蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

決戦 天沼矛!

リアクション公開中!

決戦 天沼矛!

リアクション


04:第一次防衛ライン1 南

「こちら【ブラボー1】。各自天沼矛に張り付く形で布陣終了。これより戦闘を開始する」
 指揮の特技を持っていた柊 真司(ひいらぎ・しんじ)が急遽小隊長となり南方面の防衛ラインに着いた。
 黒のショートヘアと金色の瞳を持ち端正な顔立ちの真司は、イーグリットに搭乗し、敵の接近を待っていた。
「真司、随伴飛行歩兵が先に接敵。一分後。でも、天沼矛に入ろうとしているみたいだから早めに掃討したほうがいいです」
 パートナーのヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)が報告を入れる。
 ヴェルリアはロングの銀髪と青い瞳をもった、小柄で胸の小さい少女だ。
「了解。こちら【アルファージ】。随伴飛行歩兵が天沼矛内部に入ろうとしている。直ちにこれを掃討せよ」
「【イロドリ】了解。直ちに戦闘を開始します。彩華、頭部バルカンランダムに10秒掃射」
「行くですぅ〜♪」
 天貴 彩羽(あまむち・あやは)は赤髪をポニーテールにちて同じ色の瞳を持ち、胸が大きくて金持ちそうな少女である。
 一方双子の姉の天貴 彩華(あまむち・あやか)はショートの白髪に赤い目ばかっぽくて金持ちそうな少女だ。強化手術の副作用で幼稚化してしまっている。
 機晶ロケットランチャーより若干威力の弱い弾丸が1秒間に60発。10秒間で600発発射される。ランダムに広範囲に撃ったとは言えさすがにそれに随伴飛行歩兵が耐えられるはずもない。天沼矛を背に彼女たちは布陣しているため逆に言えば敵に隠れる場所はなかった。
「こちら【ケルベロス】天沼矛には絶対に入れない!」
 藤堂 裄人(とうどう・ゆきと)が叫ぶ。ボサボサ色の焦茶色の髪に茶色の瞳で、眼つきがわるく厳しそうな少年だ。
 パートナーでシャギーの銀髪に緑色の瞳、知的で真面目そうなサイファス・ロークライド(さいふぁす・ろーくらいど)の操縦で【ケルベロス】は飛ぶと、裄人はビームライフルを随伴飛行歩兵の集団にむけて撃ち放った。
 ビームで溶かされていく随伴飛行歩兵達。
「う……あ……あ……」
 サイファスがその光景を見て怖気を覚える。
「これが、戦争か」
 裄人もその様子を見て何事かを感じているようだった。
「こちら【メテオライト】、出撃する。ヨタカ、敵の位置はわかりますか?」
 アルテッツァ・ゾディアック(あるてっつぁ・ぞでぃあっく)がパートナーに通信を入れる。
 ショートの薄茶色の髪に緑色の瞳、美形で優しそうな青年だ。天御柱の生物の教師をやっている。
(ここで学院には持ちこたえて貰わないといけませんね。あと、この学院での地位を確立しないといけませんし)
 そう考えながらパートナーの返答を待つ。
 親不孝通 夜鷹(おやふこうどおり・よたか)はアルテッツァのパートナーで焦茶色の髪を後ろで束ねて茶色の瞳を持ち、つり目で小柄な地祇である。ちなみに小さいと言われると怒る。
 建物の影に生身で陣取り、双眼鏡で戦場を見ていた。
「黄道(アルテッツァのことらしい)! 2時の方向に1匹、11時の方向遠くにもう一匹だぎゃ!!」
「フム、二時の敵はバルカンで十分ですね。スバル、操縦は全て任せましたよ、シミュレーターの時の二の舞にならないようにしてくださいね」
「Yes、マスター。ご命令を」
 六連 すばる(むづら・すばる)はポニーテールの黒髪と茶色の瞳を持つはかなげな美少女だ。
「二時の方向に移動してください」
 アルテッツァが指示するとすばるはその方向に移動する。そしてアルテッツァはバルカンを発射する。
「Twincle twincle little star〜♪ チョウチョはどちらからお出ましかな?」
 バルカンの発射で随伴飛行歩兵が潰れる。
「次は11時の方向に移動してください」
「Yes、マスター」
 そして大型ビームキャノンを発射。粒子と共に消滅するヴァルキリー。
「こちら【ゲイ・ボルグ】支援はいるか?」
 ポニーテールの黒髪に黒い瞳、一見美少女の少年御剣 紫音(みつるぎ・しおん)が美声でそう告げる。
