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天御柱開放祭

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02:作戦会議其ノ弐
 休憩明け――
「さてそれでは再開しましょう。中隊名の候補は【ルーラー】中隊ですわ。それでは、参戦希望者をお待ちしております」
 オリガがそう言うと早速参加者が集まった。
「イーグリットで参戦する。TACネームはファング……牙だな」
 そう言ったのは綺雲 菜織(あやくも・なおり)である。
「菜織様、よろしいのですか?」
 そう尋ねたのはパートナーの有栖川 美幸(ありすがわ・みゆき)だ。
「私は平気。美幸は? そうそう、ルーラー中隊賛成だよ」
「私は、菜織様さえよろしければ……」
「そう? なら決定だね。頑張りましょう、美幸」
「はい」
 こうして二人が意気投合したところで、和眞が「ルーラー中隊ってのもいいんじゃないッスか? まあ、オレは参加しないッスけど」
 と言ってくる。
「参加しない自分が言うのもなんだけど、いい名前だと思うッス」
 そう言って場の雰囲気を部隊編成に集中させた。彼にその気があったかどうかはわからないが。
「そうだな、俺も参加だ。イーグリットにのって、TACネームはムラクモ……天叢雲かな?」
 それは榊 孝明(さかき・たかあき)。青い瞳と黒いショートの髪を清潔にして、知的な印象を受ける少年だ。
「あたしも頑張る。孝明のために。悪夢を見ない生活のために」
 契約をするまで自分が殺される悪夢を見ていたという少女益田 椿(ますだ・つばき)がそう言う。
 赤眼で黒髪を後ろで束ね、バカっぽく胸が大きい彼女は孝明と契約するまでは精神が不安定で、処分される寸前であったという。
 そんな過去を持つ彼女は、孝明が何よりも大切な存在であるという。
桐生 景勝(きりゅう・かげかつ)ちゃんだよ。俺はコームラントで参戦するぜ。TACネームはクサナギだぜ」
 それは焦茶色の髪をボサボサにした黒い瞳を持つ少年で、一見するとバカっぽく頼りない印象を受ける。だが、先の戦闘であげた戦果からもその外見での評価は間違っていると言えるだろう。
「草薙の剣ですね。天叢雲とは同一視されます……」
 そう言ったのは景勝のパートナーのリンドセイ・ニーバー(りんどせい・にーばー)。青の髪を前髪をぱっつん状態にして伸ばし、金色の瞳を持っている。そのロングヘアは綺麗であるが、見た目には厳しそうな少女である。
「ってことで、榊ちゃんよろしく頼むぜ」
「了解であります。サー!」
 孝明がそう答えると景勝がクスクスと笑った。そして笑いは全体に広がる。
「いまのところこちらの中隊に参加するのはイーグリット11機。コームラントが8機ですわね。イーグリット2小隊とコームラント2小隊が作れますわね」
「そうだな。俺もルーラー中隊でいいと思うよ」
 孝明がそう言うと
「別に構わないぜー」
 と晴人が賛同する。
「オルフェもルーラー中隊でいいと思います。全く異存ないのですよ!」
 オルフェリアも賛同の意を示す。
「ご賛同ありがとうございます。それでは【ルーラー中隊】に決定しますわね。小隊名の編成も【アルファ】【ブラボー】【チャーリー】【デルタ】【エコー】とシンプルに行きたいと思いますがいかがでしょう?」
「異論はありません」
 秋穂がそう言って賛成する。
「まだ枠が余っているようなので参加してもいいかな? 俺はイーグリット。TACネームはアイビスで」
 ショートの黒髪と青い目をした知的そうな青年星渡 智宏(ほしわたり・ともひろ)が参戦を表明する。
「アイビス……トキのことですね」
 時禰 凜(ときね・りん)がそう補足する。黒の瞳を持ち黒髪をポニーテールにまとめたはかなげで清潔そうな少女だ。智宏に依存を示していると感じるらしく、距離の置き方に戸惑っているという。
茅野 茉莉(ちの・まつり)よ。よろしくね。あたしはちょっと独自に小隊組んでみようかと思うの。で、小隊名はハロウィン小隊、TACネームはウィッチ。小隊エンブレムはジャックオーランタン。コールサインはパンプキンヘッドね。で、小隊はイーグリットで固めるわ」
 茉莉はショートの黒髪と同じ色の瞳のかっこいい美少女で、学校では問題児と目されている……らしい。
「それで、茉莉は同じ問題児を集めて小隊を作ることになったわけだ」
 と語るのは茉莉の相棒のレオナルド・ダヴィンチ(れおなるど・だう゛ぃんち)である。かつての天才発明家の英霊の彼は、外見的には薄茶色のロングウェーブで茶色の瞳を持ち、美形で知的な少年である。
「ボクがパンプキン1の霧積 ナギサ(きりづみ・なぎさ)です」
 ナギサは黒のロングウェーブに青い瞳をもった、10歳という年齢の割には大人びている美少年である。
