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占拠された新聞社を解放せよ!

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占拠された新聞社を解放せよ!

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第2章

 (カラー写真掲載)闇夜に舞う美しき戦士たち!
 作戦のはじまりを飾ったのは、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)のコンビだ。
 ふたりはシャンバラ教導団の一員である。まずはカラー写真を見て頂きたい。(→銃弾の雨にさらされながら戦うふたりの美女戦士)
 これはSF映画ではなく、現実なのである。このような美しい戦士たちが我らの治安を守るために戦っていると言うことを、決して忘れてはならない!


 蒼空新聞社ビルは、奇妙な静けさの中にあった。周囲は機動隊に包囲されている。ビルの中には、コンバットアーマーと銃で武装した男たちが時折、窓の外を見張るように姿を見せている。
「どうかしら?」
「完璧ね。あのビルの形なら、こう配置するしかないってところを押さえてるわ」
 セレアナ・ミアキスの問いに、セレンフィリティ・シャーレットが答える。ふたりはそろって、頷く。
「かき乱してやりましょう」
「オーケー。無茶しすぎないでよ、セレン」
 ふたりが手に手に銃を構える。セレンフィリティは後ろを振り返り、彼女に着いている記者に、どこか好戦的な笑みを向けた。
「下がってて。ああ、でも……ちゃんとベストショットを押さえてよね」
 言うと同時、ふたりは駆け出す。
「派手に開幕を飾るわよ!」
 セレンフィリティの突撃銃が火を噴き、夜のしじまに派手な音を立ててビルの窓を叩き割った。
「多少は壊しても仕方ないって言うのと、積極的に壊すのとは違うと思うんだけど……」
 銃を構え直すセレンフィリティと違い、セレアナは窓の中で寺院のソルジャーたちが伏せるのを確認していた。今ので倒せてはいない。だが、目立って気を引きつけたことはできただろう。
「なんでこんな所にビキニの女が居るんだ!?」
「レオタードもな」
「言ってる場合か!」
 内部の驚きが伝わってくるようだった。
「ほうら、鏖殺寺院は腰抜け揃い!? 無抵抗なジャーナリストは捕まえられても、契約者と戦う事はできないってわけ!? しょせんは××××の××××××ってわけね!」
 セレンフィリティが弾丸と同時に罵詈雑言をまくし立てる。その内容は、残念ながらここに掲載できるようなものではない。
「来るわよ、セレン!」
「ガードよろしく!」
 ふたりの見た目にか、聞くに堪えない罵倒に対してか、鏖殺寺院のソルジャーたちが窓から重心を付きだし、掃射をはじめる。
「まずは、気を引くのには成功ってわけね。美しすぎるのも罪かしら!」
「何を言ってるんだか……」
 とにかく、守備に当たっているソルジャーらの気を引くことには成功したらしかった。



 激闘つづく 瞬時の制圧
 正面方向からの制圧に貢献したのは、とある蒼空学園の学生(本人の希望により匿名)が率いる一隊である。
 彼らの技はまさに超人的であり、飛び来る弾丸を撃ち落とし、巨大な兵器を携行して振るい、瞬く間にビルの入り口を固める寺院のメンバーを捕らえたのである。
 なお、その中にはアイドルグループ「S@MP」のメンバーが参加していた。彼女へコメントを求めたところ、「歌姫として当然のことをしたまでよ」との回答が得られた。
 記者は、契約者の力は、まさにこの世界の希望となるものであると、改めて確信したのであった。


「いまです、突撃!」
 十分に注意を引けた、と判断した御凪 真人(みなぎ・まこと)が自らの杖を振りかざす。その杖から雷がほとばしり、窓から身を乗り出していたソルジャーたちを打った。
「殺さないよう、気をつけて!」
 セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が、背中から光の翼を広げてその窓へと跳び上がった。その輝きが目隠しとなり、下階への侵入人数を計らせない。
 正面玄関へ一気に、契約者たちがなだれ込む。無論、その様子を記事にしようという記者たちも一緒だ。
「ちいっ!」
 正面を守っていたソルジャーたちが銃弾を放つ。が、
「相変わらず、小癪な人たちですわね。この程度で、私たちを止められはしませんわ!」
 一歩踏み出した冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)が、抜き打ちに刀を閃かせる。
 金属がぶつかり合う、甲高い音がいくつも響く。妙技、その刀は飛来する弾丸全てをたたき落としたのである!
「千夏、突撃だ!」
「ま゛っ! じゃなくて、了解です!」
 月島 悠(つきしま・ゆう)の指示に応え、麻上 翼(まがみ・つばさ)が小夜子に変わって前に出る。その手には、魔銃モービッド・エンジェル。
 悠の携行機関銃が敵団の一角に弾丸を飛び散らせ、空いたスペースに翼が飛び込む。ソルジャーらが、その進路に弾丸を放つ、が……
 ががががっ!
 勢いよく飛び込んできた灰色の何かが翼の前に飛び出し、その弾丸をことごとく防ぐ!
「その程度ならビクともしないのだよ!」
 藤 千夏(とう・ちか)である。
「トーチカ……!?」
「なぜ我輩の名を! 恐るべし、テクノクラートの情報力、か!」
「いやー……」
 汗を流す翼は突っ込むに突っ込めない。が、
「とにかく、助かったよ。千夏くん!」
 翼の左腕かに、がこん、と音を立てて巨大なガトリング砲が装着される。これぞ彼女の光条兵器である。
「あはは☆ 悪い人たちは、遠慮無くヤっちゃいます!」
 光の弾丸がばらまかれ、ソルジャーたちが悲鳴を上げて倒れていく。
「あなたも。助かりましたよ」
 悠が援護射撃を続けながら、小夜子に声をかけていた。
「私たちの突入に対して、敵がどう出るかはわかりきっていましたから。簡単なことですわ」
 刀を構え直し、小夜子は端正な顔に一種凄絶な笑みを浮かべた。
「制圧してください。階段や通路を押さえるんです!」
 外部の守備兵を倒したのだろう、真人がビルの内部に飛び込みながら指示を飛ばす。
「は……」
「任せなさい! 戦う歌姫グリムゲーテ・ブラックワンス(ぐりむげーて・ぶらっくわんす)、ただいま参上よ!」
 返事をしようとした四谷 大助(しや・だいすけ)の声を遮って、グリムゲーテがその場に大きく響く声を上げた。
 愛鍵(シャレではない)キーブレード・エーテリオンを手に、一気に戦場を切り開いていく。
「あのばか、まったく……!」
 グリムゲーテの背後を狙っていたソルジャーを、大助の放つ弾丸がけん制する。当のグリムゲーテはそのことには気づいていないが、まあいいか、と大助は思った。
「一階通路、制圧完了です!」
 放たれる弾丸を鎧で弾くのに任せ、通路まで辿り着いたグリムゲーテが、歌うような声を上げる。事実、その声は力を帯びて味方の気力を讃え、敵の士気を削いでいるのである。
「こっちも。敵が来ればすぐに迎え撃てるよ!」
 階段からセルファが顔を覗かせ、報告する。
「皆さん、今すぐ深追いをしないでください。別のグループが別の作戦を展開しているはずです。まずは、今倒した人たちの確保を」
 真人はそう告げ、状況を本部へと報告した。