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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第四章 初詣2

 東光大寺院。
 鬼城家の菩提寺であり、マホロバ城下の近くにある。
 元日、多くの参拝客が押し寄せていた。
 社頭では熱心に参拝している一行がある。



 大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)はたちは大晦日の深夜から並んでいた。
 ようやく賽銭箱に辿り着き、普段は言えない感謝の気持ちと、パートナーの無病息災を祈願する。
『ソフィア、いつも雑に扱ってすまない。でも、感謝してる。お前はマシンでも可愛いぞ。来年も壊れるなよ?』
『超じいちゃん、これからも長生きして下さい。あと、不甲斐ない子孫でごめんなさい……』
『コーディリア、いつもありがとう。可愛いぞ! 実は自分、コーディリアが好みだ。ホントは思いっきり抱きしめたい……』
 剛太郎の隣では、大洞一家を支えている戦闘お嬢様ロボソフィア・クレメント(そふぃあ・くれめんと)と剛太郎の祖父大洞 藤右衛門(おおほら・とうえもん)、そして剣の花嫁コーディリア・ブラウン(こーでぃりあ・ぶらうん)が同じように祈っている。
『剛太郎さん、あなたといると楽しくてよ。素直になれなくてごめんなさいね』
『おじいさん、剛太郎さんと違っていつも気遣いありがとう。わたくしが機械でなければ、即・結婚OKですわ……』
『コーディリアさん、剛太郎さんとウマくいくといいですわね。今年もさり気なくサポートしますわ』
 ソフィアは散々パシられたのも忘れ(データは残ってるが)、剛太郎たちと過ごした楽しい昨年を思い起こす。
『剛太郎よ、そろそろ嫁をもらえ。コーディリアなんか嫁に良いではないか。もっと強引に迫らんか。ソフィアは可愛いけどマシンだからな〜』
『ソフィア、いつも剛太郎が迷惑掛けてすまない。マシンでもソフィアはオナゴじゃ。カワイイのぉ〜』
『コーディリア、いつもウマい飯をありがとう。出来れば剛太郎と一緒になってやってくれんかの〜』
 藤右衛門は、昨夜から寒さ対策と称して飲んだ酒で顔を赤らめていた。
 始終ニヤけていたのは、ソフィアやコーディリアのことを考えていたからか。
 そのコーディリアも、少し頬が赤い。
『ソフィアちゃん、いつも代わりに力仕事してくれてありがとう。ホントはソフィアちゃんみたいに積極的になりたいな』
『おじい様、いつも剛太郎様の事とか、優しい気遣いをありがとうございます。あと、あまりご無理をなさらぬ様に案じております。特にお酒を控えて下さい』
『剛太郎様、あなたが好きです。本当はもっと強引でも……』
 コーディリアが瞼を開けたとき、剛太郎が彼女を引っ張って行列から外れようとしていた。
「剛太郎様……?」
「人の波がすごいから、コーディリアみたいな細身じゃ連れて行かれてしまう。……けど、何でこんなに手が冷たいんだ? あったかい飲み物でも買ってくるか」
 剛太郎が早速ソフィアをパシリに使おうとするのを見て、コーディリアは彼の袖を掴んだ。
「大丈夫です、私は」
「……ん、なんか顔も赤いな。そんなに寒いか」
 剛太郎は手袋を外し、コーディリアの頬を両手で包む。
 彼女はますます真っ赤になってうろたえた。
「あ、あのっ。ご、剛太郎様っ……!」
「ふふーん、なんかいい雰囲気じゃの。これを機に一気に畳かけるか、なあ剛太郎。さっき、互いに何を思ったのか、披露してみせるのはどうじゃ?」
 藤右衛門のとっさの思いつきに、今度は剛太郎がうろたえる番だった。
「おじい様。大洞家の男児たる者、そのような軽々しい口など、持っていないであります!」
「ほう、口に出来ないようなことでも考えておったか?」
「……!」
 コーディリアが剛太郎をまじまじと見つめている。
 藤右衛門はにやにやと笑っていた。
「新年早々、こりゃ楽しいわい」