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リアクション
一回戦
○第一試合 ストライクイーグリット−オリエンタル・ワンダー・リリー
一試合目に登場した翔は、会場に出るなりあんぐりと口を開いた。
『予選一試合目は、辻永翔の“ストライクイーグリット”と謎の仮面イコプラバトラー、リリーマスク3号の“オリエンタル・ワンダー・リリー”だ』
何とアリサが放送席にいる!
司会を行うはずだった人間の都合が悪くなり、急遽アリサが頼まれたのだった。
更にその隣には、
『なお、この試合には特別解説として、藤 凛シエルボ(ふじ・りんしえるぼ)さんをお招きしている』
『ハァーイ、藤 凛シエルボデェース。イヤーそれにしてもトゥデーイ、今日? はナイスなイコプラバトゥル日和デースネー。こんなハッピーな日にはレロ…じゃなーくてリリーマァスク・No3さんも優勝? ウィン? がポッシブルだと思いマースヨー』
どう考えてもリリーマスク3号の応援にしか聞こえないのだが、そんな人間が解説をしていいのだろうかと翔が思ったとき、観客席から、大きな声援が上がった。
「翔くーん、頑張ってっ!」
桐生 理知(きりゅう・りち)だ。どうやら、応援できないアリサの代わりに駆けつけたものらしい。
「両者、準備はいいか?」
審判の王 大鋸(わん・だーじゅ)が翔とリリーマスク3号を睨んだ。ぶつぶつと、
「くそっ、俺様も出るはずだったのに、うっかり寝坊したせいで不参加とは納得いかねえぜ」
と言っている。
「行っけぇー! 俺のストライクイーグリットォォ!!!」
「この戦いは私がもらったぁー!」
『さあ、両者、ストライクイーグリットとオリエンタル・ワンダー・リリーが対峙する。ストライクイーグリットはよく出来ているが、取り立てて目立つ点もない。なまじ実物を知っているだけに改造できないとのことだが、オリエンタル・ワンダー・リリーは?』
『オリエンタル・ワンダー・リリーは、琴音ロボがベースデース。特に改造はしてマセェーンが、リリーマスク3号は改造してアリマース』
水着姿と仮面で顔を隠したリリーマスク3号は、腰に両手を当てて高らかに笑った。
「お前は絶対に私には勝てない! 何故なら……おっとこれはまだ言わないでおこうかな〜」
「何をだ!?」
ストライクイーグリットとオリエンタル・ワンダー・リリーは間合いを詰めた。ビームサーベルとちくわサーベルが打ち合う。次にオリエンタル・ワンダー・リリーはちくわサーベルを投げつけたが、防がれてしまう。ストライクイーグリットもサーベルを投げつけたが、同じく通用しない。
ストライクイーグリットはパンチを構えるオリエンタル・ワンダー・リリーに一度、二度と空から攻撃を食らわせた。――と、ストライクイーグリットが離脱した瞬間、オリエンタル・ワンダー・リリーは爆発してしまった。「ブレストクレイモア」が誘爆したのだ。
「だーっ、危ねえな! 勝者、ストライクイーグリット!」
『オーノォー! オーマイガーッ! ざんねんデーシタ』
凛シエルボが両手を広げ大きく嘆息したとき、パキリと音を立て、リリーマスク3号のマスクが割れた。
「オー!」
「お前は……」
「強くなったな、辻永翔……私はこの日を待っていた……」
「いや、よく知らないんだが、あんたのこと。会ったことあったか?」
「全ては最強のため……最強の座を手に入れるため私は過去を捨てた。だが全ては虚しい。辻永翔、後は頼んだ。最強のイコプラバトラーになれよ!」
リリーマスク3号ことレロシャン・カプティアティ(れろしゃん・かぷてぃあてぃ)は、高笑いと翔を残して、会場を去った。
○ストライクイーグリット−オリエンタル・ワンダー・リリー×
○第二試合 ネコトラ−グラディウス
「おら、とっとと次の奴、出て来い!」
大鋸に怒鳴られ、ラピス・ラズリ(らぴす・らずり)が翼をぱたぱたさせながら現れた。それを見た、大鋸は「むっ、怒鳴ってすまないな、坊主」とラピスの頭を撫でた。
「子ども扱いしないでよねっ」
ラピスはぷうっと頬を膨らませた。
対する小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は、「ダーくん、ちっちゃい子に弱すぎ!」と睨む。
ラピスのイコプラは、パートナーである立川 るる(たちかわ・るる)の愛車“ネコトラ”型だ。
「獣人の村のイコン候補として挙がっていたネコトラ。早くからイコプラの原型も製作されていたが、採用には至らなかったために製品化することはなかった……。その幻のネコトラモデルがコレだよ!!」
と、ラピスはご満悦だが、観客席のるるは肩を落とした。
「アレがるるのネコトラぁ? 確かに組立自体は丁寧だけど、仕上げが全然ダメだよぅ。側部のロゴはデカールにしなきゃ。何でわざわざ筆で描こうとするの! あと変なアレンジも禁止! 本物には、コンテナ部分にそんな絵は無いでしょ!? そんなSAN値下がりそうな絵を……」
一方、美羽のイコプラはイーグリット・アサルトをベースにした“グラディウス”だ。本物のイコン製造にも関わり、イコプラにも一際拘りがある彼女が徹底的に改造を施した優れものである。
「ファイッ!!」
大鋸の両腕がクロスした。
「行くよっ! ネコトラパーンチ!!」
「食らえっ、技の名前はないけどイコン用光条サーベル!」
『グラディウスの名もなき必殺技が炸裂! ネコトラは負けじとジャブを繰り出すが、防がれる!』
「るるちゃんも応援してー!」
ラピスの声に応え、るるは立ち上がった。
「いくら残念な仕上がりでも、るるのネコトラが負けるのは許さないよ! 立て! 立つんだ、ネコトラー!!」
しかしネコトラの近距離攻撃に対し、グラディウスはミサイルポッドを立て続けに撃ち込んだ。
「勝者、グラディウス!」
破壊しつくされたネコトラを前に、ラピスは呆然となった。るるは観客席から飛び降りると、ネコトラの残骸をかき集め、仁王立ちになった。
「メソメソしないの! るるも手伝うから、次はもっと凄いネコトラ作ろう!」
へたり込んでいたラピスは、るるを見上げた。そして、こくりと頷くと、手渡されたネコトラを胸元でぎゅっと抱きしめた。
×ネコトラ−グラディウス○
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