「TACネームはゴーストです」
 そう補足するのはパートナーの常磐城 静留(ときわぎ・しずる)。黒いロングの髪と赤い瞳を持ち色っぽくっ胸の大きな大人の女性である。
「パンプキン2の玖珂 秀臣(くが・ひでおみ)。TACネームはウィスプ。悠子、操縦は任せる」
 秀臣は黒の瞳を持ち同じ色の髪を後ろで束ねた小柄で常に眠そうな顔をしている少年である。
「え? 私が? ……どうして?」
 秀臣の言葉に黒のロングヘアーと黒の瞳で、肌が綺麗で顔立ちが端正な少女真崎 悠子(まさき・ゆうこ)が同揺したように言う。
「……強化人間ならこいつは一人で動かせるからな、こういう機会に少しでも慣れとけ、安心しろ、指示は出す」
 そして秀臣は穏やかな口調で少し鋭い目つきをしてこう言う。
「……無論、やらせてる身だから、失敗してもとやかくは言わんが、後悔はさせないでくれよ?」
「……わ、分かった……やるわ……大丈夫、貴方をがっかりさせたりなんか、絶対にしないから」
 悠子が頷くと秀臣は微笑んで頭を撫でた。
「いい子だ……」
 悠子は気持よさそうにしている。
「パンプキン3、TACネームキャスパー矢野 佑一(やの・ゆういち)です」
 灰色に近い銀色の瞳を持ち青い髪をショートにさっぱりとカットしている、目つきが優しい青年だが、左手首にはトライバルの刺青がある。
「パートナーのミシェル・シェーンバーグ(みしぇる・しぇーんばーぐ)だよ。よろしくね」
 パートナーと同じ瞳を持ち、金色の髪を後ろで束ねているミシェルは、右手首に有刺鉄線の刺青がある。外見は子どもっぽいが忘れるほどの年月を過ごしてきたアリスである。一応男の子らしい。
玉風 やませ(たまかぜ・やませ)。パンプキン4、TACネームはバンシーです」
 やませは右目が赤紫、左目が蒼紫のオッドアイで、銀髪の髪を真っ直ぐに伸ばしているかわいくて胸が小さな少女だ。
「とりっく おあ とりーと。ってやつ? まあ、暴れさせてもらうぜ」
 白い髪をオールバックにして金色の瞳をしている大人びていてかっこいい青年東風谷 白虎(こちや・びゃっこ)はそう宣言するとシャドーボクシングをしてみせた。
「これで全員? まあ、オリガの中隊とは別の中隊に所属するか、完全にフリーで小隊単位で行動するわ」
 茉莉がそう言うとオリガは
「了解ですわ」
 と答えた。
 と、その時奥から二人連れの男子がやってきた。
「まったく、デビットがナンパばかりしているから、すっかり出遅れてしまったじゃないか……」
「熱くなんなよ、昇。演習なんだからさ、演習。ちゃんとフリーで参加はできるし、機体名も、イルマで登録しといたぞ。ほら、船とか、よく女の名前つけてるじゃん? ああ? 機体名じゃなくて、TACネーム? こまけぇーことはいいんだよ、祭りなんだがら、楽しもうぜ」
 …………それはオールバックの黒髪と黒い瞳を持つ育ちがよさそうで真面目そうな執事然とした少年笹井 昇(ささい・のぼる)とそのパートナーで赤い髪をポニーテールにまとめた白い瞳をもち端正な顔立ちのデビット・オブライエン(でびっと・おぶらいえん)だった。
 二人はホワイトボードに書かれた編成図を見ると「フリーか」「フリーだな」と言葉を交し合った。
 ちなみに、編成図には
 【ルーラー中隊】
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  →・チャーリー小隊
  |オリガ・カラーシュニコフ/クラースナヤ(中隊長)
  |榊 孝明/ムラクモ(小隊長)
  |綺雲 菜織/ファング
  |オルフェリア・クインレイナー/カムパネルラ
  |役割【イーグリットによる牽制】
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  →・アルファ小隊
  |十七夜 リオ/シュヴァルべ(小隊長)
  |シフ・リンクスクロウ/コキュートス
  |星渡 智宏/アイビス
  |端守 秋穂/セレナイト
  |役割【イーグリットによる囮】
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  →・ブラボー小隊
  |雨月 晴人/クラッシャー(小隊長)
  |桐生 景勝/クサナギ
  |御剣 紫音/ゲイ・ボルグ
  |天司 御空/ホークアイ
  |役割【コームラントによる支援】
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  →・デルタ小隊
  |水城 綾/ホワイト・ライトニング(小隊長)
  |蒼澄 雪香/フレイヤ
  |天貴 彩羽/イロドリ
  |富永 佐那/クレーツェト
  |役割【イーグリットによる指揮官機攻撃】

