたいけな一般人に手を出すようなマネはさせねーよ。オレたちは戦闘のプロだからな」
「エイミー隊長!」
「んっ?」
「オークスバレーの方より、大岡殿の隊が間もなく、合流してまいります!」
「そうか。よし 」
 ――大岡隊。
「むっ。見えた。……パラ実どものしんがりか」
 大岡永谷(おおおか・とと)らの先鋒は、騎兵であるパルボンリッターである。進軍速度は速い。
「ここで敵の陣を乱せば功績高いぜ」
 ニヤリ。永谷の言葉に、パルボンリッターらはいやらしく笑む。
「突撃!」
 永谷は、ばたばたと逃げ散る不良どもを後ろから攻め立てた。