First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last
リアクション
6-2
その隣のテーブルでは『セイニィと新年会』なるイベントが開かれていた。
開かれていた……と言うか、より言葉に正確性を求めるならば、開かれようとしていたと言うのが正しい。
ぐつぐつと沸き立つ鍋を前に、シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)は電話をかける。
勿論、セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)のところにだ。
「もしもし……、セイニィですか?」
『そうだけど……、何の用よ?』
「あの、今から新年会をしようと思うんですけど……来れませんか?」
『はぁ? 新年会?』
なんとなく電話の向こうでイラッとした感じが聞こえた。
『今、あたしに鍋の電話を掛けてくるなんていい度胸ね……、シャンバラ宮殿前のくそ寒いとこにいるってのに』
どうもアイシャの身辺警護中らしい。
『タイミング悪いわね。空気ぐらい読めるようになりなさいよ、ったく……』
「ご、ごめんなさい……」
『あーあ、明日だったら空いてるのに……ほんと使えない!』
「え、じゃじゃあ……、また明日新年会しましょう」
『べ、別に新年会したいわけじゃないし……まぁでも、そこまで頭を下げるなら行ってやらないでもないわ』
別に頭は下げてないのだけれども。
「はい、はい……それじゃ、また」
シャーロットは携帯をテーブルに置いた。
「セイニィ、今日はこれないって?」
鍋が煮えるのを心待ちにしながら、パートナーの呂布 奉先(りょふ・ほうせん)が尋ねる。
「はい、でも明日なら大丈夫だそうです」
「へぇ、良かったじゃんか。じゃあ、明日は俺は席外してたほうがいいよな?」
「そ、そんな……居てください。お願いですから……」
「ふーん……、ふたりっきりでセイニィと会うのが恥ずかしいって?」
そう言われて、シャーロットは耳まで真っ赤になった。
最初はともだちだった……けれども、だんだんと、近づいてくる春の足音のように、気持ちが移り変るのを感じた。
「まぁいいさ。明日も付き合ってやるよ。ただし、今日のメシはおまえのおごりな」
「もう……!」
First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last