 そしてエコー小隊にも学生の名前が書かれ、役割には【コームラントによる砲撃】と書かれてあった。

「なあ、オリガちゃんが中隊長もやって小隊に入るなら、実質的に一機足りなくない?」
 とデビットがいう。
「そうだな……オリガさん、君の小隊に入れてもらえないかな?デビットの言うとおりだと思うし」
 そう言われてオリガは数秒考えたあと、「よろしいですわ」と答えた。
「よろしくお願いしますわね、昇さん、デビットさん」
「こちらこそ」
「よろしくね」
 昇とデビットも挨拶を返す。
 そしてホワイトボードのチャーリー小隊に 笹井 昇/イルマと書き加えられた。
「私は完全に単独で行動するね。コームラントで。一度戦場全体の把握ってのをしてみたかったのよ。実戦ではできなさそうだから、今回の模擬戦はチャンスよね」
 そう言ったのは葛葉 杏(くずのは・あん)。ロングの黒髪に黒色の瞳。清潔そうな美少女だ。
「でも、完全な単騎ってのも危なくないですか?」
 そう言ったのはパートナーの橘 早苗(たちばな・さなえ)。黒髪を三つ編みおさげにし、黒い瞳をもった地味だが胸の大きな少女だ。そんな早苗の目に

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  →・中隊【フリー】
  |【アーチャー小隊】
  |夕条 媛花/ヤハタ(小隊長)
  |葉月 エリィ/クリムゾン
  |【役割】コームラントによる支援砲撃

 と書かれた編成表が目に入った。
「杏さん、アーチャー小隊に入れてもらってはどうでしょうか?」
「でも私たちは支援砲撃部隊として動くつもりなんだけど……杏さんの目的と正体の目的は一致しないわねえ……」
 媛花がそう言うと早苗は悲しそうな顔をした。
「そうですか……」
 そこに和眞が提案をしてきた。
「オレはイーグリットで高高度から戦場全体を観察するッスけど、一緒にどうっすか? 護衛くらいは出来るッスよ」
「そうね。お願いできるかしら?」
 杏は和眞に握手を求め、和眞がそれに応じる。
「他に2〜3人同行をお願いできると助かるんだけど……」
 杏がそう言うとそれぞれイーグリットとコームラントに載っていて所属が決まっていない生徒が参加を表明した。
「杏さん、TACネームが決まっていないですけどANNっていうのはどうでしょう?」
 早苗の言葉に杏は頷いた。
「私の名前ね。問題ないわ、早苗」
「じゃあ、小隊名はどうするっす?」
 和眞がそう言うとルーチェが
「お兄ちゃん、【ウォッチャー小隊】とかどうかしら? 私たち観察者ですし……」
 と提案する。
「そうだな。みんなに依存がなければそれで。小隊長は杏さんでいいッスよ」
「わかったわ。じゃあ、そうするわね」
 そしてホワイトボードに

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  →・中隊【フリー】
  |【ウォッチャー小隊】
  |葛葉 杏/ANN(小隊長・コームラント)
  |狭霧 和眞/KAZU(イーグリット)

 と書き加えられ、【役割】戦場の観察。そして参加する他の生徒の名前が書き加えられた。
 そして、ショートの茶髪と赤い瞳を持ち、精悍で強そうな和泉 直哉(いずみ・なおや)
「オレはイーグリットにのってTACネームはスプリングにしたけどチームを組む相手がいないんだよなあ……だれかいないか?」
 と問いかけると同じく所属の決まっていないイーグリット乗りが声をかけてきた。
「じゃあ、小隊名は【コンフュ】撹乱って意味な。小隊の役割はイーグリットの突撃による敵陣の撹乱だ」
 直哉がそう言うと妹の和泉 結奈(いずみ・ゆいな)
「それいいね、お兄ちゃん」
 と笑顔で答えた。
 ちなみに結奈はロングの茶髪で青い瞳を持ち、はかなげでかわいい印象をあたえる少女である。
「あと4人集まれば中隊組めるんじゃない、お兄ちゃん?」
 結奈がそう言うと、あぶれていたコームラント乗り4人が【ガンナー】小隊を立ち上げ、中隊がもう一つ出来上がることになった。
 中隊名は【フリーダム中隊】。便宜上は杏が中隊長をすることになったが中隊としてのまとまりはほとんどない。なにしろ各自の役割が違いすぎるので有効的に連携を組めないのだ。
 ハロウィン小隊は何か思うところがあるようだし、ウォッチャー小隊は観測に専念。したがってアーチャー小隊とコンフュ小隊、ガンナー小隊の3小隊で教官のもうひとつの小隊を相手にするしかないのだ。
 だが、これでも決まっただけ良かったといえよう。
 そして編成と作戦がまとまり整備班が整備していた各自のイコンに乗り込んで空中に飛び立つと、コリマ校長による開会宣言がテレパシーで聞こえてきた。
(これより、天御柱開放祭を執り行なう。各々方におかれては存分に楽しまれるがよかろう。演習に参加する生徒は醜態を見せぬように。警備に参加する生徒は不審者や不審物を見過ごさないように、そして出店を行う生徒は客人(まろうど)に十分に楽しんでいただけるように細心の注意をはらうこと。それでは、はじまりだ)
 コリマ校長の挨拶と共に花火が打ち上がる。そして祭りが始まった。