「こちら【アルファージ】。手数が足りない。バルカンで弾幕を形成してくれ」
「了解。風花、随伴飛行歩兵にバルカン掃射!」
 天沼矛に向かって移動しながら紫音がそう告げる。
「わかりましたぁ」
 京言葉で答えるのは紫音のパートナー綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)だった。黒い長髪に同じ色の瞳、はかなげな美少女である。
 そしてバルカンのスイッチを押すと頭部から秒間60発の弾丸が発射され、弾幕を形成する。
 天沼矛にも弱干流れ弾があたったが、それは天沼矛に侵入しようとしていた随伴飛行歩兵を一掃する。
「よし、これで随伴飛行歩兵は片付いたな」
 真司がそう言うと、ヴェルリアは接敵を告げた。
「敵一個小隊が一分後に接触。随伴飛行歩兵はいない模様です」
「了解。こちら【アルファージ】。一分後に会敵する。編隊を整えて戦闘に備えろ」
『了解!』
 それからブラボー小隊は陣形を整え、敵との接触に備える。
「あと10秒でコームラントの射程に入ります」
  ヴェルリアがレーダーの反応を読み上げ、アルテッツァと紫音が同時にカウントダウンを始める。
「3……2……1……ファイア!」
 同時に発射されたビームキャノンは敵小隊の編成を乱す。
「いまだ、イーグリット突撃」
 イーグリットはビームライフルの射程圏内に移動すると、編成を立て直している敵小隊のうちの一機のシュメッターリングに向かってライフルを放った。
 3本の火線が同じポイントに命中し過負荷で爆発を起こす。
 同時に鏖殺寺院のイコンの反撃が始まった。連射されるマシンガン。弾幕は一瞬【イロドリ】を捉える。
「きゃあああああ」
「きゃあああああ」
 双子の姉妹が同時に悲鳴を上げて、機体が小爆発を起こす。
 正面装甲が削れていた。そのイーグリットは内蔵をむき出しにした人体模型に似ていた。
「まだまだ……」
 <セルフモニタリング>で損害程度を判断する彩羽。
(大丈夫?)
 彩華が訪ねてくる。
(まだいけるわ)
 もう一撃うければ危ないが、【イロドリ】はまだ戦えた。弾幕を受けたのが一瞬だからだろう。
 裄人が冷却をまたずに射撃する。
 それはシュメッターリングのカメラに命中して破壊する。
「今です!」
 【メテオライト】からの支援砲撃。その光線はカメラの壊れたシュメッターリングを飲み込んで破壊する。
「よし、今だ!」
 今度は【ゲイ・ボルグ】からの砲撃。三機の敵イコンはバラバラな方向に回避した。
「よし、全機シュヴァルツ・フリーゲを射撃!」
 真司の指示で3機のイーグリットがシュヴァルツ・フリーゲを攻撃する。
 その攻撃はコクピットブロックに命中し爆発する。爆発した機体はそのまま全体が誘爆し、爆散して落下する。
「こちら【イロドリ】。接近して敵にとどめをさすわ」
「【アルファージ】、続く」
「【ケルベロス】、ライフルで支援する」
「【ゲイ・ボルグ】支援する」
「【メテオライト】も支援します」
 しかし接近する行動そのものが陽動となり、結果コームラントのビームキャノンがシュメッターリング1機ずつに命中してその存在を溶かす。
「こちら【ブラボー1】敵一個小隊を殲滅するも【イロドリ】がダメージ大。【イロドリ】の修理を希望する」
「こちら【イロドリ】。【アルファージ】まだいけるわ」
「しかしもう一撃受ければ大爆発を起こしそうな状態だ。おとなしく修理を受けて欲しい」
(どうするの彩羽)
(しかたがないわね)
「【イロドリ】了解。修理を受けに帰還します」
 こうして一個小隊を殲滅したが、もう一個小隊が天沼矛に侵入しようとしているため、急いで救援に向かうことにしたが接敵には3分かかる。
 敵が天沼矛に侵入するのは5分後。2分の差で敵を天沼矛から引き離さなければならない。
 【イロドリ】が戦線を離脱して修理に向かう中、別の小隊から通信が入った。
「こちら【ダークウィスパー小隊】の【トランジェント1】。至急救援に向かいます。4分後に合流します」
「こちら【ブラボー1】。了解」
 それはエルフリーデ・ロンメル(えるふりーで・ろんめる)の声だった。

 そして場面は北の防衛ラインに移る。