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盗まれた機晶爆弾

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盗まれた機晶爆弾

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   13

 その間、メリッサとマックスの前に立ちはだかったのは、リュースとヴィナだ。
「爆弾はどこだい? ナパームだと思うんだがね」
 ヴィナの問いに、メリッサが鼻で嗤った。
「いい男ね、あんた。でも言えないよ、お生憎様。知りたきゃ拷問でもすることだね」
 まだ二十歳そこそこだろうに、まるで裏社会で生きているかのような蓮っ葉な口調だった。実際、そうなのかもしれない。
「許可が出たな。なら魔法でサックリいくか、それとも『ティアマトの鱗』で切り刻むか、どちらがいい?」
 リュースの指には鱗が挟まれている。
「オレはヴィーほど優しくない。死にたくなければ、素直にこいつの言うことを聞いておけ」
 メリッサは肩を竦めた。
「そう言われてもねえ。仲間を裏切るわけにもいかないし」
「君たちが何を考えているかは分からない。もしかしたら崇高な正義の心があるのかもしれない。しかし、人は誰かを生きる理由を潰すのが許される程、高尚な生き物じゃないよ。憎しみで世界が変わる程、安易に出来ている訳でもないしね。本当に追い出したいなら、武器を取ってはならないと俺は思うよ」
「ご高説、ありがとう。でもそれは、あんたらの理屈。あたしらの理屈は、あんたらには分からない。分かってくれないものを通すには、力技しかないんだ」
「その通り。たとえ死んだとしても、後に続く者がある限り、我らのしたことは無駄ではない。まずはこの大学を叩き潰す! そしてお前たちを追い出す!」
 マックスがメリッサの前に立つ。巨体はまるで岩のようだ。
「交渉決裂だな!」
 リュースは鱗を指に挟んだまま、その手を二人へと向けた。
「【我は射す光の閃刃】!!」
 光の刃がマックスを襲う。
「何の! 【エンデュア】!」
 マックスの魔法への抵抗力がぐんぐん上がる。光の刃は彼の腕をざっくり切り裂いたが、マックスは微動だにしなかった。その背後からメリッサが飛び上がり、リターニングダガーを投げつけた。
「スキルを使えるのが自分たちだけと思ったら、大間違いだよ!」
 どうやら二人は、ローグとナイトらしかった。


 グールを相手にしたのは、エースとエオリアだ。動きが遅いので、狙いをつけること自体は難しくない。それに相応しいスキルも持っている。
 エースは「骸骨の剣」を抜いた。
「いくぞ! 【ライトブリンガー】!!」
「骸骨の剣」がグールに襲い掛かる。刀身が光り輝き、グールの傷口もまたぱっくり割れるとそこから眩いばかりの光が洩れた。
「何だ、これは――!?」
「エース!」
 エオリアがエースの服を引っ張り、地面に伏せさせた。勢い余って、エースは顔から突っ込んでしまった。
 が、直後、グールが爆発音を立て、弾け飛んだ。
 一番近くにいたエースとエオリアは、巻き込まれたが伏せていたため軽症だった。
 リュースは背中に衝撃を受け、倒れた。ヴィナは腕をやられた。
 エヴァルトは足に傷を負って、立てなくなった。
 爆発音を聞いて、生徒たちが駆けつけた。
 刹那、メリッサ、マックスは、手傷を負いながらもその中に紛れ姿を消した。